2025/02/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にファルスィークさんが現れました。
■ファルスィーク > 王城の中でも一般解放されている空中庭園ではあるが、この寒空の中ではさすがに来訪するものも少ないらしく人気はまばら。
風が無いので体感温度はマシではあるが、それでも、底冷えはしてきそうなほどの気温を和らげているのは、差し込んでいる陽光のおかげだろう。
夏の刺すような日差しとは比べ物にならない程、柔らかく穏やかさを感じつつ芝生の上へ胡座をし抱えたリュートに張られた弦をつま弾いた。
即興ではあるが、作り上げたゆったりと柔らかな旋律は周囲へと流れかき消えていく。
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にリュシアンさんが現れました。
■リュシアン > 顔を曇らせた少年は学院からの帰路を急ぐ。
今日は講義が終わったから、邸でゆっくり茶でも嗜みながら読書をしようと思っていたのに、帰り道にまた良くない輩に絡まれてしまった。
未遂で逃げられはしたものの、すっかり明るい気持ちではなくなってしまった悲しみに顔を曇らせ、服装を直しながら歩き、そして今に至る。
「…?」
ひんやりとした何もない空気を小さく啜り上げた時、柔らかく耳に届いた音楽に気づいてずっと爪先から半歩先だけを見ていた視線が持ち上がる。
音楽が聞こえてくること自体は少なくはないものの、何処から聞こえてきたその柔らかい旋律が気になった少年の足は自然と音の聞こえてくる方向へと足を向けなおした。
■ファルスィーク > 普段は被っているフードを外しているのは、人が少ないのと陽光が心地良いから。
冬特有の澄み切った空気は、空よりいっそう青く魅せており、漂う僅かな雲の白色が鮮やかに目を楽しませていた。
そんな景色を愛でながらも指先の動きに乱れはなく、旋律は途切れる事はない。
英雄譚などを乗せれば吟遊詩人の出来上がりではあるが、今は興が乗っている訳でもない。
囀る詩なども特に思い浮かばないまま……である現状。
そんな中かなに、己の方へと足を向けてくる一人の少年?の姿に気付いて向ける視線。
さて…少女と判断した方が良いのだろうか。
その容姿を見れば、己の知った人物であると思い至り、軽くの目礼を。
「……リュシアン公か。随分、珍しい場所でお目にかかる。
公が覚えているかどうか分からないが…末席に名を連ねているファルスィークだ。」
カルネテル家の子息である事は承知してはいるが、さて、己の事が相手には分るだろうか…と思い、とりあえずの名乗りを続け。
■リュシアン > 心地よい旋律の先にあった姿に、少し足を止めて聞いていようとした少年の行動を止めたのは奏者からの挨拶。
青と緑にはありありと動揺が浮かんだだろう。
「えっと……」
仮にも王家の末席に連ねる子供の反応としてはやや幼いだろう。
自分の名前を即座に言い連ねてきたということはあったことがあるはずの相手であるから、と賢明に思考の中でその名前を繰り返し捏ねて、切りなおして、また捏ねては反芻する。
漸く思い当たったその名前に、ぱっと顔に驚きが載った。
「…ファースさま」
今よりもさらに幼い頃に出会った相手だから、すぐに出てこなかったのだ。
母が主催したお茶会で小さいころに二、三度会ったことがある。
初めての面識を得たころはまだLとRの発音が上手くできなくて、何度も何度も名前を反芻させて貰ううちにその呼び方になってしまった。
勿論、当時は自分の名前もちゃんと言えなくてリュシアンと言っているつもりなのにウシアンと名乗っていたことも多く。
懐かしい気持ちにじんわりと浸りそうになった気持ちを慌てて押しとどめながら丁寧に頭を下げ、かけて、目礼で留めた。
王族なのだから、簡単に人に頭を下げてはいけないとは誰の訓示だろう。
「ご無沙汰しております、お元気でいらっしゃいましたか?」
少し開いていた距離を縮めるために歩を寄せて、演奏の邪魔にならないようにと少年の拳四つ分くらいの距離をあけて芝生に腰を下ろせば丁度声も程よく聞こえる距離か。
