2023/08/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にロゼさんが現れました。
■ロゼ > 平民地区から貧民地区へ移ろう境にある路地裏で、それは起きた。
下賤な風貌の傭兵崩れ、とでもいえば言い得て妙か。
行きつけの薬屋を出てすぐ、ぶつかった”この男”に難癖をつけられ、手首を鷲捕まれ、貧民地区まで引き摺って来られた。
苛立ちと辟易で顔をゆがませながら踏み留まろうと踵に力を入れるも、暴漢の前では力及ばず。
目深にかぶったフードの中からきつく睥睨し、赤い唇を割く。
「 ゃ―――めなさいッ…! あたしは謝ったじゃない…! 放しなさいッ、この―――、ッ」
品よく淑やかにまろむ造りの面貌からは似つかぬ、激情を込めた悲鳴だ。
空いた手で手首をつかむ男の掌を引きはがそうとしつつ、―――ガッと強く引っかいた。
流石に痛みを覚えたのか、苛立ちげに振り返った男が女を路地裏に押し込む。
其の儘、振り上げた拳が高く掲げられ―――、
「 ッ、―――――殴りたきゃ殴りなさ ―――― …~ッ゛ ( ばし ッ ) 」
女の頬をしたたかに打ち据え、踏み止まれなかった女の体が路地裏の壁にどさりとぶつかる。
叩かれた頬が赤く、ささくれで切れたか薄い擦り傷。ほどなくしてうっすらと滲む赤からは鉄錆の匂い。
■ロゼ > ほど遠くない場所から憲兵の喧騒が伝わってくる。
短く舌打ちした暴漢はそのまま女を置き去りに悪態をついて去った。
――幸いか。
壁に打ち付けて傷む肩を抱きながら、ありったけの睥睨で男の背をにらんだ。
女が立ち去るのは程なく。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からロゼさんが去りました。