2024/04/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 サロンルーム」にベアトリスさんが現れました。
■ベアトリス > そこはいつもの執務室ではなく。
王城内でも宮廷人たちに開放されているサロンルームの一つ。
ある程度仕事のめどがついたので、散策ついでに訪れた庭園に面したそこでは、登城している誰かしらが、歓談に花を咲かせていたり、読書していたりと思い思いの時間を過ごしている。
季節柄、花をモチーフにした装飾を帯びた貴婦人らが、宮廷人に侍る姿も散見する。
給仕や侍従も雰囲気を合わせるかのように、あるいは王族の誰かの計らいによってか妖精祭に準じた装いをしているようだ。
そういった光景を横目に、四阿の一つでくつろぐ女。
カップを手に、早春に摘んだという茶葉と香草の淡い色合いと香りを楽しみながら、一時の休息を楽しんでいた。
ご案内:「王都マグメール 王城 サロンルーム」にファルスィークさんが現れました。
■ファルスィーク > 普段よりも華やいだ雰囲気があるのは、祭儀としても催されている妖精祭の期間であるからか。
平民区辺りは特に賑わっているのは、王城へ向かう途中に目にしており、特に男女の仲を取り持ついい機会であるからか、若者が多く見かけられた。
さすがに王城ではそのような賑やかさはないが、それでも男女の組み合わせを見かけることは多く見かけるか。
時折行われる貴族間での会合の為に登城し、昼食を兼ねてのそれはおわり、少し散策してみようかと足を運んだ先。
気温も春めいたものへと変化し、過ごしやすい日々になりつつある。
周囲を見渡してみれば、一人静かに茶を飲んでいる女性の姿が目に入り、ゆるりと足を向けてみようか。
「くつろいでいる所、失礼する。
確か…ベアトリス卿だったか。
挨拶もかねて声をかけさせてもらった。
邪魔をしてもいいだろうか?」
貴族であり領主の一人だったと記憶する女性。
声をかけ後に軽く会釈をしつつ、女性からの了承が出るのなら給仕の一人に向かって軽く手を挙げて呼び、己は葡萄酒をオーダーするつもり。
■ベアトリス > さやさやと、穏やかな風が流れる。
さざめく話し声や笑い声を聞きながら、カップの水面に映る自分自身の表情を見るともなしに眺めていた。
そこにかかる影。静かな靴音と衣擦れの音が連なった。
静かにカップをソーサーに添えると、視線をそちらへと流す。
見知っている、というわけではないが───宮廷内を自由に泳ぐことのできる貴人の姿にわずかに双眸を瞠る。
「構いませんが───、特に面白い話題もございませんよ?」
厭っているわけではない。
ただ仕事人間であるため、面白みといったものからは遠い自分自身を理解しているだけだ。
先に席に着いていた人間として、席を勧める言葉と仕草を見せる。
───幾人かはこちらのそんな様子を遠巻きにしている様子もあったかもしれない。
呼ばれた給仕が恭しく彼の要望を聞き入れ、場に相応しいものを用意するだろう。
それらを見守り、ある程度落ち着いてから、唇を開く。
「挨拶、とは……?」
彼の意識を引くものがあったろうかと考えながら、領地のことに関しては──己に実権がないためさほど答えられることもない。
それとも気づかぬうちに社交の場で無礼でも働いたのだろうかと考え込んだ。
■ファルスィーク > 貴婦人達の鮮やかな姿は、庭園に面したサロンでは一際目を引きはするが、己の目には一人で佇む女性の方が目立って映っていた。
少々俯き加減でもあるので、物憂げな雰囲気もあるように感じ―――近付けば流石に気配には気付いたらしく挙げられた顔に驚きの感情が大きく出るのは菫色の瞳か。
「驚かせてしまったようで、すまない。
面白い話題か……王城内や貴族院内では、事欠かないような気もするが。
申し遅れた。地方で領主をしているファルスィークだ。」
女性の生真面目そうな雰囲気は、言葉と態度の端々に出ているのが見受けられ好感は持てるというのが第一印象。
了承が得られたので、再び失礼と言いながら勧められた席へ腰を下ろし、程なくして運ばれてきた葡萄酒のグラスを受け取り、礼の言葉と共に給仕には金貨を渡した。
「第一に美女を見かけたのでな。
