2024/03/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 執務室」にベアトリスさんが現れました。
■ベアトリス > 王城内、執政官の執務室が並ぶ区画。
狭いながらも一応個人の執務室を与えられているのはそれなりに認められているからか
あるいは曲がりなりにも叙爵されている女の立場が慮られた結果かは当人は与り知るところではない。
与えられた室内は、大きなキャビネットと、執務机で占められている。
調度らしい調度は置く理由も余裕もない。
書類に埋もれる様にしてペンを走らせていた執務室の主の手がようやく止まる。
それから細い溜息が赤く艶を帯びた唇から零れた。
ペン立てにペンを戻すと、椅子の背もたれに深く身を預ける。
わずかに頤を上げ、眉間を解す仕草。
人の目がないからこそできる少々弛んだ姿勢は、かつての行儀作法の家庭教師が見たら即座に苦言を呈してくれるだろう。
だが今はこの場に誰もいない。仕事の合間に多少寛ぐ位は許されてしかるべき。
「……飲み物の用意位は頼むべきだったかしら……?」
申し訳程度のサイドテーブル。いつもなら飲み物くらいは用意を頼んでいたのだが───休日に仕事している身だ。あえて用意を頼むのもはばかられた結果だった。
一息入れるついでに誰かを呼ぶかどうかを思考しつつ、ふと窓の向こうへと視線を向ける。
いい天気だ。
こんな日に好き好んで登城してるものも少なそうだと結論付けつつ。
自分だとて、嫌がらせの如く先日の終業間際に書類提出が無ければこの場にはいなかったろうと考える。
ご案内:「王都マグメール 王城 執務室」にバランガさんが現れました。
■バランガ > 「これで大体周り終えたかねえ」
そんな独り言と共に付き人と王城内をほうぼう歩き渡る。
今回の目的は普段から懇意にしている貴族への贈答、ではなく、新しい縁故作りの一環。
こんな日に仕事をしている執政官はよほど優秀か、仕事人間かどちらにせよコネを構築して損はないだろう。
付き人から、今日はどこそこの執政官が出勤してるようです、と声がかかれば、「よっしゃよっしゃほんじゃそこで終いやな」
そう言って向かった部屋は、女伯爵と名だけは界隈で有名人の執務室。
以前、王城内のパーティだったか、何かで面識がある程度だがそのくらいだからこそ土産物、贈呈品を渡していくのに都合がいい。
扉の前でノックをし、入室の許可を得るために声をかけた。
■ベアトリス > 仕事にかかるか、あるいは帰宅するかを窓の外の陽の傾き具合を眺めながら考えていた頃合い。
ノックの音に軽く眉を跳ね上げる。
今日の登城はそもそもイレギュラーなもの。
知己や同輩との会談の予定はなかったはずだが、と若干姿勢を正して考え込むもやはり心当たりがない。
誰何の声に応じる声音もやはり──知らない声。
呻吟し、いったん引き取りを願うことになるだろう。
書記室ではなく女個人の執務室に、見知らぬ誰かを通す理由がないのだから。
ご案内:「王都マグメール 王城 執務室」からベアトリスさんが去りました。
■バランガ > 断られれば仕方がない。
次だ次だと、次の部屋へと向かうのである。
ご案内:「王都マグメール 王城 執務室」からバランガさんが去りました。