2025/01/01 のログ
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ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にアイシャさんが現れました。
アイシャ > 「もう…独りにはしないといったくせに」

王城はずれの庭園で、噴水に腰掛けてむすくれる姿は聊か心細そうに見えるもの。
紺色のドレス、銀の髪。
手には社交辞令としての扇を携えてはいても彼女を助けるものは他にはない

最重度の人見知りを拗らせてから早十数年、そんな彼女が年越しの宴に姿を見せるに至ったのはひとえに家人のサポートあっての頃なのだが先程の自嘲混じる呟きを聞くに保護者と逸れたらしい様子はすぐには解る。

さぁさぁと流れて落ちる水の音は静か。
宴席の気配はいくらか遠い。

深いため息は細くなり、長くなり、ゆっくりと寒空へ白くなって糸を引く。
そう、ここは寒いのだ。
人が大勢いる宴席とは違う。
寄りによって、自分には温かさを確保するだけの何かが不足している。
こんな時に限って逸れた保護者への一抹の恨みと共に、どう努力しても拭うこともできない人見知りならではの恐怖にそっと肩を竦めても、噴水越しに聞こえるのはさぁさぁと水の流れ落ちる音ばかり。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にルーベルさんが現れました。
ルーベル > 王国がまた歴を重ねていく。建国の日にもそれは祝われるが、新しい年を迎える折もそれは確かに感じるもの。

年を越す折に普段よりもより遅い時間に始まり日付をまたいで開催される宴には、普段顔を見せない王族傍流も参加する。それを見込んで誰ぞ面白い縁でも紡げないか―…研究の礎になる力を持つもの、あるいは、力を得る過程で抱えるようになった欲を向けられる者をと見つけられるかもしれないと見込んで参列し、その日は一人の少女に目をつける。

近年そのあり方から各方面への縁と能力を伸ばしつつあるイフレーア・カルネテル家の次女。
かの家には何かに特出した才能を見せるものも多く、彼女は精霊との交信にと長けているらしく。
それを置いても、少女らしからぬ恵体もまた、興味を惹くもの。

ゆえにその動向を窺っていれば、社交に慣れていない様子は明らかで。
そのうちに一人庭園に向かえば、そのあとを追って声をかける。

「こちらは冷えますでしょう、御令嬢。宴席は飽きられましたかな?」

そっと声に魔力を潜ませ、うまく通じれは警戒心を薄め、印象をよきものにと変えるように細工して。
上等な仕立ての魔術師風のローブを見れば、宮廷に詰める魔術師のようにも見えるかもしれず。

暗金の瞳をいかにも好々爺という風に笑みに模って見せながらに、そっと傍まで歩み寄っていく。

アイシャ > さぁさぁと水は流れ続ける。
その清かに聞きなれた声を聴く。
どうぞ御身が穏やかなるよう。

それは恐らく、慎ましい水霊の囁き。
危ない、だとか、逃げろと直截的に囁いてくる風や土の精霊とは違う。
危険度の高いメッセージを投げてくれるのは明らかに後者だが、残念なことに噴水に近いこの場は水霊の力が最も強い。
それ故に、ごくわずかに能力の高いその伯爵への警戒心は緩く。

「…いえ、少し、疲れてしまって」

その声色に染み渡る魔力によって齎される警戒の解除は一般的な子女に比べればかなり時間がかかるものだろう。
それでも、効いていないわけではない。
まるでそれは蟲毒のようにゆっくり、ごくゆっくり。
けれど確実に少女を蝕んでいく。

それは、重度の人見知りと名高き少女が初見の男を警戒しながらも手の届く範疇に立ち入らせるまでには。

ルーベル > 噴水の音は静謐な冬の夜半には酷くよく聞こえるようにも思える。
彼女がその音から、人の言葉に必死に寄せた警告を聞いているとは思わず。
けれど、男が声に込めた魔力への露骨な抵抗、嫌悪、反意。そういったものがないのなら、目論見はひとまずうまくいっているものと思い、笑みを深める。

