2023/09/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にファレーナさんが現れました。
ファレーナ > 王城の片隅──あまり人の訪れることのない小さな庭園。
庭師もあまり手入れを行き届かせていないのか、花々や緑がいささか褪せて見える。
その見離されたような庭園の小さな四阿に、影を頼るようぽつりとドレス姿の少女が一人。

まだ夏の名残の熱が淡く残る緑の中で、淡紫の花のように佇む。

「──……風が……ずいぶん、涼しい……」

四阿の作る影にはいり、そっと小さめの吐息を零した。
ひと頃の夏の熱は随分とおさまり、吹き抜ける風には涼やかさが宿るようで。
誰も来ないせいだろうか、警備の騎士の姿もなく、ゆえに居心地がいい。

──というか、仮にも王城に、警備の目の届いていないような場所を作っていいものだろうかと、ふと思いついたりもして、小さく首を傾げた。
さら、と月光色の髪が背から肩へと流れる。
誰かが、密談や私用のために、わざとそういう場所を作ったのかもしれない──と思いつくと、誰かが来るまではしばらく閑散とした静けさを愉しもう、と。

ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」にユーダスさんが現れました。
ユーダス > 王城の片隅にある忘れ去られた庭園の四阿。
其処に佇むドレス姿の少女の髪を撫でた涼やかな風が草葉を揺らす騒めきの音に混じり、コツリ―――と響いたのは靴音が一人分。
隠されたような場所に位置するその四阿へと伸びる道を歩いて来た黒服姿の男は、思いがけぬ先客の姿を見つけるとおや、と声を漏らし。

「―――失礼。先客が居られましたか。
 ………ご機嫌よう、姫君。この様な場所で独り、秘密の休憩で御座いますか………?」

されど、すぐさまその表情に人当たりの良さそうな笑みを浮かべながら、ドレス姿の少女へと挨拶の言葉を投げ掛ける。
四阿の庇の下一歩手前の場所で立ち止まるのは、先客である彼女の許可を得るまで立ち入る事を待つかのように。

ファレーナ > 風と花葉のひそやかな騒めきの中に、ふと混じる硬質な音色。
その音に、半ば反射的にぴくりと小さく肩が動いた。
おそるおそると其方へと視線を向ければ、影が一つ、落ちるかのような長躯。
瞬きを一度、二度。
迷いつつも薄物の衣をそっと摘まんで持ち上げるように会釈を投げた。

「──……ごきげんよう。
 良い風に招かれて、少し、だけ…。

 ………此方で、何方かとの、お約束…でしょうか……?」

そういったことも、この城では珍しくはないだろう。
もしも、ここで誰かと密会予定であれば、いつでも立ち去ろうという迂遠な問いかけ。
ぎこちなく、少し硬い礼儀作法。
おそるおそる浮かべた笑みは、歯を見せない部分は及第点、かもしれない。

ユーダス > 男の立てた足音に、宛ら小動物のように肩を震わせ視線を向ける少女の様子に小さく笑みながら、
それから先は気配を殺すように物音を潜めるのは、極力彼女を刺激せぬようにとの考えからだろうか。
やがてドレスの裾を摘まんで優雅に会釈をする少女を見ては、男もまた恭しく頭を下げて会釈をひとつ。

「―――然様で御座いましたか。確かに、今日は暑気も和らぎ風が心地良いですからね。
 ………ええ、実はその予定だったので御座いますが………。」

彼女の問い掛けに男は首を縦に振って見せてから、周囲の光景をぐるりと一瞥する。
警護の目も届かない、忘れ去られた庭園の片隅にある四阿―――其処に少女と男以外の姿は、何処を探しても見当たらず。

「―――どうやら、約束の相手は都合がつかなくなってしまったご様子。
 代わりと言っては何ですがこうして出会えた目麗しい姫君との一時を過ごせますと、私としてはとても嬉しいのですが。」

ぎこちない笑みを浮かべる少女とは反対に、男はくすりと穏やかな笑みを浮かべながら、少し茶化すようにそう答えた。

ファレーナ > 息をひそめるようにして日々を送る少女にとっては、大きな音は苦手な部類。
ゆえに、今にも脱兎の如く逃げる準備をしていたが、静寂を護るような物腰に少しだけ宥められるよう。
逃げるための緊張は少しだけ和らぎ。

「…静かで、誰もいない場所…貴重、ですので。
 ──……ぁ 
 ……わたしが、いたせいで…お邪魔をしてしまった、かも…しれません」

誰もいない風だけが通り過ぎる静かな庭園。
来た時から一人──だったと思うのだが。
もしかして、と小さく肩を縮ませた。

「…お、お上手ですね…。
 ……退屈を、させてしまう…かもしれません、が…それでも、よろしければ」

申し訳なさそうに、そう口にしながらもまだまだ硬い動きで頷きを返した。
そ、と掌を上に向けて差し出すように、四阿への立ち入りを仕草で許す。

ユーダス > 男が下手に動き出そうとすればすぐにでも逃げ出してしまいそうな様子の少女。
音量を落とした男の気配に、その様子が少し和らいだのを見て取ったならば、静かに胸を撫で下ろし。

「………確かに、王城の中でその様な場所を探すのは、少々骨が折れるかも知れません。
 なに、貴女が気に病む必要は御座いません?別に事前に人払いをしていた訳ではありませんし。」

先に見付けた方の早い者勝ちで御座います、と笑って見せるのは申し訳なさそうに肩を縮ませる少女へと。
それから、四阿への立ち入りを許す仕草に礼を述べてから、先程より音量を落とした靴音はその庇の中へと足を踏み入れ。

「―――申し遅れました。私の名はユーダス・オクト・アラーネアと申します。
 今日のように王城への出入りを許される事もありますが、元はしがない商人で御座います。
 ………退屈だなどと。貴女のような姫君との一時を過ごせる事だけでも、身に余る光栄というものです。」

その姿が完全に四阿の庇の影に隠れた頃、少女の正面に立った男は改めて恭しく頭を下げて見せながら、そう名乗りを告げる。
忘れ去られた庭園の四阿の中、その一時は誰の目にも届く事は無く―――

ファレーナ > 「お強い、騎士さまがたが、あちこちで警備を担ってくださっています…から。
 もちろん、それはとても…ありがたいこと、ですが。

 ──……そぅ、なのですか…? それであれば、よかった、です…」

 さすがに王城内は様々な人目があることだろう。
 警備の者や女官たち。出入りの官吏たち。
 目の前の紳士もおそらくはその中の一人。
 眼を合わせるたびに、気の小さな娘は小さな緊張を強いられることになるのだが。
 気配が小さなせいだろうか、いつものようにぎゅっと身を縮めて怯え切る──ということはない。
 密談、逢引、いずれにせよ邪魔をしてしまったかもしれないという罪悪感ゆえか。

 ドレスの裾を小さく上げて、踵を後ろへとずらす簡易の礼を送り。

「──……ご挨拶、謹んでお受け取りいたします。
 ファレーナ・ルーシュ・タルグード…
 王家の末席を汚す者にございます。
 ……商人様の、お役に立てるようなお時間になるかは…お約束できませんが。
 …でも、お話、出来るのは……うれしい、です」

 向けられた礼を受け取り、此方も名乗りを返す。
 そのささやかなやり取りも、夏の盛りを過ぎた涼をはらむ風に紛れて──

ユーダス > 【部屋移動致します】
ご案内:「王都マグメール 王城【イベント開催中】」からユーダスさんが去りました。
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