鑑賞するのも良いが、言葉を交わせるのであればなおいい。
第二に横の繋がりは…利害関係も含めてあって損はない。
まあ…これは時に足枷にもなりかねないが、それでも益の方が多いだろう。
第三には、先程も言ったが城から離れると王都内の内情には疎くなってしまう。
故に…院に所属する卿とは面識があった方がいいかもしれない。
と…理由としてはざっと挙げてみたが、割合的には一番目が7、8割か」
どこか緊張した面持ちも感じられる女性に対して、グラスを軽く揺らしながら答え葡萄酒を一口含んで嚥下していった。
■ベアトリス > 「あまり人に聞かせたい話かといえば、そうでもないことは多いものでしょう」
己の立場などは、女伯を自認する身にとっては忸怩たる思いもまた寄り添うものである。
もっとも、スキャンダラスなことに事欠かないのは、マグメール宮廷に限ったことではないのだろうが。
「………お名前は存じております。
──ラディスファーンの主の名を知らぬ内務官がいるとも思えませんが。
………ベアトリス・ド・ドール。ドール家の現当主にございます」
ティーセットをテーブルに戻すと、一度席を立ち王族に対する礼をとる。
婦人の礼というよりは官としてのそれのほうの意味合いが強く強調されるのは、女の書記官としての礼装のせいもあるだろう。
ただ、そうして再び席に落ち着いたのちの言葉には──若干戸惑ったような色を、双眸に乗せる。
「─────殿下の評判はあながち間違いなかったようで。
……ええ、こちらにとっても益がないとは申しませんし。
お見知りおきいただけるのであれば、恐悦至極と」
はっきりとしたものいいは、こちらにとっても好感は持てる。
どのようなものを望まれているのか、遠回しにされるよりはずっといい。
ゆったりとグラスを傾ける姿に、こちらもカップを再び取り上げて口にした。
言葉を交わすために少々乾いた唇を湿らせる程度を口にして、満足そうに吐息。
■ファルスィーク > 「―――確かに。
だが、既に人の目は引いてしまっているし、人は聞いていなくても勝手に尾鰭を付けていくものだ。
特に気婦人方には格好の餌を提供してしまい、卿……特に叔父殿には迷惑をかけるかもしれないが」
周囲からは幾つかの目線が向けられてはいるようで、早速、噂話の種となっている気配はある。
己は慣れたもので、名声などに固執することも無い。
だが、生真面目そうな女性には少々、影響を与えるかもしれない。
それは、女性の方を監視するように注意を向けている給仕や貴人らしき人物がいたようにも見えたからで、政略などを鑑みれば噂とは言えども悪評が立つのを恐れるかもしれない。
それを先に詫びる言葉でもあった。
「丁寧な挨拶、痛み入る。
しかし…正式な礼儀を取られると、私の方が恥ずかしくなるな。
――それにしても、名を知られているとは光栄だ」
席を立っての礼には、今度は己の方が少し驚く番。
きっちりとした礼儀作法は、より綺麗に映えるが、多少ざっくばらんであった己の粗さが浮いてしまい、笑ってしまいはするが…己も席を立ち女性からの挨拶を受けることにした。
「私の評判………随分と悪名高いものが多そうだ。
ふむ…美女とお近付になれるのは嬉しいことでもある。
公私共にお互いに益があれば、申し分ない。
卿の自己評価は低いかもしれないが、私から見れば才色兼備のようだ。
官として凛々しく……素の卿にも興味がわいてくる」
己の評判とは如何なるものかと興味は引いたが、恐らく悪い方に比重はあるように思えるので軽く肩をすくませつつ。
まだ交わした言葉は少ないものの、女性に対する印象と評価と含ませながら手にしたグラスを置き、見やる女性の顔。
現在は官としての立場を取っているのだろうが―――。
■ベアトリス > 「───慣れております。
………貴婦人方が気にしてらっしゃるのは私の去就というよりは──」
ちら、と不躾にならない程度の視線を向ける。
端正に整っている白皙の容姿は、妙齢の婦人方にとっては羨望の的だろう。
その趣味人めいた振る舞いも、実績がある以上好意的にとらえられているのだろうし。
ただ、言及された人物については軽く眉を跳ねる。若干の間をおいてお気になさらず、と言葉を返した。
