2025/03/10 のログ
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ご案内:「王都マグメール 王城 訓練場」にメイラ・ダンタリオさんが現れました。
メイラ・ダンタリオ >  
 王城 屋外訓練場エリア

 王族が住まうエリアからは離れ、その稽古を行う際の木剣の撃や気合諸々
 耳障りと思えるそれらは限りなく薄いだろう。
 稽古する兵らが無駄に声を抑えて行う必要もない。

 早朝のこの時間 日が出始めようと未だ凍てついたままの空気
 白い吐息が稽古する周囲で零れればそれなりの色を大気に映し出す。
 どこかで、白雪戦闘は密やかな者は息を細めて冷やして出すことで、その白い吐息を抑える
 そうしなければ吐息の色で見破られ、密やかさは消えて喰らわれると言う。
 それは本当の事なのだと、何度も思う。

 ヒルだって吐息の濃度で知り得て水の中と言わず枝から落ちてきて血を啜る。
 なら人は、白い吐息を見て定めて殺しにかかってきても不思議じゃなかった。
 そう在るものと知れていれば、目は見つけられる。

 稽古は 対人 打ち込み 素振り 型 弓 投擲 走り込み
 魔術を伴わない稽古なんて色々ある中で、メイラは腰の二刀の内の一刀。
 イーヴィア・ヴァルケスが拵えた白絃柄 雅な鍔を施した刀を手に、黒の一張羅
 普段の装いであるワインレッドのネクタイ姿と四肢に黒鉄を備えた姿で対峙していた。

 白い吐息と共に行われるのは、何度も投擲される礫相手の訓練。
 それが火球や水球であった場合や、純粋な投擲行為であった際も含めたものながら
 既に大剣級での訓練は終えており、今は街中や野外 戦場以外で腰に下げている刀で訓練を行う傍ら
 その礫を投げる者達も肩を鍛え、コントロールがより研ぎ澄まされることになる。

 イーヴィアの打った刀は振るえば振うほど、理解が増していく。
 全て斬ってしまうような妖刀ではなく、意識がなければ斬ることは絶対にないということは、言い換えれば
 斬ると弾くを両方行えることを意味する。

 先ほどから両手や片手振りによる礫への迎撃は、ほとんどは弾くことで割れた際の分断が自身に返ってこないようにと
 防御術を強くした剣捌きで対応していた。
 時には避け、横へ跳び、弾きながら歩を進めもする。

 斬るときは斬り、斬らないときは斬らないを絶対的にしてしまう刀の使い勝手の良さに、メイラは改めて
 この高飛車な刀への愛着を強くしていた。


   「―――ふぅぅぅぅぅぅ…、…。」


 額から汗が雫を作る。
 周囲には砕けた礫や転がる姿、壁際を意識した投擲で落ち溜まる量
 稽古を終えるのなら、刀身についた石粉を落とすように手拭いで
 静かに納刀する際の刀の音は小さく細く伸びながら、余韻を残さずおさまって見せ。
    

ご案内:「王都マグメール 王城 訓練場」からメイラ・ダンタリオさんが去りました。