■ファルスィーク > 王族とは言ってもそれなりの数がある中で、相手は名家であり己は末席の身。
幾度か顔を見せる機会はあれども、その時点では幼子であったので、覚えていなくとも無理はない。
それでも、記憶を手繰っているのは仕草と表情から読み取れ…そんな姿に目元を緩め唇の端は僅かに上がった。
そんな相手に変化が見えた後、己の名らしき声が聞こえれば……数度、瞬きをしてから肯定するように頷いて見せた。
「確かに久方振りになるか。
私の方は、相も変わらず好き勝手にのんびりさせてもらっている」
目礼で済ましたのであれば、小さく会釈をかえした。
此処にいる2人が王族である事を知る者が、この空中庭園に如何程いようか。
もっとも、相手の身分からして、目に見え場所で護衛をする者がいるかも知れないが。
傍へと近づいてくる相手の性別について、身元が分かれば容姿についても納得できるもの。
腰を下ろしたのを見やると、さすがに学院の制服だけでは肌寒そうに見え……小さく「カロル」と呟けば、相手の周囲の空気はぽかぽかと春先の陽気に包まれたように暖かくなっていくか。
「学院生か……公の場合は色々と苦労は多そうだ。
私も時折、臨時講師をしているが、耳にすることはあるのな」
学院という閉鎖社会の中で起きる問題は数多く、そこには分かり易い内容で言えば勉学、運動、貧富等の優劣によって起こる上下関係。
相手もそれに晒されていそうではあると思ったのは、制服の乱れ具合を見たからではあるが。
■リュシアン > 自分がおぼろげながらも手繰り寄せた名前は間違っていなかったのだろう。
僅かに持ち上がった唇の端を認めれば、少年の表情もようやく明るくなった。
「本当にお久しぶりです。
僕ももう、ファースさ、…ぁ、
えっと…ファルスイーク様のお膝に乗せていただくには、大きくなりすぎました」
ふんわりと周囲が温かくなる気配がする。
少し驚いたが、それもすぐに温かさに馴染んで消えてしまった。
そういえば、いろいろあって外套も校舎のどこかで落としてきてしまった。
「はい、去年から史学を。
……申し訳ありません、きっと、お耳汚しを」
耳にする、との丸めた表現はきっといい噂ではないのだろう。
外を歩けるくらいには正したつもりでも、王族の身分を持つ奏者にはきっと隠した仔細は見て取れよう。
一度は穏やかに上がった顔もまた自然とそろえた爪先のほうに向いてしまう。
温かくなったはずなのに、また寒くなったような気がして制服の襟元をきゅっと指先で握った。
学院の外に出れば、少年にも気が付かないうちに護衛がつく。
けれど、学院の中ではそうも行かない。
だから、追い回されるのは学院の中であることが殆ど。
特に考査が集中しているような時期ほど身の回りが不穏になる。
年が明ける前もそうだったが、この先もきっと増えるだろう。
そのことが、余計に少年の顔を曇らせた。
■ファルスィーク > 「さて……私から見れば、公はまだ幼子と大して変わらない。
故に膝に乗るくらいは容易いと思うが…いや、子供扱いしすぎるのは、よろしくないのか…」
相手からの言葉に肩を竦ませ小さく笑いながらの返答。
だが、言葉の途中にはたと気付いたのは、思春期に差し掛かる時期特有の難しさ。
元服にはまだ少し歳が足りないが、成人相応に対した方が良いのか悩むところではある。
相手に施したものはすぐに効果を発揮したようではあるが、質問に対して表情と雰囲気が陰るのは、どうやら心当たりがある模様。
リュートの弦を弾く指を止めると傍らの相手に対して手を伸ばし、軽く頭を撫でてみようか。
「勉学が楽しめているのならば何よりではある。
……公が謝罪する理由は何処にある。
…自ら解決する事が出来ない…それが罪になるか。
まあ…王族の血筋と矜持に照らし合わせれば、罪になると言うものもいるかも知れないが」
肩を竦ませながら小さく吐き出した白い息。
相手の気質から、それは素手で竜に挑むほどの勇気を必要とすることになりそうだと。
「一人で解決が難しい時は、他に助力を求めればいい。
ただ…最終的には、己の手で解決するのが最良だ」
