2023/09/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にシェティさんが現れました。
■シェティ > 貧民地区内の奥まった路地裏の袋小路にて。
折り重なるように目を回して倒れ伏した二人組の男を冷めた蒼銀の瞳で見下ろしながら、侍女風貌の女は嘆息混じりに呟いた。
「――――……全く、この国の殿方には困ったもので御座いますね。」
勝手の判らぬ国の街中、加えて迷路の如く乱雑に入り組んだ路地の中で道を見失っていた所を、
通り掛かった二人組の男に声を掛けられ、自ら案内役を買って出た彼らに付いて暫く進んだ後。
しかし最終的に案内されたのはこの人気の無い路地裏で、不躾にも女へと狼藉を働こうとしたので少々痛い目を見て貰った次第。
当分は目を覚ます様子の無い二人組から興味を失ったように視線を外し、周囲の風景をぐるりと一回り見回してみる。
現在位置は二人に声を掛けられた場所よりもより複雑に入り組んだ裏路地の真っ只中。
此れは元の場所に戻るだけでも苦労しそうですね――と、胸中で再確認するように呟いた。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にザイケルさんが現れました。
■ザイケル > 様々なものを得るには丁度良い貧民地区。
その日もゴロツキや金で何でも引き受ける者たちからそれなりは話しを聞き歩く。
その途中に二人組がこの場所では目立つエプロンドレス姿の女性を連れて歩く姿が目に入る。
二人組はよく見る質の悪い組み合わせ、エプロンドレスの女性は見ない顔。
何よりその姿に一度見れば忘れる事はない筈であり。
そんな組み合わせならば何かあるだろうと後を追えば路地裏に入っていくのが見えた顔だが。
二人組は見事に伸されてしまい。
「見事なもんだな。で、そんな目立つ格好で何してるんだ」
倒れた二人組から興味を失った様子の女性。
その女性が周囲を見回したタイミングで姿を現し声を掛け。
一応に無害アピールをするように軽く両手をあげて見せて。
■シェティ > 先の諍いの折に男に掴まれ乱れた襟を正し、スカートに付いた埃を軽く払う。
黒を基調としたエプロンドレスの装いもさることながら、背筋を正し凛とした姿勢で歩く女の姿は、
王族貴族の従者が闊歩する王城内や富裕地区であればいざ知らず、この地区では酷く不似合いで目立ったかも知れない。
その様な事とは露知らず、周囲を見回す視界の端に映った三人目の男の姿に女はその動きを止める。
隠れ潜む様子は見られず、先んじて此方へと声を掛けたその相手の方を訝しげに見遣りながら――。
「…………そう仰る貴方様は、あちらでお休み中のお二方のお連れ様でしょうか?」
両手を上げる仕草に争いの意思は無い事は理解するも、彼が先の二人組に代わって道案内を務めてくれるとも思えない。
男へと向ける冷めた蒼銀は疑わしげに、抑揚の薄い声で女はそう尋ねかける。
■ザイケル > 姿を現してよく見れば、本当に貧民地区には似合わない格好。
この二人はきっと主人を探しに来たメイドだと思い声を掛けたのだろうと直ぐに察することができる。
しかしごろつきとは言え二人を伸す実力の持ち主をただのメイドと見ることは無く。
姿を見せ声を掛ければ動きを止めるのを見れば当然かと苦笑し。
訝しめな視線を受けてもさほど気にした様子も見せず。
「それならここに来てる時点で参加してるだろ。
変わった組み合わせに様子を見に来た物好きだよ。
ヤられる前に間に合えば助けるつもりはあったんだけどな」
もしそうならさっさと手を出していると告げては手を下ろし。
疑わし気に向けられた視線に笑みを浮かべた視線を返し。
一人で戻れるのかと問うように女性から路地に視線を移してから、もう一度女性に目を向ける。
■シェティ > 女の背後、路地裏の片隅で相変わらず目を回した侭の二人組。
その一部始終を見ていたのであれば、彼らを斃したのは単純な腕力では無く技術。
加えて魔力や魔法に対してある程度の知識を備えた者ならば、女が其れを行使した痕跡を見つける事が出来る。
女の方は目の前の相手をまだ完全に信用した様子を見せないものの、彼の言い分に対して一理あるのもまた事実。
