2023/09/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」にランヒルド・ダールさんが現れました。
■ランヒルド・ダール > 王城内に幾つか備わっている書庫、の一つ。
ここに集められている書籍は、各地域の地理や気候、風習等々、つまり統治に必要な情報を集めた資料の如きものが多い。
読み物としてはさして面白くもないが、細かい文字や数字がずらりと並んだページ達は、見る者が見れば宝の山である。
……そしてこの女文官は、文字数字の羅列から宝を見つけ出せる方の人種だ。
「ふーむ。やっぱりタナール近郊での屯田は難しいか……少々輸送コストを掛けてでも、もっと王都寄りで……。
あの辺りの地域、どうだったかしら。地質、地質、えーと──」
他に誰もいない書庫の中、多量の本を積み上げた机の前で、特別誂えの座面柔らかな椅子に腰掛ける女文官──ランヒルド・ダール。
前線に出ない人間らしい華奢な指が、視線を向けないままで机の上を探った。
ほどなく右手の指が一冊の本を探り当て、たった今まで読んでいた本と入れ替えるように手元へ運んで来る。
ぱらぱら、ページを捲り、眼鏡のずれを手でちょいと押し上げて、猫背気味に視線を落とす──
「〝ハイブラゼールに来たならここは外せない! 一日潰せる長時間プレイ店ランキング〟──違う!
誰ですかこんなもん置いたの!!」
ばしん! と机に風俗本を叩き付ける……どうにも、本を返す場所を間違えた愚か者がいたようだ。
集中力もすっかり途切れてしまい、頬杖付いて溜息ひとつ。……それから何気なく、たった今叩き付けたばかりの本のページをめくり、
「……うわっ、エグい挿絵有る。……うわ、うわぁー……〝ハード調教プレイルーム体験記〟……うわぁー」
目の前に本があると読んでしまうのは、読書家の常である。
■ランヒルド・ダール > 黙々と読書を──殆ど官能小説じみた体験談ではあるが──続けていて、ふと気付く。
何やら文字が読みづらい気がする。顔をページに近づけると更に読みづらい。
というか、暗い。
「……あっ」
いつの間にか窓の外では日が傾いていて、光源の無い書庫はどんどん暗くなっていく最中だった。
なるほど文字も読めなくなる訳だ……と頷いて、机の上に摘まれた本の数に一時の思案。
「『単層』『継続』『ゼロ、ゼロ、直下』──『点灯』」
ぱちん。はじけるような音と共に、女文官の顔の高さに、ぼんやりとした光源が発生する。
部屋が暗闇に包まれようとも、読書をするには十分な光量だ。
……真っ暗な部屋で、小さな光源を頼りに書を読む。それが健康的かどうかはさておき。
かくして読書は続けられる。一冊読み終える頃にはすっかり、ハイブラゼールへ出向こうかという気分にもなってしまう。
明日だ。明日にしよう。そう決めて職務に戻る。
その後の業務効率はいささか、普段に比べて悪かったようである。
ご案内:「王都マグメール 王城2【イベント開催中】」からランヒルド・ダールさんが去りました。