2025/03/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城・夜会」にファロウズさんが現れました。
■ファロウズ > 本来はこういった場所に呼ばれる身でも立場でもない男の姿が社交の場の隅にいた。
ふらり、と近くを通りがかる貴族に『何か』を渡しつつ、視線も言葉も交わさない。
着用しているものはタキシードに白いワイシャツ。いずれも新品同様で、ある意味場違いにも思える男の姿だった。
その男の近くを通りすがるのは偶然か必然か。悪い方面で名が通る貴族ばかり。
壁の華ならぬ壁の枯れ木と言った風情の男がゆっくりと壁際から背中を引きはがし。
手にはシャンパングラスを2つ。それを手にしてゆっくりと近寄ってくる。
眼には微笑み。口元は僅かに緩みさえ見えるかもしれない。
「――失礼、お酒のお相手をしていただいても?」
その声は、白い化身ともいえる彼女が背を背けたりしない限り。
確実に彼女に向けての誘いの言葉を紡いでいた。
シャンパン自体には『まだ』毒や怪しげな薬は仕込まれていない。
細かな泡が水面で弾けると葡萄に僅かな金木犀の華やかさが混ざる香りが鼻腔を擽ろうとしてくる。
■エリザベート >
夜会の場で物色を続けていれば、ふと己に声がかかる。
視線をやれば、実に目立つ燃え上がる様な赤髪。黒いタキシードに見と包み、場に相応しい出で立ちをしてはいるが、王族貴族に見識の広い女にとっては男がそれに類する者でないことは瞭然であった。
「おや、ナンパかのう?
妾もまだまだ捨てたものではないな~♡」
妖艶な笑みを浮かべながら、渡されるならば遠慮なく、優雅な仕草でシャンパンのグラスを受け取ろう。
「お主、王族や貴族の者ではなかろう? 招待された平民か?」
まぁ誰がいようと構いはしないのだが、見覚えのない顔へとそう問いかけて。
■ファロウズ > 手渡したシャンパングラスに小さな、そして軽やかな音を立てて自らのグラスを軽く触れさせて残った1つを自らの口元に。
ナンパと言う声には微笑みを浮かべて聞き流すそぶりを見せたが、捨てたものではないという声には首を左右に振って見せた。
「ご謙遜を。その気になれば貴女は舞台の中央を彩れるでしょう。
相手が美しすぎて気後れする方が多いのでしょう。」
問いかけられた言葉にはまだ微笑みを崩さない。
この夜会に招待されるに足る理由を持っているが、表に出さず。
それでも龍の目――いや経験やセンスと言ったものがあれば僅かに言い淀んだ空気、言葉に仕掛けたものを飲み込んで二の句を紡ぎだそうとしているのがわかるかもしれない。
「えぇ、そんなところです。
研究ばかりするのではなく外の空気に当たれと。
日の光で眩暈がすると口にしたら、この夜会に。ずっと壁で立ち尽くしていては招待してくださった方の沽券にも関わるかもしれませんので。
思い切って、目を引く美しさを持った貴女に声を掛けさせていただきました。」
この言葉、よくよく反芻すればおかしな点。言いつくろっているがチグハグな点もある。
気が付くかどうかは彼女次第ともいえる。
グラスの中身を口に含み、ゆっくりと呼吸を整えつつ。次の彼女の言葉を待つ様に言葉を切っていた。
■エリザベート >
「褒め言葉が露骨じゃな~♪
舞台の中央なぞに据えるのであればもっと若い者が相応しいかろうに」
乾杯の小気味よい音を鳴らしたグラスを艷やかな唇へと運べば、葡萄の実に良い香りに包まれる。
「ほう研究とな。魔術師か何か、かのう?
よくない連中に利用されぬよう気をつけるのじゃぞ~?」
く、く、と。
小さな笑い声を忍ばせる女は、男が先程から悪い噂の絶えぬ連中とすれ違い様に何かをしているのを見逃してはいなかった。
「妾はエリザベート。この城で魔術指南と相談役などをやっておる」
そしてグラスの酒を上品とは言えぬ勢いで飲み干す様…ぷはーっと実に豪快な飲みっぷりである。
シャンパンはそう飲むものではない。
「故に…あまり怪しい真似はせぬようにな?
