2024/05/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にタマモさんが現れました。
タマモ > 日が沈めば肌寒く、日が昇れば夏の如く。
今日が雨なら明日は快晴、最近の天気は、どうもあれだ。

そんな事を考えながらも、少女はいつもの散歩道…の、屋根の上。
とん、とん、と屋根から屋根へと移り跳び、それが果たして、散歩と言えるのかは疑問だが。
まぁ、そこは突っ込んでくれるな、と言っておこう。
…別に、突っ込んでも良いが。

「さて、期待はそうせずに…との感じじゃろうかのぅ」

少女は常に、こうした散歩には、何かを求める。
面白そうな催し物、場所、誰か、出来事…面白そうであれば、面白く出来そうでれば、何でもだ。
適当に移動をし、足を止め、ぐるっと見渡す。
それを繰り返し、何か目に付けば、そちらへと向かい。
何も目に付かなければ、移動を続け、そのまま何もなければ、帰るだけである。
そんな感じに、少女は貧民地区のあちこちを、適当に突き進んで行くのだ。

目的が目的だけに、大通りだけでない、路地裏や、何かありそうな怪しい場所。
そうした場所にも、当然のように足を運ぶ。

タマモ > 「………おや?」

と、しかし、そんな移動の足が、見渡す為でない、別の理由でぴたりと止まる。
足を止め、その視線は…ある建物の屋根の片隅、窓枠の付いた、その隙間だ。
その視線の先に見えるのは、注意しなければ見えぬ程の大きさの、一匹の子蜘蛛。

それは、まるで何かの意思があるように、かさかさと姿を現し。
少女の手前で動きを止めれば、ぴくん、と少女の耳が揺れる。
周囲から見れば、ただ足を止め、なぜか突っ立っているだけ、そんな状況か。

それも、そう経たずの後に、はふん、と少女は軽くため息を一つ。

「む…そうか、それならば、一度戻るしかないか。
まったく、仕方の無い事じゃ。
妾以外に、頼む相手は………居らんか、分かった」

ぶつぶつと、何やら独り言を呟いている少女だが。
ふむ、と軽く頷けば、くるりと踵を返し、その視線をある方向に。
方角的には、富裕地区のある方向へと向け。
とん、と屋根を蹴れば、次は先の屋根へとの移動ではなく。
高々と、夜空へと舞い上がるように、跳び上がれば。
次の瞬間には、ふっ、とその姿は、闇夜の中へと消えるのだった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からタマモさんが去りました。