2024/04/24 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城 テラス」にベアトリスさんが現れました。
ベアトリス > 雨の庭園を臨むテラスの一席。
ティーテーブルに腰かけるのは、黒の礼装を纏う女伯。
つまるところは───執務の合間、短時間の休息を求めこの場を訪れていた。

───カップから立ち上る柔らかな香気を感じながら、滴り落ちる雨の音に耳を傾ける。
葉を弾く水滴が、時折リズミカルに響く。

春の余韻を残した、柔らかな緑が濡れて色濃く映る様に視線を流し。
束の間の休息を味わう。

雨と土の香りが、移ろう季節の色合いを伝えるようで。
もう少ししたらこれらに感じる涼しさも、蒸し暑さへと変わってゆくのだろう。

用意されたカップを手にすると静かに唇を寄せる。
雨の冷気に冷えた指先に、温められたカップは心地よく感じられた。

ご案内:「王都マグメール 王城 テラス」にファルスィークさんが現れました。
ファルスィーク > 季節の変わり目は天候が崩れる事が多い。
生憎の雨模様ではあるが、新緑へと移り変わりゆく木々の若葉は、遠目に見える山や森などにも見受けられた。
午後の一時という事もあってか、周囲の音は少なく雨音だけが良く聞こえるのは何とも心地いいとも思える。

気紛れにリュートを手にして散策していれば、通りすがりの貴人や文官などにはいつものように奇異、好奇心的な視線とを向けられつつ……。
何処か静かな所…と思いついた先。
誰も居ないだろうと思って訪れてみた庭園だが、先客の女性の姿が一つのみ。
邪魔をしてしまうかとも考えたが、カップを口元に運ぶ仕草が絵になるので眺めながら静かに足先を向けていった。
気配や靴音を隠すでもなく…他には雨音のみであれば気付くのは容易。
近くまで来れば、挨拶でもするように片手をひらりと挙げて揺らした後、椅子に腰を掛けてリュートを抱え静かに弦を弾いて雨音に合うような曲を即興で短く奏でてみたり。

ベアトリス > 雨の音が、庭を彩る。
濡れない屋根の下だからこその娯楽ではあるのだが、その静かな様子は嫌いではない。

付き合わされている侍従には多少申し訳なくは思うが、それも一時のことだ。
また執務室に戻って、書類の束との格闘を始めなくてはならない。
仕事が嫌というわけではないが、何事も度が過ぎるのは良くないと思う。
───実際己の官舎に帰れた日数のほうが少ないのはどうかと思うのだが。

「───、……殿下」

物思いに沈み、視線を上げたところで自分以外の訪問に気づいた。
それは見知った姿でもあり、どういう表情を浮かべるべきか少々迷ったが、社交辞令的に失礼にならない程度の笑みを浮かべて応じた。

相手も同じだったようで、向けられた挨拶にわずかに目元を和ませる。

「すみません、そろそろ戻るところだったのです───」

彼との歓談を厭うところではなかったが、今は時間がさほど残ってはいない。
そのことを率直に伝え、辞去の意をいったんは伝えることになるだろう。

雨音に似た、美しい音の弾きを止めてしまうことを心苦しく思いながら。
立ち上がると、そ、と略式ではあるが礼を取り、その場を後にした。

ご案内:「王都マグメール 王城 テラス」からベアトリスさんが去りました。
ファルスィーク > 自然が奏でる音というのは趣があるので好むところ。
屋根を伝い集まった雫が流れ落ち、地面を叩く音も混じり耳を楽しませてくれる。

一時の休憩中であったらしく、多少、疲れ気味の様な雰囲気も感じ取れたので、己なりに気を使い声をかけるのは省略をした。
どうやら、生真面目に職務に取り組む故に多忙であるらしいく……だが、そんな姿や仕草に少し艶を感じてしまうのは、変化の表れなのか。

他に人は居ないのだから仰々しさも必要はないだろう。
向けられる笑みだけで、挨拶としては十分であり――。

「私の方が、憩いの時間を邪魔してしまったようで申し訳ない。
君の代わりが務まる者は、そうはいないだろうが…職務に励み過ぎるのも程々にな」

気にする必要はない。との意を込めての言葉を返しつつ、リュートを奏でながら見送る為に軽く目礼を。
曲が多少でも、精神的な癒しになったならいいのだが。

一人になれば、雨に濡れる庭園を眺めつつそぞろに指を動かし、また即興で曲を幾つか奏で始める。
誰かの耳に届く訳でもなく、音は雨の中に吸い込まれていくようでもあり。

ご案内:「王都マグメール 王城 テラス」からファルスィークさんが去りました。