2025/03/06 のログ
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ご案内:「王都マグメール 王城・テラス」にエリザベートさんが現れました。
エリザベート >  
陽光煌めくマグメール王城。
屋外へと張り出したテラスに純白の丸テーブル、そしてティーセット。
更には瑞々しく煌めく果物籠。

丸テーブルと同じく白いチェアにかけるは、その豊満さを惜しむことなく薄布のドレスに包みこんだ女。

「往来は平和なものじゃな」

行儀悪く頬杖をつきながら、指先でぷちりと千切った葡萄を口へと運び、城下の賑わいを眺めていた。
時間も時間であることから城下の往来は実に賑々しく、冒険者や商人達が声を張り上げる活気に満ちている。
薄寒かった時期も少しずつ鳴りを潜め、ぽかぽかとした陽気に照らされる実に心地の良い気候となっていた。

「ふぁ……。此処最近は悪どい輩も隠れておるのか…表向きは実に平穏無事よの」

小さな欠伸をしつつ、それはそれで国民の者たちにとっては悪いことではない。と。
王城に魔族が入り込んでいたり、危険な薬物が横行したりと…水面下で起こっている程度で済むならば。
それらが平然と表に染み出しているような時期もあったことを考えれば、良い方向に向かっているのかもしれぬと。

エリザベート >  
ただし、表に見えぬだけで存在するのが闇。
こうして日の高い内は影に潜み、闇に閉ざされた夜になればその顔をひっそりと出してくる。
この国の抱える闇は実に根深く、新たな厄ネタも次々に生まれてゆく。
そんなものに、この国の将来を担う若者が毒され、侵されてゆけばいずれはこの国自体が腐ってゆく。
そればかりは見るに耐えぬと、魔術顧問の相談役として長年この王城に蔓延る悪から王子や王女を守ってきた。

しかしそんなことを続けていれば、当然自分を邪魔と断ずる者が浮上してくる。
それで直接手を出してくればしめたもの…、浮き彫りとなった病巣を粛清する好機となる───。

「と、いったことも最近はそうそう起こらんしな。
 闇が薄れてきてくれておるのか、それともより狡猾に闇に潜んでおるのか…」

なくなったなどということはあるまい、と。
政治的思想や私欲による軽微な籠絡や策謀は未だ日常茶飯事。
常々、己の手の届く範囲で王子や王女にはそういった手合の食い物にはされてくれるなと忠告を続けている。

なお、自分が愉しむために若い者の交わるのはそういった悪い要素はないのだ一向に構わない。としている。

エリザベート >  
「のう?そういえば先日の夜会で見かけた…どこの家の三男坊だったかのう?
 実にかわゆい顔をしておってな~♡ アレは将来有望じゃぞ。唾をつけておかねばな♪」

物静かに後方に控えている侍従へと朗らかに問いかければ。
○○家の御子息で御座います。と顔色一つ変えずの淡々とした答え。
やや冷たくも感じるが、自由気儘な楽隠居の侍従としてはそうでもないとやっていられない雰囲気がじわじわと感じられる。

「魔術を志すならば妾が直々に手解きをしてやろうかの。
 むふふ、手取り足取り密室で、じゃ。」

涎が出ていますよ。などと侍従につっこまれ、「おっと」と、それを拭う。

「まぁまだ早いがな。
 ただ、青い果実のうちに狩られぬよう、目をかけてやらねばな」

そうですね、と気のない返事。
こういったムーブもいつものこと。

エリザベート >  
「さて、夜に備えるとするかのう。
 寝台の支度を頼むぞ、フェレンツィスカ」

名を呼ばれた侍従は恭しく頭を下げ、それではとエリザベートの私室へ。
乱れに乱れることも珍しくない彼女の寝台は、彼ら侍従達の働きによって常に美しく保たれている。

葡萄の一粒をもう一つ、最後に艶めかしい舌の上へと運び、エリザベートもまた緩やかに立ち上がる。
見下ろすは活気づく真っ昼間の城下町。

「たまには城下に降りるのも面白いじゃろか…」

ぽつりとそんなことを零している女の背に、寝台の支度が整った旨の侍従の声が届く。
実に仕事が早い。優秀である。チップを弾んでやろう。

優雅な佇まいで踵を返し、王城の中へ。白魔女は陽光差すテラスを後にした。

ご案内:「王都マグメール 王城・テラス」からエリザベートさんが去りました。