力であれ知恵であれ、助力を求められれば惜しまない者もいるだろう。
ただ、助力者に解決してもらうのではなく、結果的には相手自身の手で解決するのが望ましい。
学院内で護衛が役に立たないのは仕方がない事ではある。
まして、相手の家の特性から、そう言った不穏は引き寄せる傾向にあるのかもしれないが…。
「…護身の術を望むのならば、教えても構わないがな。
技法であれ術であれ、覚えれば自信は付くだろう。
自信は雰囲気を変えるからな……それだけでも、近寄りがたくはなる筈だ」
そんな言葉を掛けつつ、抱えていたリュートを相手と反対側へと置き、上体を捻ると両手で相手を抱え上げる事が出来れば、そのまま胡座している己の脚の上に座らせてみようか。
■リュシアン > 「そう、でしょうか。
…もちろん、ファルスイーク様と比べたら……まあ、確かに……でも…うーん」
座る折に膝を抱えた両の腕を伸ばしてみる。
その先の掌を、握って、開いて、また握り、再びやんわりと膝を抱えなおした。
兄の体格を鑑みれば自分にも同じぐらい大きくなる可能性がある、と思いたい気持ちはあるものの、今はどちらかと言えば姉の体格のほうがずっと近い自覚もあって、それがまた少し悩まし気に眉を寄せる原因でもあった。
「勉強は、楽しいです。
知らないことを知るのは本当に面白くて…でも」
学院には勉強以外のことも裏に手薬煉を引いて待っている事実が、辛い。
ふんわりと温かいのに、気持ちが寒い。
そんな気持ちを見透かしたかのように頭の上に乗せられた掌に爪先へと向かった視線が掌の上を向いた。
奏者の言っていることは勿論わかる。
というよりも、解るように話してくれているのだろう、ということが伝わってくる。
それが有難く、同時に嬉しくて少しだけ冷えが和らいだ気がした。
「…僕も、できれば自分で、どうにかできるようには、なりたいんです」
こういう時ばかりは己の内向的な性格が恨めしい。
目の前の美丈夫のように毅然と対応できるようにもなりたいとも思う。
けれど知らない相手の前だとどうしても気持ちが萎縮してしまうのは性分なのだろう。
「ほ、本当ですか?
学んで、身に着けられたら僕も少しはベル兄さまみたいに強く……わっ?!」
座り込んでいる状態から抱えあげられるとは思ってもみなかったから、流石に驚いて声が上がる。
微かに遠くで葉擦れの音が聞こえた気がして、小さく首を横に振る。
此方を刺激しないように控えながら侍る護衛に、今は動く必要はないと示すように。
驚きも少しの間を以て落ち着きを得れば、もっと軽々と膝の上に乗せてもらった頃が懐かしくて口元が漸く柔らかく綻んだ。
「…ふふ。僕も、強くなれますかね」
お互い座っていてもなお上背がある男を見上げて首を傾げた。
■ファルスィーク > 体格を確認するかのような動作を横目で見ていたが、華奢な手足は男子というよりは女子に近しいか。
それでも成長期に差し掛かる年頃である為に、躰作りとしては重要な時期の入り口となる。
とはいえ、相手の性別も成長には関係してくる事を鑑みるに、逞しく男らしい…というよりは中性的か女性寄りになりそうな雰囲気が濃厚か。
相手の性自認を考えると、その辺りを言葉にするのは酷かもしれないと思案しつつ。
「それは良い事だ。
知る事の楽しさをのは、学ぶべき者の模範とも言える。
そして、得た知識をどのように応用するかが知恵となる」
純粋に勉学を楽しいという得るのは才能の一つでもあると。
もっとも、相手の家系故に求められる事がそればかりでは許されない事も知ってはいる。
望むと望まざると、それは生まれ持った宿命の様なものとなるのだろうが。
柔らかい髪の感触を掌に感じつつ撫でていると、多少は気が紛れるようになったのか、声の色にも変化が出てきているのは感じ。
「ふむ……であれば、公から動いてみる事だな。
どうにかしたいが、方法が分からない…答えが見つからないのであれば、尋ねればいい。
それも学問と同じく、知る事で方法が見えてくることもあるだろう。
そして、助力したくても自ら言い出すのはお節介になる…と、考えている者もいるかも知れない」
内向的ではあるが意思はしっかりある。
