2025/02/17 のログ
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ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にホウセンさんが現れました。
ホウセン > 夜の王城。
国家の中枢たるそこは、灯が消えることは無く。
今も残務整理に追われる文官や武官が詰めているだろうし、はたまたちょっとした催し物もあるかもしれない。
されど、流石にこの時間に、子供の出入りというのは稀有な部類に入ろう。
良い子はベッドで寝ているべきだという倫理観もさることながら、どんな用事があるというのだと。
強いて言うなら、観賞用。
或いは、好事家の呼び出した毛並みの良い変わり種。
最大限好意的に見て、北方帝国の使節の随行員といったところ。
だからというべきか、衛兵の聞き取りも腰が引けている。
控え目に言って、素性の分からなさ故に何処に地雷があるのか分かったものではないのだから。

「うむ、お勤めご苦労じゃな。

飴玉でも一つ…要らぬ?
嗚呼、尚のこと勤勉で称揚されるべきであろうな。」

王国が健全な頃であったなら、それでも愛国心に燃える徒が居ただろう。
だが、今はそういう時代ではなく、そういう世情でもない。

「さて、用事を済ませてしまおうか。」

今宵、王城に現れたのは、知己の王族に頼まれごとの進捗を報告するため。
幸か不幸か職場に缶詰めにされているというから、擦れ違いは少なかろうと。
健全過ぎて不健全なぐらいの勤労っぷりに、茶々でも入れようというのが主目的らしかった。

ホウセン > 催し物が開かれる広間は、顔繋ぎの為に幾度も足を運んだ経験がある。
といっても、今宵の用向きはそちらではないと、未練たらしい風情も無く。
煩悩の塊のような欲深さをしていると言っても、美食に美酒にと釣られない程度の分別はあるようで。
石造りの回廊には、さして歩を進めなくとも次から次に衛兵の姿。
幾ら、奸臣に佞臣に異国の工作員に――素性の分からぬモノの跳梁を許しているといっても、
表面的な警備は十分以上に整っているように見える。
問題は、それだけの頭数が居ながらも、さも当然というような面の皮が厚い子供を、誰も押し留めないということか。
この黒髪の少年が、どこかの有力者の”お気に入り”だった場合に生じるであろう厄介ごとを厭うている。
その心情は察して余りあるし、そのような恣意的な裁量が赦される統治に問題があろう。
けれども、その位の方がこの人外にとってはやり易いというのも事実だ。

「もうし、――殿下への報告に参ったのじゃが、今もご在室かのぅ?

嗚呼、もしも殿下が取り込み中でないようであれば、取り次いでもらいたいのじゃよ。
儂の名…ホウセンと伝えれば分かってもらえる筈じゃ。」

流石に執務室の扉は、素通りできる筈もない。
背丈の小さな来訪者に、不審と興味と混ぜ合わせた視線を向ける衛兵の一人に取次ぎを願い出て。
勿論、夜分であることを理由に追い返される可能性も少なくないから、幾許かの”心遣い”を握らせて。
さて、意中の相手が居れば良しだけれど、都合よく物事が転がらぬのも承知している。
さぁさ、折角なら何事か起こらぬものか――等と、不遜な内心は、人形のように整った顔立ちに覆い隠されて。

ホウセン > 待つ時間は、幸いにも長時間と呼ばれる程でもなく。

小さな体を迎え入れて閉じられた扉の先、きっと善からぬ彼是が張り巡らされるのだろう――

ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」からホウセンさんが去りました。