2025/05/09 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にラナさんが現れました。
■ラナ > まだ明るいうちの富裕地区の通りを、平民地区の方へ向かってふらつきながら進む、白い服の少女。
もうすぐ地区の境目。それを超えたら平民地区に入る、扉の無い大門に繋がっている石壁沿いに歩いていたけれど、壁に寄りかかるように片腕をついて自分の身体を支えながら。
「……もう少し、せめて……我慢、しないと、です」
もう片方の手で胸元を抑えて、うつむき加減にその場に立ち止まり。
具合の悪そうな少女、これが綺羅びやかな装衣の貴族の誰かであれば、ここぞとばかりに街の衛兵や他の誰かしらが助けに入って恩を売ろう、などとするのだろうけれど。
別にぼろぼろの服と言うわけでもないのだが、単一のシンプルなシスター服――の格好の少女、では何か富裕層に向けて用事はあったのかもしれないにせよ、明らかに身分は低そうに見えるものだから、この辺りではそれはもう、放置されるもので。
吐きそう、になるのをなんとか抑えている。そこら中で誰かが吐いた跡があるようなもっと下層の地区でならばともかくも、こんな所で平民が吐いていたら、それだけでも捕まりかねない。
せめて、この地区ぐらいは出るまで耐えないと、そうすれば手洗い場に入れるような一般民向けのお店かなにか見つかるかも、と歩き出そうとするけれど。一度気分が悪いのを意識してしまうと、余計に悪化してくるもので、うう、と呻いてまた壁によりかかり。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にタマモさんが現れました。
■タマモ > いつも通りの、気紛れの散歩。
まぁ、やっている事は、そんな感じだ。
もっとも、普通に指す散歩であるのかは、別と言えなくもない訳だが。
とん、とん、と少女が移動しているのは、富裕地区の建物の屋根の上。
今日も今日とて、何かないかと、足元に広がる光景に、時折、目を向けながらの移動である。
「………うん?」
と、そんな事をしている中、ふと目に入ったのは、普通でないように感じる少女の姿。
いやまぁ、壁に寄り掛かり、体を支えているなんて、そんなものはどう見ても普通ではないんだろう。
周囲には…さて、誰か居るのか居ないのか、そんな少女に関わろうとする、そんな誰かは居ないようで。
ふむ、と軽く思案をすれば、とん、と屋根を再度蹴り…
ふわりと、そんな少女のすぐ隣、音も無く飛び降りた。
調子の悪そうな少女だ、気配も感じさせず、音も立てていなければ、隣に現れた己に気付けるかどうか。
■ラナ > 少しの間、瞳を閉じる。その方が落ち着くかと思ったのだけれど、それだと平衡感覚がなくなって余計に目眩がしそうな気配がして。
ぱち、と再び目を開けて、あと少しなのだから頑張って歩きましょう、と自分に言い聞かせる。あと少しと言っても、この地区を出るまで、の話であって。そこまで行けば安全と言う保証は全くないのだけれど。
「水か何か飲ん……だら、余計に吐きそう、ですものね――落ち着ける場所を探さないと」
少し立ち止まっていたことで、今すぐ突然吐くかも、と言うぐらいの気持ちの悪さは一旦おさまりつつあったから、いつまでも立ち止まっていても仕方ない、と。
誰へともなく呟く言葉は自分に向けて、頑張って歩きなさいと言う話し。
隣に人影があるのは、せめて影の向きがこちらなら分かったかもしれないけれど、周囲に気を配る余裕もないからまだ全く気づきもせずに。
■タマモ > 少女の発言を耳にして、まず思ったのは…
いつもの調子で、驚かせないで良かった、と言う事だろうか。
吐きそうとか言っているのだ、びっくりなんてさせようものなら、一発で…確定だろう。
実際にそうなっても、自分だけは回避する自身はあるが、そうさせた事の責任感とかどうとか。
かなり、感じさせてしまう事となったはずだ…多分。
「そういう時に効果的なのは、深呼吸をしたり、涼しい場所に移動する、まぁ…気を落ち着かせる事か。
水を飲むのは、口が渇くと悪化するもの、決して間違った対応ではないと思うがのぅ?
ともあれ、最悪は、吐いてしまうのも手じゃろうが、それは最後の手段じゃろうなぁ」
だから、また違った選択肢を選び、そんな少女へと、軽く対処法を伝えてみた。
少女からすれば、注意を払っていない、すぐ隣。
なんだかんだで、それならそれで頑張って貰おう、等との放置は出来なかったらしいのは、性分である。
己の声に反応し、こちらを向いたなら。
そこに居るのは、いつ居たのか分からない、狐を模した耳と、複数の尾を持つ異国風の少女。
■ラナ > 意を決して、歩き出そうか――と顔を上げたのと同じぐらい。
急に隣から声をかけられたものだから、思い切り驚きまではしなかったものの、びく、と身をすくめる形になって。
声の方を見れば、あまり見慣れぬ格好、貴族のひとにしては色合いが派手ではないように思えるから、どんな人なのか見てすぐに予測もつかないけれど。
「……あ、えっと。 ありがとう……ございます? ――っふ」
聞こえた言葉は、心配してくれていてのものだろうとは察せるから、素直にお礼を言おうとし。
視界に獣の耳や尻尾が見えた気がして、こんな所にミレーの人がいたら危ないのでは、と一瞬思ったけれど、猫の耳とか尻尾ってあんな感じだったろうか?違うような……
と、まで考えた所で。一度に色々考えたものだから、うっかり変な息の仕方になったのか、口元を押さえて少し咳き込みそうになり。
庇った手のひらに、喉の奥から漏れてきた、白っぽく濁った何かべたべたした様子のものが付いてしまい、あぅ……と呻いて。拭くものはどこに仕舞っていたかしら、と戸惑いながら。
■タマモ > 多少は気を遣い、普通に声を掛けたものの…今のはちょっと、危なかったかもしれない。
少女の反応に、そんな事を、頭の片隅に思いながらも。
「あー…いや、気にせんで良いぞ? それよりも…ほれ、それ以外であれば?
