2024/04/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にバティスタさんが現れました。
■バティスタ >
貧民街に現れた三台の馬車。
厳つい車輪の音を立てながら現れたその馬車の、幌に飾られた睡蓮の紋章を見て貧民街の一角に人が集まりはじめる。
停止した馬車からは武装した騎士が降り立ち、幌の中からいくつもの木箱を地べたへと並べ始めていた。
教会からの支援、施しである。
それを求めた貧民街の住人が広場へと集ってきていた。
「…では。大人も子供も平等に…別け隔てなく、施しを」
最後に降り立った童女にしか見えぬ法衣の女性が、そう口にする。
鈴を鳴らすかのように明瞭な声色が騎士たちにそう伝わり、施しが開始される。
食料、水、必要ならば薬や衣類…こういった、十分ではないにしても定期的な施しを少女は行っていた。
ある者は笑み、ある者は必死に、ある者は無感動に…。
十人十色、施しを受ける民の顔は一様ではない。
その様子を、少女は双眸を細め眺めていた。
■バティスタ >
その場で食料に齧りつく者
安堵の笑みを浮かべる者
これでは少ないと騎士に食って掛かる者
誰もに共通するのは…活力を得たこと
施しこそ十分でなくとも、明日死ぬやもしれぬという失意を和らげることは出来る。
そんな様子を、まるで虫かごの昆虫を観察するように眺めていた少女は薄い笑みを讃え、その場を後にする。
「後は任せましたよ。私は少し、この地区を見て回ってきますので。
…護衛は結構。物々しい鎧姿は住人を身構えさせてしまいますから」
透き通る声をその場に残し、静々とした足取りで街を歩き眺める…。
壊れかけの家屋や、とても人が住めるように見えぬ小屋にすら、人は住まう。
無論こんな場所に住むことを余儀なくされているから故、であろうが。
「……ふふ、なんて逞しい」
「彼らは明日も、何も知らず生きてゆけるのでしょうね」
根腐れした大木とも知らず、懸命に壊れかけの巣を作って、必死に
そう考えると…笑みを禁じえない。