2025/03/04 のログ
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ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にエアさんが現れました。
エア > とある貴族の夜会の帰り道である。
父の知り合いの貴族がどうも冒険者から面白い物を買い上げたらしく、
それの自慢せんが為に両親と共に招かれた夜会なのだが、
顔見知りも友人もいない夜会の何が楽しいのか、
途中で早々に両親と主催者の貴族の男に挨拶をし、
日付が変わる前にその屋敷を抜け出したところだ。

「……ホットワインでも飲んで来ればよかった。」

外はちらほらと雪が舞っている。
帰宅する場所が寮でなければ馬車の迎えがあるのだが、
残念ながらこれから寮へと戻らねばならず、馬車の手配もなく、こうして徒歩で帰宅中であった。

にしても寒い。
愚痴を零してしまうくらいに寒い。
ホットワインをだされたが酔いが怖くて拒否したが、
今思えば飲んでおけばよかったと思うくらい寒い。

シルクの手袋では防寒にもならず、両手をすり合わせながら、時々はぁーっと真っ白な息を吐きかけ、
僅かな暖を取りながら、富裕地区の通りを歩いていた。

「ああいう『場』になれなくてはいけない、とは思うのだがね。」これも愚痴、これも独り言、敢えて言えばパートナー同伴とは聞いていなかった。

パートナーがいない者はその場で見繕って、温かな夜を過ごすのも目的だったようで、正直ついていけない。

最初から説明してほしかったし、父や母はあわよくばいい相手でも?とか考えたのだろうか。

ほーんと正直ついていけない、と。

エア > でもひとつだけ良い事があった。

……『これ』お土産である。
はらりはらりと雪が舞い散る雪空にそのお土産を掲げる。
厚雲に月もなければ星もない、お土産は金属製の小箱なので、中が透けて見える事もない。

今からあける勇気もない。
何せ寒いのだ……帰宅してから開けようと思う。
ただ、この金属の小箱をくるりと回してみても鍵穴もなければ、
何処から開けられるかもわからない。

パカっと開くのか、捻ってあけるのか。
それすらもわからない不思議な小箱。

魔力は……どうだろう。
その手の魔法に疎いのでわからない。
――…後でのお楽しみだろう。

ただお土産をくれた貴族の男が妙にニヤけた顔で、
きっと坊ちゃんも役に立ちますよ?と言っていたのが、
非常に気になるが。

エア > 「帰って色々試してみるか。」

我ながら子供のようである。
開かないと分かれば開けたくなる。
中身がわからないと知りたくなる。

切れ込みのないのっぺらで真っ白な仮面の奥で、
にこり、と笑みを浮かべると、先ほどと違って少し楽し気に鼻歌を歌いながら帰路へとつくのであった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からエアさんが去りました。