2023/10/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にタマモさんが現れました。
■タマモ > 王都マグメール、貧民地区。
人の疎らな裏路地の、奥の奥へと進んだ先。
少し開けた場所があり、そこに、少女の姿はあった。
…正しくは、その場所から少し離れた屋根の上。
とん、と降り立てば、ぐるりと周りを見回した。
「………はて?
何か感じて…と、思ったんじゃが、気のせいじゃろうか?」
ゆらり、尻尾を揺らしながら、ぴん、と耳を立て、周囲の音に耳を傾ける。
風の向くまま気の向くまま、普段は、そうした行動をしている少女だが。
不思議に感じた気配とか、妙な胸騒ぎとか、そうしたものを感じれば。
やはり、気になって来てしまうものなのだ。
とは言え、あくまでも、勘は勘だ。
それが絶対とは限らない、呟きの通り、気のせいだ、と言う時もあるのだ。
軽く腕を組み、ふむ、と思案する。
己の直感に従うか、このまま、いつもの通り、適当に動き回るのか、と。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシルヴァさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からシルヴァさんが去りました。
■タマモ > 「………」
もう少しの間、沈黙したまま、少女は思案するも。
よし、と頷けば。
とん、と来た時のように、屋根を蹴り。
その身を宙に舞わせ…次の瞬間、その姿は掻き消えた。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 娼館通り」にマロゥさんが現れました。
■マロゥ > 日没と同時に人の気配が増え始め、これからが本番とばかりに活気付く夜の娼館通りの中を、軽やかな足取りで進む少年の姿がひとつ。
その手に握り締めた小さな包みと、懐に仕舞い込んだ財布を奪われないよう何度もその存在を確かめながら、客待ちの娼婦へ声を掛ける。
滅多に足を運ぶ事のない『大人の世界』に胸を躍らせ目を輝かせていた少年だったが、今日の目的は社会科見学ではない。
その協力者を探すべく、『そういった』経験に富んでおりかつ金銭で雇える大人の娼婦を見つけては声を掛けていたのだが。
返って来る言葉は皆一様に『君のような子供にはまだ早い』の一点張りでまともに取り合ってはくれなかった。
その事実に不満そうに頬を膨らませながらもへこたれた様子はなく。
道行く女性の姿をまた新たに見つけては、めげずに駆け寄り声を掛けようとするのだ。
「―――ねぇ、そこのお姉さん。ちょっと時間よろしいですか?」
■マロゥ > しかし返される反応は他と大差なく、それどころか気遣わしげに迷子の心配をされる始末。
「いや、だから僕は迷子じゃなくって………。」
そう弁解するもまともに取り合って貰えた様子はなく、むー………と少年は不機嫌そうに唸る。
しかしそれで腐る事なく、頭の中で冷静に次の作戦を立て始める。
直接声を掛けて協力者を募れるのであればそれに越した事はなかったが、まともに取り合ってもらえないのなら仕方がない。
「―――いえ、実は道に迷ってしまいまして。道案内してくれる人を探していたのですが………。」
にこやかな笑顔でそう答えると、声を掛けた女性はきょろきょろと周囲を見回す。
どうやら、事情があって今はこの場を離れられない自分に代わって少年の道案内を頼めそうな人物を探してくれているようだった。
■マロゥ > 最終的に、近くに居た彼女の知り合いと思われる一人の女性へと少年の道案内は託された。
騙すようでほんの少しだけ気が引けたが、それはさしたる問題ではない。
多少強引なやり方でも一度協力してくれさえすれば、きっと相手も喜んでくれるはずだから。
そんな考えを疑う事なく胸の内に秘めながら、一人の女性を連れ立った少年は娼館通りの人混みの中へと消えてゆくのだった―――
ご案内:「王都マグメール 貧民地区 娼館通り」からマロゥさんが去りました。