こうすれば、多少なりとも、ましにはなるのではないじゃろうか?」
とりあえず、まず少女の状況を、多少なりとも改めなければ…と、そう考えて。
少女が何を考えているか、等は置いておき、口を押さえる少女の側に歩み寄り。
その体を軽く抱き寄せれば、ぽんぽん、と背中を軽くさすってあげようか。
まぁ、本当に、ほんの気休めではあるだろうが、言葉通り、わずかなりともマシにはなるだろう…多分。
「しかし、こんな場所で体調を崩すとは、困ったものじゃのぅ。
そのまま一人で…と言うのもあれじゃろうし、まずはもう少し、落ち着ける場所でもどうじゃ?ん?」
そうして、そんな事をしながらも、少女に次の提案を問うてみるのだ。
…ついでに、改めて、少女の姿を確かめるように見てみるが…人とは何か違うような、そんな違和感に。
はて?と、軽く首を傾げるのだった。
■ラナ > ああ、そうか、きっとこの人は自分のように他の人たちとは少し違うのだろう、と思うに至り。
ぱたぱたと忙しくしていたせいもあるし、この格好で過ごすのが当たり前になりすぎて、暫く――戻って、いなかったせいで自分の方も人じゃない、のだから同じくそうじゃない人が現れるのも不思議ではないのだと言う発想に暫くたどり着かなかった。
見た目は完璧に人間そのものだけれど、極めて敏感だとか魔法に詳しいとか、そういう相手なら、少女の腰から下、脚だけに魔法的な違和感を覚えても当然なのかもしれず。
「はい、落ち着ける場所へ……なんとかたどり着きたくて。
この辺りで私のような者では、なかなか助けてはもらえませんし」
抱き寄せるように支えてもらえるのは、ふらついているのもあるし、変に意識しすぎると歩きにくくなってしまう体質なのもあったから、素直にありがたく。冷たい壁に寄りかかっているよりは、ずっと頼れる気もするから、自力で歩こうとはするものの、少し寄りかかるようになりがちに。
背中をさすられるのは、落ち着くような、けれどぽんぽんとされると吐きそうな、少し戸惑いもするけれど。
助けてくれようとしているのだ、と言うのはもうそのまま信じて、辛そうなだけの表情にほんのり笑みが戻ってきて。
■タマモ > 少女が思った通り、己は人間ではない、少女が想像する、ミレー族とも実は違う。
とは言っても、それは少女も同じ事だろう。
そして、己が感じた違和感に関しても、匂いや感覚で、人間とは違う、と感じただけだったりする訳だが。
その辺りは、知っても知らずとも、まぁ、気付いた事には変わらないのだから、無問題だろうか。
「ふむふむ…それならば、せっかくこうして出会うたのじゃ、案内の一つもしてやろう。
それにしても、こんな可愛らしい女子を放置とは、勿体無いとは思わんのじゃろうかのぅ」
少女の言葉に、ふむ、と頷きながらも、言葉の後半は、誰に言うでもないように、ぽつりと零す。
素直に腕の中に収まる少女に、にっこりと笑みを浮かべ、その顔を一度覗き込んだ後。
耳元に唇を寄せると、気にせずに、妾に頼れば良いぞ?と、付け足しておくのだ。
さて、この程度で治るものであれば、苦労もない。
辛そうだった表情が、僅かなりとも緩んでくるのならば、とりあえず、まずは移動。
少女の体を抱き寄せたまま、軽く周囲を見渡してから。
「では、このまま、ここに居ても仕方がない。
ささっと、その場所へと向かうとしようか?」
そう改めて問い、少女の承諾を得られたのならば、そのまま移動との感じだろう。
■ラナ > こういう感じの時に、気が抜けるとそのまま寝かけることもままあるから。
今は気にしてくれる人が居るから、ひとり外でうとうとしているより安全かも、とは思わなくもないけれど。それよりは、ある程度勝手知った場所に向かった方がいちばん良いのだろう、と考えて。
「この地区を出たら……時折使わせていただいている宿なども、ありますし。
ひとまずそこまでたどり着いてしまうのが、一番安心、かも……ですね」
王都によく買い出しなどに現れる。無理に日帰りにしていないぶん、いくつか宿の覚えもあるのがこういう時に助かる気がする。
助けられている安心感もあってか、いざ動こう、となれば歩き出せるぐらいの気力はなんとかなりそうで。
歩き出しながら、頼らせてもらいますね、と微笑んでみせて。
「――女だから、この辺りだとかえって声をかけにくいのかも……
格好から、ここに住んでいるわけではないのは、わかるとすれば…… どなたかの、良からぬ企みに関わっている、とか……」
可愛らしいと言われた気がする部分は、なんとも気恥ずかしいからそのままただ、女、と応えるけれど。
貴族ではない、金持ちにも見えない、けれど女がこういう場所に。となればどこかの愛人であったりとか、そういう発想になれば声もかけにくいものなのかも、と。