2024/05/17 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城・貴賓室」に緋天尊さんが現れました。
緋天尊 > 来賓用に整えられた王城の貴賓室。
いくつかあるその一室に訪れていたのは、北の帝国より訪問した后女が一人。

かちゃりと静かな音をたて、ティーカップが皿へと戻されれば深い深い、溜息を一つ。

「饗しは僥倖…。
 茶も、香りは独特で強いが美味だな。
 ──しかし遅い、いつまで待たせるつもりだ…」

おつきの従者である道士達も出払い、貴賓室には女が一人。
問答する相手もおらぬでは退屈も極まれリ。

『辰金』に詳しい者がいると聞いて、訪国の折にこの王城に寄らせてもらった女は、一先ず部屋で待たされた。
…実のところさして時間は経っていないのだが、無駄な時を過ごすことがあまり好きでないらしく、椅子の背もたれに大きく背を預け、コツコツと指先で大理石のテーブルを叩く。

「有益なものでなければ小言の一つも言いたくなろうものだぞ…」

それにも飽き、両手で頬杖をつくれば、顎先を預けむふー、と一際大きな溜息を吐く。

ご案内:「王都マグメール 王城・貴賓室」にフレイヤさんが現れました。
フレイヤ > コンコン、と、貴賓室のドアを叩くノックの音。
その後に、ドアがメイドによって開けられる。
そのメイドと共に入ってきたのは、彼女よりも少し背の低い、少女(にしか見えないだろう)だった。

「失礼、シェンヤンからのお客様と言うのは貴女かしら?」

彼女が座る椅子の隣に立ち、人懐こそうな無邪気な笑顔を向け、

「お初にお目にかかります、フレイヤ・アースガルズと申します。」

スカートを摘み、軽くお辞儀。

「実は、まだしばらくお待たせすることになるらしくて。暇潰しのお相手をさせていただいても?」

嘘である。
むしろ彼女の目的の人物の方を買収して待たせてある。
シェンヤンの后女に興味があったし、あわよくば、なんて考えもあったりして。
自身と共に部屋に入ってきたメイドはすぐに退室し、手早く静かに貴賓室へと鍵をかけた。
年相応の無邪気そうな笑顔で、そんな考えに蓋をして。

緋天尊 >  
「む。入るがよい」

漸く、貴賓室の入口を叩く音に美姫はその声をドアへと向ける。
聞こえてきたのは可憐な少女とも思える声。
そして部屋にその姿を見せたのは、可憐な少女にしか見えぬ者。

可愛らしく、礼儀正しい少女はどうやら、未だ訪れぬ者の代理にと(いとま)の相手をしに使わされたらしい。

「なんと。もう随分待たされたところだぞ。
 ──で、お前が吾の暇潰しの相手を遣わされた、と。ふむ……」

后女は耳聡く、少女のお付きだろうメイドが入口の鍵をかける音を聞き取る。

「フレイヤ・アースガルズ。家の名は此方に来てより耳にしたことがあるぞ。
 そうだな…お前のような少女に吾の相手が務まるかどうか──先ずは吾も名乗るとしよう。
 緋天尊、緋妃…まぁどちらでも好きな様に呼ぶがいい、敬意を以てな」

ふんぞるようにその椅子の背に背を預け、やや値踏みするような視線を眼前の少女へと注ぐ。
そう、少女?へと──。

「互いに名乗りは終わったな?
 では話をはじめよう。──童よ、吾の前にお前はいくつ"偽って"いる?」

金色の瞳がフレイヤと名乗る者を見透かすように。
そしてその尊顔をやや嘲笑するように、口の端を歪めて。

「今、童の名乗った名と誇りにかけ、真実を語っていると誓えるか?」

その問いからはは審問するような圧は感じられない。
飽くまで、目の前の存在がどう答えるのか──その価値を測るかのような色を孕んでいる──。

フレイヤ >  
「では緋妃様と――」

挨拶を終え、しかし次の言葉に動きが止まる。
いくつ嘘をついている?とと言う問いと、こちらを見定めるような目。

「――流石はシェンヤンのお姫様、人を見る目はあるようで」

無邪気さは引っ込み、悪戯を企む子供のような、これまでとは違う、しかしやはりある種の無邪気さを感じさせるような態度。
腰の後ろで手を組み、ステップを踏む様に彼女へ近付き、