その警戒の色を一段階緩めると、失礼致しました――と謝辞を述べてから小さく一礼し。
「ですが、生憎と貴方様を悦ばせる為の見世物では御座いません。
ご覧の通り、私は何とも御座いませんのでこれで失礼を。………貴方様も、如何かお引き取り下さいませ。」
一人で戻れるのか、と問い掛けるような視線に対する答えは否であったが、
其れを態々目の前の男へ正直に答えるような真似はせず、
女は背筋を正した所作の侭、彼の脇をすり抜け静かにその場を立ち去ろうと歩みを進める。
■ザイケル > 「しかし…見事な手際だったな」
先ほどの光景、腕力だけなら二人組に分がある。
それを見事にひっくり返した技術はただのメイドが持ち合わせるものではない。
それを素直に称賛するように声にしては多少なり警戒が解けた様子。
謝辞を込めた言葉と一礼に、気にしなくていいと返し。
「そりゃそうだ。この辺りの住人ならともかく、俺はそういう娯楽は求めてねぇよ。
今はだろ?その目立つ格好だ、次はもっと数が来たら面倒だろ?
お前さんの無事も確認できたから通りに戻るついでだ、案内してやるよ」
女性の言葉にそう返しては脇をすり抜けようとする姿に声を掛け。
その尻を狙うように軽く手を伸ばした後に案内してやると軽く告げて隣を歩こうとする。
■シェティ > 「其れはどうも……お褒めに預かり光栄に御座います。」
男からの賛辞に、エプロンドレスの裾を軽く持ち上げながら軽く頭を垂れて応じるものの、
変わらずその声の抑揚は薄い侭、喜んだ様子は微塵も見せる事は無く。
カツ、コツと規則正しい足音で進める足は彼の脇を通り抜け路地裏の袋小路を抜けて歩き始める。
しかし、その背後から掛かる男の声。気が付けばすぐ隣を連れ立って歩く男の姿を蒼銀が一瞥してから、その足を止めて。
「――――……其処まで仰るのであれば、判りました。
では、中心部へ続く表通りまでの道案内をお願い致しましょうか。
………断っておきますが、また妙な場所に連れ込まれるようでしたら、次は先程のお二人程度では済まないとお思い下さいませ。」
半ば諦めた風に、嘆息混じりに彼の呼びかけに応じつつも。
最後の一言は冷たい声で釘を刺すと同時、尻へと伸ばされようとする手はぴしゃりと払い除けてしまうことだろう。
■ザイケル > 「けどな。馬鹿は二人で駄目なら数をそろえる。
次は気をつけとけよ」
賛辞の言葉に反応を見せるも抑揚は薄い声に、愛想がないなと口にし。
放っておけばより危険な場所に踏み込む危険もあり、助けに離れなかったが興味を覚えた女性がそんな場所に行くのも面白くなく。
案内を申し出て並んで歩けば女性が止まり、それに合わせて足を止め。
「ただのお節介だと思ってくれていいぞ。
任せときな、最短ルートを教えてやる。
そのつもりならあの二人がやられた時点で不意打ちをかましてるな。
それとも連れ込んでほしいのか?」
溜息と共に応じた女性に揶揄うようにそう告げ。
冷たい声の釘と同時に手を払いのけられ、気の強いやつは嫌いじゃないと笑えば、こっちだと中心部に続く道を案内して歩き出す。
■シェティ > 「………確かに。其れは些か面倒で御座いますね。」
先程の男程度の力量であれば、数人束になった程度で後れを取るとは思っていないが、
さりとて容易く返り討ちに出来ると思う程己の技術を高くは評価していないといった所か。
「―――よく言われます。貴方様は私に愛想良く振舞って欲しいのですか?」
男が零したその一言に、女は小さく首を傾げながら問い掛ける。
最短ルートを教えてやると言われれば、助かります――とだけ小さく答えるも、
揶揄うような最後の一言には返事の代わりに冷めた蒼銀が男の方を一瞥するのみ。
愉しげに笑う男とは対照的に、呆れたように嘆息をまたひとつ零しながら、
それでも今は彼の道案内に付き従うように静かな足取りで歩みを進めてゆく。
■ザイケル > 女性が自分をどう思っているかは判らない。
しかしこの辺りの住人にとってはその容姿や姿は手を出そうと思えるもの。
その上に群れはするが仲間意識が薄い連中なので、最悪は仲間事に女性に対して薬品や魔法を使う可能性もあるが、そこまでは口にせず。
「愛想を振ってもらえる関係でもないだろ?
