2023/11/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にハクさんが現れました。
ハク > 「新しい魔術……覚えるにはどうしたものでござろうかなぁ……」

体のラインがくっきりと浮かぶ魔力被膜と羽織のみという、無害そうな格好のまま娼館通りの入り口になる広場のベンチに座ったまま呟く。
まだ空には日が登っており娼館の客が通る事もあまりなく、自分のように客引きの仕事をしている娼婦・男娼たちも若干暇そうにしているのが見えた。
つい先程、1人の商人風な男性に自分の所属している娼館の案内をした所で完全に客の姿もなくなってしまい、ぼー、っと空に浮かぶ太陽を見ながら悩んでいるのは言葉に出した通り魔法についての悩み。

魔法についての才能もあり、今ではある程度普通の魔力も淫魔としての魔力も扱える。
だが使う術式はほとんど独学であり、正直言って幅は狭い。
道具保管用の異空間を開く魔術こそ高等級の魔術ではあるが、それ以外は正直初級から毛が生えたようなレベルのもの。
威力の高い雷術も溜めに時間はかかるし音も大きいしと、一人で使うのは難である。

そこで新しい魔法を覚える、となれば話に聞くコクマー・ラジエル学院という所に行けばよさそうではある。
娼婦仕事も板についており、魔導具をある程度買い漁る程度には蓄えもあるとなれば授業料を支払う事もまぁできるだろう。
問題は……ふるりと震える頭の狐耳と腰から生えた立派な狐尾。
直接学院には聞いた事がないが、ミレー族はお断りという噂も耳にした。
ただ、聞いた話によると何らかの魔術で姿をごまかす事ができれば入学できるとのことだが……残念ながら幻術の類は使えない。
新しい魔術を覚える手段を得るためには新しい魔術を覚えなければならない、という二律背反な悩みに頭を捻っていた。