2024/08/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にイグナスさんが現れました。
■イグナス > 朝であろうと夜であろうと、酷く暑い。
あぢぃ、と男は呻いた。気温が高いだけでなく、蒸す。
パタパタと手のひらで己を仰ぎながら、大きな大きな男は、空を仰いだ。
夜の街、星空だけは嫌にきれいだが、余計に暑さを助長しているようだった。
それでも日差しがないだけましだろうか。
「にしたってなァ、限度ッてもんがあるだろうがよう。」
ぼそりともうひとことうめいて、座ったベンチの上で酒を煽る。
ぐびり、喉を潤した直後に響く、木製ベンチの割れる音――。
ばきん。大きな音を立てて、ベンチが男の重みに耐えかねて、真っ二つに割れたんだった。
「う、ぐおっ!……………ぐう。」
だいぶ、手入れもされてないベンチじゃあ脆くなっていたらしい。
貧民街の一角に申し訳程度に置かれていたそれの残骸の真ん中で、ちくしょうと恨み言共に、大きく腕を広げて空を見上げた。
暑いうえにこんな目にあって、実に散々だと、ひとり。