この妾がしっかりと眼を光らせておるからの♪」
どれほどまでを見透かしているか、あえて口にはせず牽制のように、男…ファロウズにだけ聞こえる程度の声量でそう告げるのだ。
■ファロウズ > 「若さとは別に積み重ねた美しさと言う物もあるでしょう。
もっとも社交の場で中央に――エリザベート様が鎮座しては他の華も霞んでしまいますか?
失礼、名乗りが遅れました。ファロウズと申します。お察しの通り王族貴族や騎士といった存在ではないので家名は……ございませんが。」
利用してもいるのだし、利用されてもいる。
悪と言う立場にもそれなりの種類があるが、彼が属する悪は個の力でどうこうするような存在ではなく集団でどうこうするような集まり。
グラスの中身を飲み干す様を微笑みながら見つめ、釘を刺されるような声には軽い頷きを返して見せた。
「――なぜ研究が魔術師と結びつく、と?」
その声に含まれたのは少しばかりの警戒感。
だが本音は違う。時間稼ぎなのだ。夜会の参加者で悪に属する集団からの依頼と言うのが本当のところ。
噂話程度や成敗された悪党の話などからいくつかの手札と対策を練って夜会に徒党を組んで参加しているというのが本筋。
「怪しい真似など何も。――なるほど、相談役ですか。
では私からも相談が1つございますが。乗っていただけますか?」
魔術師と見抜かれた可能性をかぎ分け、時間稼ぎと場の移動を促す。
相談事、と言うからにはこういう場では話しにくいモノなのだろう。
夜会の場所からわずかに離れた小部屋を視線で示し――。
「乗っていただけますか?」
微笑みつつ。教えられた、プライドの高さと。彼女の個の強さと。
――面倒見の良さに付けこもうとするような誘い水。
仕掛けが十全に機能するとも限らないが、それでも依頼を無視すれば自分自身にも災いが降りかかる。
そう、これは自分の身を護るためでもある誘いであり、願いであり――邪念も混ざった問いかけの言葉になるだろう。
■エリザベート >
「妾は古い人間じゃからのう。
研究といえばまずはじめに結びつくのは魔法の類じゃ。
昨今は魔導機械などの研究も盛んじゃが、それも根底は魔術という膨大な学問じゃろう。
単純に、その確率が高いだろうという話しじゃよ」
今の時点では、王城に多くいるだろう悪事を働く者の一端か否か…といった程度の見方ではあったが。
ファロウズ、と名乗った男を鋭く縦に裂けた瞳が見つめる。
誘いでも鎌をかけたという程でもなく、しかして男はそこに食いつくような返しをする。
「相談役といっても先に悩む若人達の、という言葉が先につくのじゃがなあ…。
───まぁ、よかろ。お主の素性にまるで興味がないというわけでもない。酌の礼として付き合うてやろう♪」
自信たっぷりにそう言葉を返し、ファロウズの示す先の小部屋へと視線を移す。
この夜会で何かが動いていたとして…それを全て暴くことは個の力では到底敵わぬこと。
それには準備と、何よりも情報が必要となる。そしてその情報は、目の前の男がいくつかは握っているか。
そういった勘も働き、微笑みを見せるファロウズの提案に乗る形で、それを承諾してしまう──。
■ファロウズ > 「はは、私自身は若人からは外れてしまいそうですが。
ありがとうございます。――あちらの部屋に良いお酒と良いおつまみを。」
そう口に出した男は、女性をエスコートするように前に立つ。
実際には。そう、その鋭く縦に裂けた瞳に動揺や背筋が凍るような思いをしたことを悟られないための虚勢。
効果が十全に発揮出来れば――あるいは。彼女の本当の力を知らないからこその淡い期待。
ゆっくりと前に立って小部屋へと案内する男の足取りはしかし、ほんの少し。恐怖のせいか酒のせいか震えていたのだった。
■ファロウズ > 【移動いたします】
ご案内:「王都マグメール 王城・夜会」からファロウズさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城・夜会」にファロウズさんが現れました。
ご案内:「王都マグメール 王城・夜会」からファロウズさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城・夜会」からエリザベートさんが去りました。