2024/03/14 のログ
■ジーゴ > そんなトラブルを周囲の大人、特に彼が大好きでたまらないご主人様に相談しないのは、
そういう発想がそもそもないからだ。
様々な状況が自分の努力で変えられるとは思いつきもしないのが、奴隷の性。
自分の憂さ晴らしをする対象を求めて、酒瓶を片手にぶら下げて暗い裏通りを歩き続けている。
裏路地の中でも特に奥まったエリア。
浮浪児たちが、まるでドブネズミか何かのようにすえた臭いの暗がりに身を寄せ合って暖をとっていることが多いこの通りを選んでいるのはわざわざだ。
■ジーゴ > 「なぁ、起きろよ」
目の鋭さはそのままに、口の端だけを吊り上げて笑った少年がおもむろに掴んだのは、道の端っこで隠れるようにして寝ている子供の髪だ。
この寒さでも夜に路上で寝ているのは、就寝しているというよりは
疲れ切ったり、衰弱しているという表現の方が適切だろうか。
「起きろって」
もちろんもう意識は覚醒して、恐怖のあまり固まっている浮浪児の髪の毛をまた強く引っ張って、寝転んだままの体を持ち上げようとする。
髪の毛を引っ張るだけで子供の体を持ち上げられるほどの腕力は酔った少年にはなく、浮浪児の頭が中途半端に持ち上げられた程度で。
「つまんな」
逃げも暴れもしない浮浪児に早速飽きたのか、髪の毛を握りしめた手を離す。
見逃されたのかと思って一瞬安堵した浮浪児が我に帰って逃げ出そうとするその前に、浮浪児の華奢な体が壁に叩きつけられる。
ミレーが浮浪児を蹴り飛ばしたからだ。
浮浪児の呻き声とミレーの笑い声が、静まり返っていた裏路地に響いて、消えていく。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からジーゴさんが去りました。