2024/03/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にグライドさんが現れました。
グライド > (こう言う手合いの相手は本来、憲兵や自警団が行う物だ
だが、必ずしも連中の監視や対処が、隅々まで行き届くとは限らない
そういう時は、己の様な傭兵や、用心棒の出番となる
元々は酒場で在ったろう、今は寂れた建物の中で
屈み込み、じっと周囲に注意を払いながら――待つ
最近、この近辺に出没すると言う、魔物だか魔獣だかの気配を探る為に。)

「―――――――――。」

(実害が出ている以上、そして、ちゃんと報酬が払われる以上
放って置くと言うのも寝覚めが悪い物だ
――普段の仕事場は戦場。 殺意と敵意が充満するあの場所に比べれば
街中と言う物は、平穏な分、そう言った気配を感じ取り易い
上手く見つけられるかは、勿論ある程度の運も含むだろうが。)

「――――他の連中が荒らしてねぇ事を祈るか。」

(――恐らく、冒険者ギルドにも似た様な依頼が掲示されて居る筈だ
他に仕事を受けた連中が、ある程度出来る者であれば良いのだが
新人辺りが勇んで受けて、現場を荒らして魔物を警戒させる、なんてのは儘有る事

今の所は――そこだけが、気がかりな位)。

グライド > (依頼人から伝え聞く特徴はこうだ

・尾があり、伸縮し、鞭のように突き刺してくる
・羽の様な物は在るが、飛ばない
・二本足で立つ事も在るが、四足歩行で移動する
・浅黒い体色
・狼程度の大きさ

――但し、大きさに関しては、証言によって差異が在るらしい
だとすれば、一つの個体が齎した被害、では無いのかも知れない
この地区の何処かで繁殖している、何て事になって居たら厄介だが
其れだけの大きさの生き物が増えて居れば、もっと多数の被害が報告されて居る筈だ
そういう意味では、今は未だ、大丈夫なのだろう。 ……あくまで、現段階での勝手な推測だが。)

「……しかし…そんな生き物に心当たりはないんだがな…。」

(――戦場以外にも、魔獣の討伐を行う事は在る。
ある程度、地域の生物に対する知識は持ち合わせている方だと言う自負はあるが
そんな珍妙な生き物なぞ、そう聞いた事は無い
人の手がなかなか入らぬ山奥だの、遺跡の深層ならば判るが
街中に、誰にも気付かれずにそんな物が入り込んでいるのは不思議だ

――立ち上がり、カウンター席の奥扉から、中を覗く
調理場で合ったろう其処は、今は調理具こそ残って居ないが
まるで食べ物を漁ったかのように、棚が乱雑に開け放たれて居る
大きさを考えれば、狭い棚の中へ潜んで居る事は無いだろうが、念の為確かめ
再び酒場内へと戻れば、視界に移るのは、酒場の上に続く階段と、階段前にある扉
恐らくは個室なのだろう、奥のスペースへ繋がる扉は
上半分が壊れて、半開きになって居る状態

――上を見る前に、其の扉へと近付き、きぃ、と押し開ければ
中に在る物を見て、僅かに片眉を跳ね上げた。)

「――――……なるほど?」

(――魔法陣。 こんな場所には似つかわしくない物
其れが、今回の被害ともし、何か関係が在る物だとすれば
考え得る新たな可能性は。)

「……召喚生物ってぇ所か。」

グライド > (召喚生物なら話は変わって来る
先ず、繁殖に関しての心配は減るだろう、大抵の召喚生物は繁殖をしない
もう少し厳密にいえば、繁殖する必要性が無い
通常、召喚者にとって、繁殖によって制御出来なくなる召喚物など面倒なだけであり
増やしたければ、其の分自ら召喚すれば良いだけなのだ

勿論、用途によっては繁殖能力を持つ召喚生物も居るが
大抵は、目的が目的のため、"召喚生物同士"での繁殖はしない事が殆どだ
魔法陣の状況から見て、今回は恐らく、複数の召喚が為されたのだろう
一度に召喚されたのか、何回かに分けて召喚されたのかまでは判別出来ないが
既にこれは、もう放棄されて居ると考えるのが妥当か。)

「……ギルド連中に報告するのが先かね。」

(考え所だ。 己では詳しい検証は出来ないし、専門家を呼ぶのが賢かろう
ただ、今回己の依頼は個人から受けた物だ、ギルドでは無い
必要があれば協力する気は在れど、ギルドへ報告する義務はないのだ
依頼を受けて居ないから、報奨が出ないだろうと言うのも在り
―――少しばかり、思案したのち。

先ずはともあれ、この建物を一度、一通り調査し切ってから考える事にした。)

「―――――……こんなことなら、誰か魔術師にでも声を掛けりゃあ良かったぜ…。」

(――事前情報が乏しかったのだから、仕方が無いが。
やれやれ、と足元の陣を今一度眺め降ろして溜息を零し

踵を返して、部屋を出る。 次に向かうのは階段の上だ
恐らくは宿部屋であろう其の階層に、上がって行く――前に
己の重みで会談を踏み抜きやしないかとだけ、慎重に確かめる
ぎしり、木造がきしむ音がする。 ゆっくりと体重を乗せる。
数秒、一段目で、技と揺らして体重をかけ、強度を見れば
――土台に、恐らくは石材が使われて居るのだろう
陥没する様な気配が無いと、漸く一安心して、段差を上っていく

廃屋にはなって居るが、其処まで老朽化が進んで居る訳では無いのだろう)。

グライド > (廊下の先には、部屋が複数。 其の殆どは扉が壊れている
誰かが荒らしたのか、或いは件の生き物か、いずれにしても開ける手間は省ける
隙間から室内を伺い、中に何かが潜伏して居ないかと、手前側から順に確かめ
一通り、何の気配も無い事が観測できれば、一息を吐く
恐らく、この建物にはもう居ない。 被害者は、大方召喚直後に運悪く出くわしたのだろう
なら、己に出来る事と言えば、矢張り報告が先に為るのだろうか。

最悪、実のある情報提供をしたとなれば、少なくとも仕事をした事にはなろう
こういう時、余り憲兵の類へ報告する気になれないのは
単純に己が個人的に、余り信用して居ないからだが。)

「……後は、依頼人に伺い立てるしかないな…。」

(まだ、追うか。 あるいは、ギルドの進捗を待つか。
少し時間を空けた事で、依頼人も頭が冷えている可能性も在る
感情的に討伐を依頼する人間は多く、其れは仕方ない事なのだが
今回は、別に仇討ち、と言う程の事では無い。 被害者は生きているからだ。

ともあれ、ゆっくりと又階段を下りれば、建物の外に出る
周囲の住民が、恐る恐ると言ったていで此方を見て居るのに気づけば
大丈夫だと、両手を振って見せながら。)

「また、ギルドの連中が確認に来るだろうから、其れまでは入らねぇで置きな。
下手に手ぇ出して、痛い目見たくもないだろうよ。」

(一応の忠告だ。 触らぬ神に何とやら。
そうして、己は一度現場を後にし、ギルドへ報告に歩みを向ける
色々と面倒は増えたが、一つ手掛かりを得られたのなら、僥倖、だ――)。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からグライドさんが去りました。