「さて、私はいくつ嘘を吐いているでしょう?」

にんまり、と。
年相応の「無邪気さ」を纏った笑顔で問いかける。
タタン、とまたステップを踏みながら、スカートを翻して回りながら距離を離す。

緋天尊 >  
ふ、と整った形の鼻から抜けるように息を吐く。

「"眼"の良さには自信があるものでな?
 無論、耳も人並みには良い。何故施錠を命じたのかが不透明過ぎる。
 大方『邪魔者』を入れぬためであろうが、吾はそのようなもの気にも留めん」

踊るような少女?の仕草…。
問答を愉しんでいるのか。
あるいはその先を既に見据えているのか。

「吾をまだ待たせるというのは嘘であろう?
 で、あるならばその者の従者が伝えに来るのが筋である。
 これで一つ。そうだな、"吐いた嘘"といえばこれだけになろう──、が」

一度言葉を区切り、改めてその少女?の容貌を射抜くような視線で見据え。

「童。お前は性別を偽っているのか。それともただ歪んでいるだけか。
 それにより、吾の返すお前の"偽り"の数は変わることとなるぞ。
 たかだか他人の趣味に言及する程に餓鬼でもないが」

「──その人を謀るに躊躇せぬ見目麗しさと可愛らしき笑みはやや、薄ら寒いぞ」

椅子に腰をかけたまま、ゆったりを脚を組み上げ、少女?の返答を待つ──。

フレイヤ >  
鍵の音は小さかったはずだ。
少なくとも自分の耳には聞こえなかった。
それでも聞こえたとなると、なるほど本当に耳が良いのだろう。

「偽っているつもりはないわ。私は可愛いものが好きなの」

スカートの裾を軽く摘まみ上げてみる。
僅かに覗く足首は、年相応の男子としても細いとわかるだろう。

「私は私が好きな格好をしているだけよ。確かに女の子のフリをしていれば、みんな優しく愛してくれると言うのもあるけれど。だから、正解は『嘘は一つ』よ」

くるり、と回って見せる。
スカートを翻し、タタン、とステップも踏んで見せて。

「ねえ、貴女さっき可愛いって言ったわよね? ね、私、可愛い?」

嬉しそうに彼女に駆け寄り、その目の前で床に座り込む。
彼女の座る椅子のひじ掛けに手を置き、目を輝かせながら問いかける。
可愛らしい、と言われたことがよほどうれしかったらしい。

緋天尊 >  
「成程、偽りでもなければ歪んでいるわけでもない。
 そう在ることが正しき姿なのだろうな。フレイヤ」

その呼び名を童、ではなくフレイヤと変えて。
椅子にかける自身の足元に座り込むその姿を金眼が見下ろす。

可愛い?と問いかけるその様は無邪気な子供そのもの。
ふっと小さく笑みを零し、その無邪気に応えよう。

「言ったとも。
 嘘を咎めよう吾が偽りを口にしよう筈もない。
 世俗、一般、そして吾の測りにかけてフレイヤは可憐である」

年の頃は自身よりもいくらか下か。
このような国で家の名をしっかりと名乗り生きるには多少なり言葉を偽る必要も在るのだろう。
人よりも先に国が歪んでいるのだ、それも致し方なし。

「ふ、しかし一つは偽りを口にしていたな。
 その理由は何だ?応えよ。内容が納得に足るならば、フレイヤの目的に応じてやろうぞ」

どうだ?と。
眼前で床に座る愛猫のようなフレイヤへと言葉を向けて。

フレイヤ >  
「ふふ。緋妃様もすごく可愛い。私と同じくらい――なんて言ったら失礼かしら?」

彼女の言葉に満面の笑み。
一応自分も王族ではあるが、容姿をお姫様と同列に語るのは失礼だろうか、と首をかしげて見せる。

「だって、緋妃様と遊びたかったんだもの。緋妃様、何か探してるみたいだし、嘘を吐いて割込みでもしない限り会ってくれないかなって」

座り込んだまま、不満そうな顔で上半身を揺らして見せる。
ぷく、と頬を膨らませ、ゆらゆらと。

「さっき廊下を歩いてるところを遠くから見てたの。すごく綺麗だったから、遊びたいな、って思っちゃって」