そういうのはあんたが俺に見せても良いって思えるようになった時にでも見せてくれ」
問いかけには、そんな関係でもないだろうと肩を竦め。
頼めばしてはくれるだろうが、完全な演技になるというのもわかり、見せても良いと思ったらと返し。
揶揄いながらも言葉に嘘はなく、最短で戻れるルートを選んで脚を勧め。
「あか、お節介序だがな。探しか探し人かは知らねぇけどな。
誰かについてくなら相手は選ぶか知り合いでも連れてくるんだな、ここは碌でもない場所だ」
わざわざ目立つ格好でいるのだから何か理由はあるはず。
その理由は問わないが次は気を付けろというように軽く告げ。
静かな足取りに時折にはぐれていないか確認するように視線を向け。
そうして歩いていけばやがて中心部の騒動が聞こえ始める。
■シェティ > 初めの二人組の事も、今隣を歩く男の事も、完全に信用を置いていた訳では無い。
唯、利用できるのであれば利用するし、結果として火の粉が降りかかるのであれば払うのみ―――。
少なくとも、今の女の中ではその程度の考えでしか無かったのかも知れない。
「然様で御座いますね。少なくとも、そうして欲しいなどと恥も遠慮も無く仰るような方で無くて安心致しました。
ええ………そう思える時が来る保証は生憎と出来かねますが。」
肩を竦めて見せる男の揶揄うような言葉にも、矢張り愛想は無く静かに頷いて見せるばかり。
そうした他愛の無いやり取りを続けてゆく内に少しずつ近付いて来るのは中心部の雑多な喧騒か。
「えぇ………ご忠告には感謝致します。それから此処までの道案内も。
此処まで来られればもう大丈夫で御座いますので、私はこれで。………この御礼は、また何れ。」
時折確認するように男の視線が向けられたのを見てから女は静かに立ち止まり、
エプロンドレスのスカートの裾を摘まみながら先程よりも深く、丁重に一礼を彼へと向ける。
変わらずその声の抑揚は淡かったものの、男の忠告と正しい道案内に対する謝礼を述べる言の葉は本心からのもの。
これ以上相手の手を煩わせる訳にもいかないと言わんばかりに、此処から先は一人でも大丈夫である旨を主張し、
別れの挨拶を最後に残してから、女の足は彼の許を離れ中心部の喧騒の方へと向かおうとして―――。
■ザイケル > 最初に会った時よりはマシではあるが警戒をしている様子は変わらず。
目立つ格好で貧民地区に来る割に警戒心はしっかりとしているなと感心し。
これが少しでも隙があれば連れ込みもするが、そんな隙もなく。
「初対面に頼む事でもないしな。
そりゃそうだ、この国だと特にな」
愛想なく静かに頷く女性に、そこまで頼む事でもないと流し。
中央部に戻る道中、身の程知らずの襲撃もなくあと少しという所まで。
「気にするな、ただの気まぐれだったしな。
そうか、今度はああ言うのにはついてくなよ。その時は酒の一杯でも付き合ってくれればいいぞ」
視線を向ければ足を止める女性。
スカートの裾をつまんで先ほどよりも深く一礼をする姿に軽く返し。
声に変わりはないが頭を先ほどより深く下げる姿、礼という言葉に酒でも取るげ。
別れの挨拶を告げられれば引き止めず。
またな、と軽く声を掛けては中心部の喧騒に向かっていく姿を見送って。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からシェティさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からザイケルさんが去りました。