それは、少女からすれば、疲れた、という言葉に納得して同調するような表情にも見えたかもしれない。
いや、魔力が通じているのなら、そう見えてしまうだろう。
宴の場から離れることに小言を言うような、そういった者とは違う手合いと、思えてしまうだろう。殊更好意的に。
そのように、耳から音として入り思考に滲む魔力が、少女の警戒心をゆっくりでも確実に解いてしまうのだから。

「特に今日は長い夜を過ごす宴になってしまいますからのぅ。
 それでも、ここはお体に宜しくない。どれ、お暇ならこの私の茶にでもお付き合いくださらんかな?」

通ると知れば、なおも声に魔力を乗せ。淑女へのエスコートとばかりに、やや腰を折り手のひらを差し出して見せる。
精霊の警告は彼女に届くだろうか。そうでなければ、誘いに乗ってしまうなら。
毒牙を突き立てる好機を得た魔術師貴族は、今宵王城に構えた巣にと獲物を攫ってしまうつもりで。

アイシャ > 差し出された掌を、一瞬の驚きを含めたのちにじっと見る。
そのてのひらは、少女の思い人に比べれば痩せ細ったもの。
更によくよく見てみるなら、思い人の年齢の倍は重ねているだろう初老の男。

それでも100%警戒心を拭うことはできないのは何故か。

「……その、連れと、逸れてしまって。
何処で待っていたらいいのか、わからなくて」

少女の声が帯びるのは、不安。
それが、か細さの上に情緒として彩る。
差し出された掌を見て、逡巡を重ね

「どうしたらいいのか、……その、わからなくて」

差し出された掌の中指に。
掴んで縋ることが出来ないのは少女が重ねた過去故に。
信頼できる家族と来たはずの王城は今や彼女にとって迷宮に等しい。

故にその中指だけにすこうしだけその不安を紛らわせるように、縋るような中指と人差し指を重ね

「茶話にお付き合いする程度でよろしいのでしたら」

重ねた指先の先が、蜘蛛の糸の先とも知らぬまま。

ルーベル > 少女の言葉を聞き、ゆっくりと一度、二度と頷いて見せる。
不安は当然だと。彼女がゆっくりと結ぶ言葉。その内に乗る、初見の男への警戒も勿論だろうと。
精霊と結ぶ力ゆえに密やかな水霊の案ずるところが通じているのか。
あるいは生来の性格ゆえか、または生まれたのちに刻まれたなにがしかの記憶ゆえか。

「ふむ、ふむ。…ならば猶更、大人を頼るがよろしい。
 こう見えても伯爵などと気取っておりましてのぅ。王城の侍従に、御令嬢のお連れも探させましょう」

逡巡の末にそっと乗せられる二本の指。
それを引き、彼女を噴水の縁から立たせるのには、若々しさのない初老の男らしからぬしっかりとした手つきで。

首尾よく掛かった獲物の指を引き、王城に容易された今宵の己の部屋へと、少女を招いていく。
その指がたった二本。わずかな場所のみであれ、魔力は直の肌理の触れ合いでますます彼女を蝕み始め。

道中の会話で更に警戒心を緩ませ、不思議と好意すら持たせられながら。
更には、もっと悪辣な術さえ仕掛けながらに、そっと少女を余人の目に触れぬ場所へと、惹き込んでゆく…。

アイシャ > 差し出された掌を、一瞬の驚きを含めたのちにじっと見る。
そのてのひらは、少女の思い人に比べれば痩せ細ったもの。
更によくよく見てみるなら、思い人の年齢の倍は重ねているだろう初老の男。

それでも100%警戒心を拭うことはできないのは何故か。

「……その、連れと、逸れてしまって。
何処で待っていたらいいのか、わからなくて」

少女の声が帯びるのは、不安。
それが、か細さの上に情緒として彩る。
差し出された掌を見て、逡巡を重ね

「どうしたらいいのか、……その、わからなくて」

差し出された掌の中指に。
掴んで縋ることが出来ないのは少女が重ねた過去故に。
信頼できる家族と来たはずの王城は今や彼女にとって迷宮に等しい。

故にその中指だけにすこうしだけその不安を紛らわせるように、縋るような中指と人差し指を重ね

「茶話にお付き合いする程度でよろしいのでしたら」

それが蜘蛛の糸の先とも知らぬまま。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からルーベルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からアイシャさんが去りました。