2025/01/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にホウセンさんが現れました。
■ホウセン > 屋敷の前で、馬車が停まる。
門扉から屋敷の前まで、無駄と思える距離を走らされた後で。
すかさずドアマンが客人を迎えるのだけれど、隙のない所作は十分に訓練を受けた者と察せてしまうぐらい。
取りも直さず、雇用主の財力が窺える一連の行動を自然に流し、ちょこんと降り立ったちんまいシルエット。
「やや遅参となったが、頃合いとしては丁度良いのかもしれぬ。
堅苦しさを保つには、皆、酒精が入り過ぎておるじゃろうしのぅ。」
ペタペタと雪駄の底を鳴らす外行きモードの商人は、エントランスへ。
間々主催するからという理由だけで、敷地に宴会用の建物を増築する辺り酔狂な家主だ。
建物自体は三代前の当主が設け、当代の当主がリニューアルをしたという。
羽織と襟巻をクロークに預けて身軽に。
外の冷気を考慮しなくていいぐらい、建物の中は温暖で。
主会場となっている大ホールに足を踏み入れ、ふん、と軽く鼻を鳴らす。
金の掛かりようは兎も角、王国貴族の典型的な年始の宴。
残るのが明らかな量の酒食が、財力を誇示するように陳列され、当然のように楽団が音を奏でている。
これが戦線を抱え、内乱に頭を抱える国家の中枢というのが、呆れ半分、居心地の良さ半分。
当主の挨拶などはとうに終わっているらしく、歓談タイムらしい。
しれっと葡萄酒で満たされたグラスを受け取り、赤い絨毯のフロアを泳ぐように。
歓談、即ち、腹の探り合いやら鞘当やら。
適当に目を惹く者が居ないかと、黒い目を細め。
■ホウセン > この空間を更に非現実的なものにしているのは、籠った匂いだ。
市井の食堂やら平民の食卓やらには並ばない、香辛料がふんだんに用いられた料理。
同様に上等な酒の香りと、それから酒精を取り入れた人間の呼気。
参加者の誰も彼もが上等な香を纏い、或いは焚き染めているのも一役買っている。
そこかしこの衝立の裏、羽目を外して一夜の遊びを…等としている輩の発する淫臭も微かに。
空気が澄む冬というのを差し引いても、新年早々の清々しい外気とは似ても似つくまい。
人並み以上に――事実、人でない妖仙の鼻は、それらをまとめて嗅ぎ取っており。
にぃ…と、唇を緩める。
清廉なんぞ犬の腹にでも収めてしまえば良い。
この場に集まっているような有象無象に、それらの概念は似つかわしくないのだからと。
「嗚呼、これはこれは閣下。
儂のような者にまでお声がけいただき、恐縮の至りじゃよ。」
それでも社交の時間だ。
老紳士ぶったどこかの貴族の当主に呼び止められて、軽い歓談。
聞きようによっては不遜に聞こえる物言いも、異国情緒溢れる見目によってある程度緩和されて。
恐らくは、その整い切った外見が相手の寛容さを増幅させる方向へ働いているのも否めない。
王国の図書館に北方帝国由来の文書を加えるという案件で妖仙を指名し、
益の何割かを還元させるような俗物…だからこそ、使い勝手が良いとか。
四方山話に花を咲かせつつ、チラと周囲を探る。
既に縁のある者、己に取り入ろうとする者、己を不審に思う者、護衛に警備に”つけとどけ”。
どれもこれもこの場にあって不思議ではない者達を、あやかしの目で値踏みして。
■ホウセン > 斯様に幼げな風体の参加者が混じっていても、何も言われぬ集いだ。
そもそも箍が外れているというのが近しく。
だからこそ、遊興好きの妖仙が活動的になる土壌は整っており――
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からホウセンさんが去りました。