己と叔父の間に流れている風聞のすべてを否定するつもりもないし、できない。
こういった環境である以上、耳目は常について回るのだ。
「殿下の功績を思えば自然なことではないかと。
───高貴なる方の義務とお思いください」
主筋に対して、貴族が臣下の礼を取るのは自然なことでしょう、と言葉を返す。
名については、商業都市として地位を築いている都市の主なのだから、知らぬそぶりをするほうが難しい、とも。
「悪名かどうかは分かりませんが──風流を好む方とは伺っております。
……ええ、私はそう考えますが────。
………つまらぬ人間です。特に秀でたところはございませんし」
此方を見据える眼差し、それを受けるとやや視線をずらして応じる。
謙遜ではなく、事実そう捉えていることを伝えるような。
仕事は、一つ一つやればできることだ。
他に趣味があるわけでも、才覚があるわけでもないのは自覚ができる。
素とは、と女のほうが首を傾げる程度には私生活は静かなものだ。
■ファルスィーク > 「上手くいなし、避けて切り返す手腕も求められるか。
……苦労も多そうだ。
……卿より私か?」
己が声をかける先より、幾人かの貴人から感心は引いてはいたようだが、近付き難い雰囲気があったの矢も知れない。
向けられる目線と言葉を鑑みるに、言いたいことは理解して僅かに考えるような仕草の後、目線を感じる先、気婦人方の方へ笑顔の一つでも向けてみることにした。
貴族各々についての大まかな情報は、どうしても耳に入ってくる。今回、登城しての会合もそういった情報交換も含むものであったり。
女性の家について、僅かに話題を振りはしたが、それに対しての反応と言葉から、その真偽も推し量ることはできる。
故に、公私共に…との言葉を添えた。
「義務と言われると返す言葉がない。
…実際、自領では窘めらる事もしばしばあるが…」
きっちりと正論を言い切られてしまっては、珍しく姿勢を正しては見るが堅苦しさに少々神妙な面持ちになってしまいがちになる。
礼節を重んじ、それに則っての物であるので、邪険にすることも出来ず…こういったものが己の弱点の一つやもしれない。
「それは好むことの一つではあるな。
今回も要されている祭事も、良いものではある。
街が活気に満ちていると余計にな。
まあ……そちらに目を向けさせる思惑もあるのかもしれないが。
少し言葉を交わしたが、そんなことはない。
生真面目で実直であり礼節を重んじる。
責務に関してもそのように取り組んでいるのだろう。
それは充分に、秀でている部分ではあると思うが」
己の事については、言葉を選んでいるような節も感じはしたが、それに乗せられて礼を含ませつつ、王城の不穏さの探りを少し入れては見つつ…。
女性の自己評価……働きぶりを目の当たりにしたことはないので、推察ではあったが…目線をずらされるとグラスを置いて手を伸ばし、避けられなければ触れてみる女性の頬。
問うような表情で首をかしげる仕草には笑みを向け。
「卿…ではなく、この場合はベアトリス…妖精祭に誘われてやってはもらえないだろうか」
公ではなく私として祭への誘いの言葉を向けてみる。
■ベアトリス > 「然程は。懸念事項だと最初から分かっていれば対処もしやすいので。
……妖精祭は、妖精王に侍るもの、でしょう?」
かすかに笑みを浮かべ、言葉を返す。
己に向けられる耳目は、そう、大概にして女自身というよりは、家の騒動に向けられるものや叔父がらみ。だからこそ最初からそう割り切っていれば対処もしやすい。
対して、慣れた様子で婦人に笑みを向ける姿には面白そう──、というには少々不敬ではあるがそんな眼差しを向けた。
市井に比べると控えめな、それでもさざめく様な声が上がるのも加味しつつ。
己の態度に、窮屈そうに姿勢を正すのであれば、お気になさらずとも言葉を添える。
己がそうすべきと思っているからで───…相手の態度自体は自由でよいと思っているが故。
「ええ、楽しんでおいでなのは良いこと、と申し上げると少々角が立ちそうですが……。
……自然に振舞える、というのはやはり殿下の強みではないかな、と思いますので。
……己の義務をおろそかにするつもりはございません。
ですが、……そう真正面からおっしゃられると面映ゆくはございますね。
