2023/08/04 のログ
エリビオ > 「子供じゃないよ。もう16さ。」

唇を尖らせ文句を言うのがまた子供っぽく相手の期待を裏切るやもしれない。
睨む視線にも白けた目を送る。
こちらの好意を無碍にして立ち上がるその姿に背を翻しながら。

「その壁、汚いからこれで手を吹いたら?」

肩越しにハンカチを投げやる。
使うも使わぬも相手の自由。
申し訳ない気持ちと、立腹した気持ち、2つの足取りで去っていった。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からエリビオさんが去りました。
マリアローザ >  
投げられたハンカチを、反射的に受け取ったものの。
白く清潔そうなその手から放られたその手巾も、あまりにも清廉が過ぎて、
―――――遠ざかる足音を聞きながら、また、溜め息がひとつ零れた。

「―――――…16は、こどもだわ。
 白くて、やわらかくて…… きっと、汚してしまうわね」

だから、そう、駄目。
遊び相手にしては駄目だと、その程度の理性は。
この悪魔憑きの娘にも、流石に存在する、ということだ。
ヴェールを剥がされた時のまま、打ち乱れていた髪を手櫛で梳き流すと、
白っぽく埃じみた黒衣の裾を軽く叩いて整える。

マリアローザ >  
夜半を迎えて、尚、空気は生温かく湿っている。
狩るにも、狩られるにも、今宵はきっと日が悪い。

そう判断をつけて、娘はふらふらと歩き出した。
その姿は程無く、深まりゆく闇に紛れて消え――――――――――。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からマリアローザさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にタマモさんが現れました。
タマモ > 「………ほれ、見た事か。
やはり、迷ったではないか」

王都マグメール、貧民地区。
どこぞの大通り、その片隅で、少女はぽつりと呟く。

今回、己の式からのちょっとした頼み事で、この場所にやって来ていた。
最近、何でも調合に凝っているらしく、色んな書物、色んな材料を集めては、色々とやってるらしい。
…まぁ、何にでも興味を持つのは良い事だが…
その調合内容次第では、戻った途端、その臭いにやられる事がある、との困った事が起きていた。

さて、そんな事は良いとして。
とりあえず、地図と買い取りリストを手に、通りを利用して、来た訳だ。
ただ、正直、地図が細か過ぎて、逆に分からない。
リストを見ても、何がどんな材料なのかさえ、分からない。
…あれ?何か、先に来ている己の方が、色々と知らない事が多い気がするぞ?
まぁ、余り、そう言った事は、気にしないが。

タマモ > ちなみに、地図を見れば分かる事、なのだが。
大通りではなく、目的地は裏通り。
実際に行ってみると、入り組んだ路地で、その店自体もこじんまりとしており、目立たない。
所謂、目立たぬ名店、と言うものだろう。

そして、リストに書かれた材料の内容は、様々な治療ポーション系のものだ。
色んな病気から、毒から、そうしたものを除去する、そう言ったもの。
ただ、一般的には分からない、それなりに腕や知識がないと…それくらいのものだから、少女にも分からないのは当然か。
そうして考えると、そうしたものに関しては博識な式だと思える。

「ふむ………やはり、こちらじゃろうか?」

と、そんな事はさて置き、少女は再び進路変更。
だが残念、それもまた、目的には向かえぬ道であった。
気付かぬ上に、進めばいつか辿り着く、そんな考えを持つ少女だからこそ。
そんな感じに、間違った道を、歩み続けているのだろう。

タマモ > さて、結局のところ、目的地には到達したのか。
…まぁ、歩き続けていれば、もしかしたら、いずれは…とは思うのだが…
それとも、見事にスルーし続け、諦めたのか。

その辺りは、その時の、少女の気力や気紛れ次第。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からタマモさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にフーさんが現れました。
フー >  
「どうぞ、気を付けて食べてください」

 貧民地区。そこで行われる奉仕。この時期ならば珍しい事ではない。
 しかし異様ともいえるのはその状況。
 まず配られている物がお菓子程度の軽い物であるという事。炊き出しというレベルではない。まるで無くなっても問題ないと言わんばかりに、ある種馬鹿にしているレベルの安いお菓子であるという事。
 ふたつ目がその配っている人物。明らかにただの修道士ではない。線の細い女性にも見える容姿をした男性。しかし髪の先にまで手入れが届いたそれは貴族、更に言ってしまえばもっと上の階級を思わせる。
 三つ。だというのに護衛すらいない。まるで襲ってくれそう言っているかのように。
 それはまちがっていない。彼は襲われに来た、正確に言うのであれば襲われる為に送り込まれたが正解だろう。
 王族がこの街で滅茶苦茶にされる。それを見て喜ぶ層がいる。その欲求を満たす為だけに送り込まれたのだ。
 どうか何も起きないでくれ。そう思いながら彼はお菓子を配る。これを配り終えるまで無事ならば終わるのだから。
 とはいえ、そうは上手くいかない。貧民地区、そして平民地区。様々な所に噂が広まっている。このお菓子を配る修道士は金をとらずで相手をしてくれる男娼だと。

フー >  
「……ふぅ」

 しかし何も無ければ何もないで今度は折檻が待っている。それはそれで嫌な話だ。
 だから1番の理想としては優しい人と出会える事なのだろう。つまらない顔はされるだろうが一番ありがたい結末だ。
 どのような結末を辿るかわからない。
 子供が寄ってくる。

「はい、どうぞ。ゆっくり食べてくださいね」

 お菓子を配る。優しい笑みを浮かべて。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からフーさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 貧民地区」にヴェルソートさんが現れました。
ヴェルソート > 「んんぅ……!…はぁ~…。」
貧民地区の一角、グゥッ…と盛大に伸びをして体をほぐす仕草をしているのは、隻腕の男。
中身のない片袖をひらひらと風に揺らしながらも、夜の闇の中でもなお、薄暗さが目立つその場所に不釣り合いな仕草と声。
夜が自分の仕事の時間、とばかりに宿から出てきたは良いのだが…。

「さて…今日はどうしようか。どこかの酒場で歌うか…娼館にでもお邪魔するか。」
酒場にしろ、娼館にしろ、客になりそうな男を探すか、歌でも披露しておひねりをもらうか…の差しかないが、場所で客層は異なるもので。
娼館ではどちらかというと、娼婦の御姐様方への娯楽提供が主になる。
なんだかんだで客待ちの間の娯楽の少ないここでは、そこはかとなく、自分でもなかなか需要はあるのだけど…でも自分も客は取りたいなぁ、とも思うわけで……顎を擦りながら、悩む。

ヴェルソート > 「……ま、歩きながら考えるか。」
体を翻せば、コートの端々についた金属がシャラリと音を立て…そのまま緩やかに…貧民地区の奥へと、歩き去っていく。

ご案内:「王都マグメール 貧民地区」からヴェルソートさんが去りました。