2024/02/06 のログ
イオラ > 全ての毒に効く、などと言った高等な解毒薬を生成する事は出来ず、
本来の身体の時のように毒ごと融解する、と言った手段をとる事も出来ない。
そもそも、解毒液を生成するにも元が何なのかを識らねばならないし、
己の中に対抗できる解毒液を生成する要素がなければ、一度は取り込まねばならないのだけれど。

解析を進める合間にも全身へと巡っていく異なる毒。
弛みつつある肢体を保とうとすれば解析は滞り、解析に集中しようとすれば毒は巡る。

「……っ、」

その間にも、地下への入口は開かれるのだろう。
覚えた違和感の正体を知れば、思わず眉間に皺が寄った。
鈍る動きで椅子から立ち上がろうとして、足が縺れてその場に頽れてしまい――

「―――はな、して……ください、ませ、」

次の瞬間には体の浮く感覚。
隙間の無くなった距離ともなれば、堪え切れずに零れ落ちる熱の滲んだ吐息も伝わるだろうか。
碌に力の入らない両手で相手の胸板を押して細やかな抵抗を為し。

ユーダス > 一目には唯の侍従の女性であっても、中には毒物の扱いに長けた者や耐性を身に付けている者も居る。
今己の目の前に居る相手が"そう"であるか如何かを見ただけで判別するだけの観察眼は男には備わっていないが、
少なからず効果を現わしているであろう事は彼女の様子から見て取れた。

「―――おっと。」

立ち上がろうとした足元が縺れる様を見遣れば、頽れる身体を支えるように両腕を回し、其の侭彼女の体躯を抱え上げる。
そうして至近距離から相手の表情を覗き込めば、熱を帯びた吐息を漏らす様相に、クスリと唇の端を持ち上げて。

「そうは参りません。先程も申し上げた通り、貴女様を誠心誠意持て成すよう仰せつかっておりますので。
 必ずや、ご満足いただけるよう尽力致しましょう………。」

誰からの命で、とは決して口にしない。
男の体躯は決して頑健な方では無いが、それでも胸板を押し遣る相手の抵抗を意に介した様子は無く。
その身体を抱きかかえたまま、コツ、コツと靴音を鳴らして地下へと続く階段を下ってゆく。
その音が遠ざかった頃、再び地下への階段を覆い隠すように本棚が元の位置へと戻ってゆくと、
無人となった待機部屋には何事も無かったかのように静寂が訪れる事となるだろう―――

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