2024/09/21 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にテンドンさんが現れました。
テンドン > 王都マグメールの富裕地区。
夜間において天幕の張られている場所が在る。
劇団が他所からやって来たというお話なのだ。
これが凄い面白いという話なのだ。
そして満員御礼で何時もぎゅうぎゅう詰めでチケットは劇団が去る日まで売り切れなのだ。
でも、お客さんの一人がどうしても行けなくなったので一枚譲って貰った。
そんな訳で天幕の中にずんずん足を踏み込んで来ている。
まだ開演していないが相当量の観客と思われる人たちが集まっている。
中にはストーリーを示唆する立割や絵画、小道具などが飾り付けられ。
客達が落ち着く為の席が既に設けられていた。
丁寧に番号で振り分けられているので椅子によって区分けられている通路を闊歩する。

「あ、此処だ」

半分に入場口でちぎったチケットの半券の数字と席の彫り込まれている数字を照らし合わせて確認。
そこに緩慢と腰を下ろす。肘掛付きで結構豪華。リクライニングみたいにゆっくり出来るようになっている、これも人気の秘密だろうか。

テンドン > 後は軽い飲食物も販売していたので買っておいた。
薄っすらと精霊たちの放つ魔力光にライトアップされた天幕内に、今も良い匂いが籠っているのが解る筈。
これって薄っすらと焦がしたバターの匂い。
わざわざ作り立てにしているポップコーンが器一杯に手元に在る。
揃えた膝上にちょこんと置いた、他に置く場所も無いし。
飲み物も在ったような気もする、酒もあったが泥酔されては困るので薄く希釈した奴だった。

掌の上にころころ炒られて破裂した白いポップコーンを転がす。
ぽーんっと手首の力で大きく頭上に跳ね上げた。

「んあ」

真上を振り仰いで口を開ける。

「あがっ!?」

額にバウンドした。てん、てん、と、そのまま山肌を転がり落ちる岩の如くに頭の崖を落下。
張り出している双子の乳房山脈の豊かな綾丘を滑落して加速。

テンドン > 「とっ」

地面と仲良くなる寸前に慌てて手を真下に滑らせ、せーーーーふ。
手中に捕まえたそれを一握りにする。
前傾にお辞儀みたいになった姿勢によって乳房山脈が自分の膝頭に密着してぐんにゃりと歪んでいる。
脂肪の厚みを貫通してばっくんばっくん弾む心拍のリズムがほぼ直に膝に感じる。

「あっぶな。絶対行けると思ったんだけど。ナマッたね、ボク」

急激消費したカロリーを補填するために普通にぱくっと口の中に放り込む。
むしゃむしゃ。普通にまっとうに美味しい。

テンドン > 周囲を見回してみると客層は流石に富裕地区と言ったところ。
裕福そうな家族連れが大半を占めており、後はいかにも自分たちはカップルですよというオーラを放っているペアがちらほら。
この劇はロマンスなアレがテーマの奴だからだ。
ドレスコードなんてものはなかったし、誰でもチケットさえあればウェルカムには違いないのだが。

「……凄い場違い感じゃないかな、これ。めんどくさがらずにもうちょっといい服をおろしてくるべきだったかな。でも夏の服ってどれも似たりよったり…」

洗練されたファッショナブルな装いには縁遠いのだ。
そろそろ冷えて来るし夏服なんて今頃か、という心理的自己完結。
もりもり小山を築き上げているポップコーンを手で削りながら、周囲に集まって来る人口密度に余所見がちつつも劇の始まりを待つ。

テンドン > そうこうしている内に劇が始まった。
舞台上において始まりの口上を朗々と並べたてる様子に、
これ今迄に何度言って来たんだろうという顔で眺め遣り。
そして周囲の社交辞令的な拍手に追従して軽く手を打ち鳴らす。
その頃にはもう大分器の中のポップコーンは目減りがち。

そして何だかんだでそれなりに楽しく観劇の時間を過ごす事になるのであった。
仕事の無い休日においてほんの少しだけ充実した一時を過ごせたというお話。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からテンドンさんが去りました。