2024/02/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にエルバさんが現れました。
■エルバ > 失敗した――――。
湿り気を帯びた、冷えた空気を感じながら思考が巡る。
とある貴族の裏帳簿を盗んできて欲しい、と、界隈ではよくある依頼を受けたのが数日前の事。
見張りの位置確認やらルート取りやら、何時ものように万全の準備を期して向かった。筈だった。
けれど、結果として、恐らくは石造りなのだろう床に、視界を塞がれ、手足を拘束されて転がされている。
一番最後の記憶は、目的の帳簿が隠されていた書斎。
恐らくはそこに自分の知らぬ罠が仕掛けてあったのだろうが、それも今では判別が付かぬ。
それ所か、今自分のいる場所も、あれからどれだけの時間が経ったのかも分からないのが現状だ。
「ううん……まずい。」
言葉ばかりはいつもと変わらず呑気なものだが、内心は焦りに焦っている。
見えぬと分かっていても、周囲を探るように顔が小さく揺れ。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にヘルガさんが現れました。
■ヘルガ > 「そうだね。もう君は逃げられない」
冷ややかな石造りのなかに、どこか呆れたように低めの女の声が響いた。
調べられた見張りの人員の中に少なくとも女はいなかったはずである。
ガセを掴まされた……というよりは、公にしない人員を用意していたのだろう。
そして、罠を仕掛けた本人こそがいまこうして見張りもしていたのだろう。
「わたしの雇い主は、幼い少年か少女をご所望でね……
……きみは、これから。他の連中にひどいことをされるか、番犬たちの餌にされるか。
ま、どうしたって……次の朝日は拝めないだろうね?」
足音の後気配が近づいて、最後のほうはエルバの耳元に唇を寄せたのだろう。
息の温かさと体温が近い。淡々と事実を告げる唇だ。
■エルバ > 不意に耳を打つ言葉に、見えない視界の儘その音の元へと顔を動かす。
恐らくは女性なのだろう声色に、目隠しの下で瞬きが数度。
それから、少しずつ近付いてくる足音とその気配に、僅かに身を強張らせた。
紡がれる台詞に焦りは増すのは当然なのだろう。
「……っ、」
自分の熟す依頼が、身の危険と隣り合わせだなんて事は元より理解している。
けれど、それを改めて他人の口から告げられれば、臓腑の冷える心地だ。
震えそうになる歯の根を噛み締め、相手から顔を背けた。
碌な抵抗の出来ない体での精一杯の抵抗を最後に、後は相手や、相手の挙げた『他の連中』に処遇を定められる事になるのだろう。
相手の雇い主の気が変わって命だけは許されるのか、はたまた、言葉通り朝日を拝めぬ身となるのか。
今は知る由もなく――――。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からエルバさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からヘルガさんが去りました。