ただ手段が見つからない、分からないだけなのだろう…そんな風に感じたので、己から出来る助言を述べつつ、抱き上げて先程話題に挙がった膝に乗せるという行為を実行してみる事になった。
「兄のベルナルド公か……あのようになる可能性が全くないとは言えないが…。
武を学ぶのであれば、公の場合は剛より柔の相性がよさそうだ。
術の素質は……さて、如何程なのか」
相手の兄の名を出されると、容姿は思い出しはするが同等になれるかと問われると、若干口が濁りはしつつ…だが、特性に合っている物を勧めるのであればと。
相手の魔力の素質に関して、感知できる己から見れば如何程の物かは測りかねる部分もあり即答は出来ないが、覚えて損はないものではあるだろう。
■リュシアン > 「王立学院だけあって、邸にはないような本もあるんです。
だから、本当はそういう本を探しに図書館にも沢山行きたいんですけど…」
言葉尻が窄まるのは図書館を正しく図書館として利用しない不逞の輩の存在が理由。
本当は中々開かれる機会が少ないだろう奥まった、文字通り古い歴史の詰まった本たちに興味があるのに、そこにたどり着く道程への恐怖は計り知れない。
それでも、頭を撫でてくれる掌に感じる穏やかさが心地よく、柔らかく癖のある髪は奏者の指先を擽るだろう。
兄のようになれる、とは流石に断じづらかったのだろうことは雰囲気から感じる。
憧れはするけれどきっとあの様には成れないだろうという気持ちも少年の中には合ったから、そこまで深追いはしない。
だから自然と、剛よりも柔、というその言葉にも頷くことができた。
「魔術のほうは…どうなのかなぁ。
おばあ様の素質がちょっとでも引き継がれてるなら、素質がいくらかあってもいいと思うんですけど…
きちんと確かめてみたことはないんです、史学を学ぶ方が先に面白くなってしまって」
性格もあって自身で身を護るという方向にはどうしても発想が向かなかったこともあるのかもしれない。
こうやって改めて自分自身と向きあう時間を得た少年ははた、と寒さから解放された先程の暖かさを思い出した。
「あ、あの、そういえば…
もしかしてファルスイーク様は、魔術がお得意なんですが?」
もっと小さいころに会ったきりの相手のこと、少年が知っていることなど限られていた。
学院の講義は専門性が高いものばかり、なので複数の方向性で学ぶ学生は決して全員とは言えないし少年も今は史学に絞って学んでいる。
問いかけと共に見上げたその両の瞳には、己の知らない知識への興味と、好奇心を満たしたいとばかりの、いかにも少年らしい彩を載せていた。
自分から動いてみる事、その言葉は文字通りすぐに実践される。
もしも彼が魔術を得意としているのなら、素質の如何よりもまずはその学問の扉を叩いてみようという紛れもない知恵に対する欲望。
それが、珍しくも内向的な少年の随分と重たい積極性の腰を上げさせているに違いなかった。
■ファルスィーク > 「図書館の利用か…あそこの蔵書量は確かに相当なものだからな。
専門書も充実してはいるが、行けない理由となると……」
言葉が弱くなっていく理由は、相手が直面している厄介事にも関係しているらしい。
ある意味、施設の不正利用という事で、学院側へ苦情を申し立てし取り締まりを強化を要求するなりしても良いのかもしれないなと考える。
教師陣にも一部の生徒の為に学ぶ機会を奪われた生徒の損失をどう考えるのか…等と言えば、多少は改善するかもしれない。
と、それなりに内側から対処する事を相手に話しつつ…妙に触れ心地が良いと感じてしまうのは、相手の血筋ゆえの特性だろうか。
ちなみに、柔と言えば…と言いながら、相手の細い手を取りながら軽く捻りつつ決める関節。
無論、痛くない程度に留めはするが、そうする事で動きを封じる…もしくは動けなくなるように腱や骨に損傷を与える事が出来ると簡単に説明しつつ手を解くか。
「血筋に素質のある者がいるのなら、可能性は高いが…では、その内に確かめてみるか。
素質があるのなら伸ばせばいい。
……相当、史学が楽しいようだな。先程よりも活き活きとしている」