…………」
そしてなぜ頬を触られているのだろうかと、されるがまま少し視線を泳がせる中。
誘いの言葉にはわずかに沈黙を挟む。
官としてではなく、と言い切られてしまったのもそうだし。
かといってここで断るほど風情を解さぬつもりもない。
迷いはしたが、首肯を返す。
「──花を飾らぬ身ではございますが。それでもよろしければ」
向けられた笑みに、祭りになぞらえた言葉を返しながら──。
■ファルスィーク > 「…そのように出来る者は、卿が思っているより意外と少ない。
ふむ……臨機応変が出来るのなら、軍師向きかも知れないな。
――妖精王か……実際に居るのならば目にしてみたいところだ」
対処しやすいと言い切れるだけ、その件には曝されてきたという事なのだろう。
なれば、それなりに肝も据わり簡単に動じる事も少なくなりそうだが、その分、抑圧も大きいのでは…とも思う。
そんな風に様々な事を考えるのは、女性に対しての興味がある故に。
己の視線を向けた笑顔に貴婦人が気付いたのなら、軽くてでも挙げた後、己が飲んでいる葡萄酒と同じものを気婦人方にも運ぶようにと給仕にを呼んで金貨を渡し乍ら告げた。
葡萄酒が運ばれていくのを確認すれば、また笑顔を向けて……こんなことをしているので悪評が広がっていくのかもしれず。
目線を戻せば面白いものを見るような女性が確認できたのか――。
居住まいを正し軽い咳ばらいをした後に、ゆっくりと息を吐き出し。
「いや、気を引き締めるには卿の様な存在は有難いのだろう。
公の場では必須なものであるが…楽しむ時はやはり肩の力は抜いた方が良い。
その切り替えがどうも上手くないらしい。
そこが私にしてみれば好感が持てる。
理由は、信頼がおけるからだな」
頬に触れる手を避けず、不思議そうな…対処に困ったような瞳の動きが、何とも初心っぽくて笑みを深める要因にもなり。
――誘いの言葉への返答に沈黙の間があれば、否の可能性が大きいかとも思いはした。
官としてであれば、義務として付き合う結果になってしまう故の、私人としての誘いには―――。
「さて…花であるベアトリスが、更に花を飾っても…いや、それはそれでより華やかになるか。
…誘いに乗っていただき感謝する」
是とする言葉に柔らかい頬を撫でる感触を楽しんだ手を引き、椅子より立ち上がれば、一礼をするようにゆるりと身を屈めた後、座っている女性に差し出す手。
応じられれば、そのまま女性を伴い歩いていく事になる。
■ベアトリス > 「まさか、そのように俯瞰できるほど大器ではございません故。目の前の出来事に対処するだけですよ
………春を言祝ぐにはちょうど良いかとは思いますね」
思わぬ言葉に少々驚いたのか緩く双眸を瞬かせた。
言葉通りに目の前の事柄に対処する術を身に着けただけで、大局観のようなものは持ち合わせていない。
過ぎた言葉だけれど、揶揄いじみたものと受け取って応じ。
彼の風評どおりの伊達なふるまいを目にしつつ。
それは悪評というよりは──艶聞?となるのだろうか。
少なくとも悪意をもって迎えられることではなさそうに思う。
「───ここは王城ですので。
寛げるのは殿下のように一握りの人間かと思います」
己にとっては職場であり、宮廷人としての立場を試される場所でもある。
こうして、私的な集いの場であっても寛ぐのが下手なのは自覚できるところではあるのだ少々詰まった。
「お褒め頂いたと受け取っておきますが──殿下にはもっと信の置ける方はいらっしゃるでしょうに…?」
戯れに頬にとどまった指先が、こちらを揶揄う言葉とともにゆっくりと退いてゆく。
代わりに立ち上がった彼がエスコートとしてその掌を差し出すのに、立場の違いに躊躇いは感じつつも、応じるように掌を重ねた。
慣れた仕草でエスコートされるに従い、静かにその場を立ち去ることになるのだろう。
……しばらくはなんでも面白おかしく仕立てる宮廷人たちの話の種になるのだろうなと思いながら。
ご案内:「王都マグメール 王城 サロンルーム」からファルスィークさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城 サロンルーム」からベアトリスさんが去りました。