2025/01/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にルスランさんが現れました。
■ルスラン > 王城施設内にある王立図書館の、奥まった閲覧席。
分厚く、男の前には誰が、いつ手に取ったのかわからないような綺麗で古い蔵書を前に男の手は書き取り作業を続けている。
(何が、義兄さんのほうがこういうの得意でしょ!…だ)
文書仕事を苦手とする義妹に堂々と押し付けられた仕事は一年に一度は必ず行う名鑑との照らし合わせ作業。
廃嫡や断絶となった貴族家の確認、新興貴族の追加、王族同士の婚姻、その他、その他。
詳細を確認し、書き写し、その内容を持ち帰って当家の名鑑に加えるまでの一連の流れは、別に文書仕事の得手不得手など関係はないと思うのだが腕っぷしで適わない以上、この男は他のところで役に立つしかないのだ。
いっそ新しいものを購入してはどうなのかとも思うが、その費用で新しい武具が買えるでしょ、と言われたらさらに口を閉じるしかない。
まあ、貴族名鑑がそれほど高いものだった記憶も、男にはないのだが。
■ルスラン > 筆記具が紙面を走る静かな音が響く。
王立の設備であるにもかかわらず、この場所はひどく静かだ。
外からの喧噪の多少は有れども、権謀渦巻く巨城の一角とも思えないほどに。
書き込んで、確認して、その合間に青い瞳が頁の端まで流れる。
それから、指先が次のページをめくる。
新しい頁の上をまた青が滑り、転記の必要がなければまた頁をめくる。
そこに転機の必要がある事項があれば、捲る指が筆記具を持ち直して転記する。
その繰り返し。
大ぶりな窓から差し込む午後の日差しの中に、時折埃が舞って、やがてきらきらと散っていく。
何枚か転記が進んだところで、一度筆記具を置いて両の手を組み、丸くなった背を伸ばすようにグッと上に持ち上げる。
ふわ、と、浮かんだ小さなあくびを噛み殺す。
そんな小さな音さえ、この静かな空間では響いてしまうような気がした。
■ルスラン > (……まぁ、でも)
悪い気はしない。
それは事実だ。
誰かに頼られるというのも、そう悪くはない。
自分もまた、現場で困るようなことがあれば彼女に頼るわけだし。
寄る辺がわからないままに不安だけを抱えて過ごした子供時代を少しだけ思い出し、それからやんわり記憶に蓋をするようにまた頁をめくった。
ぱら、と、乾いた音が響いてやんわりと埃が舞い散っては輝く。
紙面に連なる時は読みやすいもの。
偏った癖もなく、罫線を引いて記載しているかのように整然と並ぶ。
今の家に迎えられて、生きていたことの次に褒められたことはこの文字だった気がする。
だから、文字を書くことへの苦手な気持ちはあまりない。
義妹のいうところの得意、というのはこういうところなのだろうか。
それすらも見透かして押し付けてきているのだとしたら、まったく大した女だと思う。
不定期に筆記を繰り返す文字は静謐な空間になお響き続ける。
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」からルスランさんが去りました。