己へと挙げられる目線と問いかけに首を傾げつつ見下ろして小さな顔と澄んだ碧い瞳を見やり。
「まあ、得意と言えるくらいの腕はあるつもりだ。
私の使うものは少々、特殊で専門的はあるが、一般的な物も使えるので希望があるのなら教える事は出来る。
……イフレーアのテミス公も教え子の一人ではあるな」
そう言えば…と、家系は違うものの、租を同じくするカルネテルの子息も教えている旨を伝えてみる。
そして何やら目を輝かせつつあるのを見ながら、そういう意味では、知識欲が在る辺りでは似た者同士かも知れない。
好きな事に対して貪欲なの部分…内向的なせいで中々表に現れない欲求を、自ら言葉に出している事は良い傾向としてみていいのだろう。
「…目が輝いているな。
ようやく、公らしい表情を見る事が出来たような気がする。
望むのであれば迎えよう」
ふっと浮かべる笑みと共に、相手の耳元で囁く言葉。
それと共に、連絡先と学院内の己の部屋の場所も伝える。
気付けば、すっかり暗くなっている空には星の瞬きと共に月が姿を見せており――随分長く話し込んでしまったかと呟けば、胡座の上に座らせている相手を抱き上げて立たせた後、傍らのリュートを持って己も立ち上がった。
己はそろそろ戻るつもりではあるが、相手も帰るのであれば途中まで共にゆるりと歩きつつ、歓談を楽しむことになったとか。
■リュシアン > 行けない理由など、噂が耳に入っているような男であるなら察して余りあるだろう。
薄暗い場所には薄暗い理由が相応しい、学舎にはあるまじき理由だが、悲しきかな事実である。
だからどうしても必要なときには、誰か信頼のおける相手と共に向かうことにしていた。
柔らかく細い髪はその青い片瞳から見てもわかる通りの母譲り。
けれど、長くはない髪の先は成熟しきっていない子供らしさを滲ませるかのように少し気ままに跳ねていた。
先程まで弦を爪弾いていた指先が己の育ち切っていない手を取って。
何が始まるのかと思えば即席の講義が始まった。
知識を得る事自体に性格が向いているのだろう、自分よりも大きな男の手が教えてくれるやり方を学ぶ表情は随分と真剣。
やがて解けてしまった掌自体にも興味を持ったように青碧がつられて動いた。
「折角教えていただいたので、色々何が自分にできて、向いているのかを探してみたいと思います。
だって、僕が生まれてくるよりもずっと昔の出来事を読み解くのも楽しいですし、それが今にどう繋がってるのかとか、すごく不思議じゃないですか?
そういうところが、凄く面白いです!」
指摘されるまでは生き生きしている、という自覚はなかったのだろう。
少しきょとんとして、それからいっぺんに顔が、首や耳まで紅くなって見上げていた視線が泳いで俯く。
余程恥ずかしかったのか、手や袖で顔を覆って隠すほどに。
うう、と小さく呻くも、やはり知識欲のほうが羞恥よりも強いのか、教われる可能性が出てきたことで隠していた顔を半分ほどまで覗かせる。
「…本当ですか?是非ご教授いただきたいです!
あと素養のありなしも、一度しっかり調べて貰いますね。
折角教わるんでしたら、どこまで出来るのか自分でも気になりますし……えっ、テミス様も?!」
直接の面識はないが、天与の才持つと噂に名高い少し年上の少年の名前に驚きを素直に示す。
けれど、次には驚きから表情を聊か引き締める。
教わるなら本気で学ばねばと気を引き締めたかのように。
耳元へ、旋律と同じくらい柔らかく届けられる言葉に頷いて、教わったことを小さく復唱して刻み込む。
それが終わった頃合と同じころ、また抱き上げられて立ち上がれば既に空に滲み始める月星の灯りが灯されるころ。
歩き出す男よりも少しだけ歩調を忙しなくして共に歩き出せば、道中の歓談も少年にしては随分と饒舌か。
途中での解散を惜しみつつも少年の足は男と別れ途中から邸のほうへと向かっていった。
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」からファルスィークさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」からリュシアンさんが去りました。