2023/10/05 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にサタンさんが現れました。
■サタン > 夜も大分と涼しくを超えて寒さを感じる季節。
夜の街を行く人々も外套を羽織る姿もチラホラと。
通りを行き交う人々の流れから、一人逸れて何時もの隠れ家のようなバーへと向かう。
店の扉を開ければ、今日も客の姿は無く店主が何時ものようにグラスを磨いている。
「――…本当にどうやって成り立っているのか、気になる所だな。」
男も長くこの街で時を過ごしているが、訪れる際に先客がいた光景を見た回数は果たして何度あったかと、首を僅かに傾げながら冗談の言葉を紡ぎ、いつもの席へと向かってゆく。
上着の釦を解いて聊かラフになれば、椅子に腰を下ろす。
それに合わせてマスターはグラスを磨く手を止め、男の好む何時もの酒のボトルを棚から取り出し、曇りないグラスへ球形の氷を入れ、何時もの蒸留酒を注ぐ。
カウンターの上にコースターを置いて、その上に静かにグラスを置き、マスターはまたグラスを磨く作業に戻って行く。
言葉は最小限にただ酒を愉しむ場で、カウンターの上に置かれたグラスを手にすれば、口許運び琥珀色の酒精を一口味わった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にアルマースさんが現れました。
■アルマース > 本日一本目の仕事が終わり、踊り子は上機嫌だった。
民度は良くないが、金払いは悪くない、そんな酒場の踊りの仕事を終えて、二本目の仕事までの繋ぎの時間。
お腹いっぱいは食べられないけれど、軽く何かつまんだり街を散策しよう。
――と、野良猫のように街を散策中、見つけたバーらしき扉を開けた。
「こんばんは。お邪魔してもいい? 一人なんだけど」
開いた扉から吹き込む冷たい風を遮る、黒いローブ。
肩へ落としたフードから零れるゆたかな黒髪。
ローブの裾から覗く薄い銀の腰布も揃いの色のヒールもキラキラというよりギラギラくらいに輝いている。
断られたら別の店を探せばいいや、くらいの気軽な若い女の声。
派手な化粧を施してきらめくくっきりした目元が懐っこく笑う。
先客が一人と店主らしき姿。
扉を開けてから場違いだったかなあと思うことは街歩きをしていればよくあるけれど、物怖じする様子はなく面白そうに店内を見回している。
■サタン > 琥珀の酒精を一口味わった頃に、店の扉が開く音がした。
中々人目につくような立地ではないこの店に、客が来る瞬間を見たのも
はてさて数えるほどあったか否か。
店主は新たな御客様へと「どうぞ。」と一言告げる。
「――こんばんは。私も構いませんよ。
こちらも一人ですし、この通り言葉少ない二人ですから。」
ローブ姿の黒髪の女性へと、男も続いて言葉を返しながら、ローブの裾から除く装飾の煌きや、
しっかりと施された化粧などから夜街で働く類の人物か位には当たりを付けつつ、店主に変わって空いている席の一つへと片手を出して勧めた。
■アルマース > 店主へ「ありがとう」と告げてから、続けて先客へ笑みを向ける。
「静かにお寛ぎのところごめんね、兄さん。長居はしないから」
ひとつ間を空けたところの席に腰を下ろすと、あつい、とぼやきながらローブを脱いだ。
寒くなってきたとは言え裏地に毛皮をつけたローブは、外で裸同然の防寒しかできない薄手の衣装の上に着るのには良いけれど室内だとすぐに邪魔になる。
ショールも取りたかったけれど、場所柄痴女めいてしまうので我慢しておく。
露出と衣装の輝きを長いショールで覆って隠し、あまり強くない甘いリキュールを更に甘い果実水で割ったもの、それからつまみをいくつか頼んで人心地つく。
「兄さんはここよく来るの? この店は踊りの仕事はなさそうよねえ」
賑やかすぎる酒場での仕事が多いけれど、客として行くなら静かでこじんまりした店が安全である。
■サタン > 寛いでいるというよりもそれなりに長い付き合いか互いに言葉数も少なく、適度に酒を愉しみ金を落とし、店が潰れないようにしている不思議な関係。
気にしていないと、グラスを軽く掲げて応じ、そのまま口許運びまた一口琥珀色の雫を運び、焼くような強い酒精を愉しむ。
一席分空いた席へと腰を落ち着かせ、夜も冷えるようになったとは言え、脱いだローブの内側に設えられた毛皮を見れば暑いというのも納得できよう。
「この店が潰れない程度には、といった所でしょうかね。
この店は金儲けをする気があるのか、聊か怪しい位に客の少ない店ですから。
案外、踊り子さんを雇ったらもう少し客足も増えるんじゃないか?マスター。」
女性の注文を受けて準備を始める主人を片目に、問われた言葉へと応じつつ、また一口酒を飲み、ふと思いついたかのような冗談を店主へと紡ぎ出す。
応じる言葉はやはり無言で、グラスへとリキュールと果実水を注ぎマドラーで掻き混ぜていた。
■アルマース > 「それはとっても貢献してるってことじゃあ……?」
どこかの貴族様だったかしら、と自分の口の利き方を思い返すけれど、今更取り繕っても遅いかなあと潔く諦める。
この地方へ流れてきたばかり、平民地区からぶらぶら歩いてきたこともあって深く考えていなかった。
「こっちとしては嬉しいけど、望まないお客が増えちゃいそうだね。
わいわいするのも楽しいけど、ここなら女一人でも安全そうだし、無くなったらそれはそれで困るなあ」
先刻仕事をしてきた酒場との落差と静けさがしみる。
「さっきまで平民地区の酒場にいたんだけど、お触り厳禁だってのに、結構しつこかったもの。
たまたま今夜、そういう客が多かっただけかもしれないけどさ」
頬杖をついてマスターの所作を眺める。
■サタン > 「でも落とした分はしっかりと、酒を納品する事で回収していますから。
――あぁ、申し遅れました。交易商のイヴリースと申します。」
此方の装いは貴族か或いは富裕層の類のソレではあるが、一先ずは平民。
言葉遣いを気にすることも無く、自らの名を名乗り。
「――…それは確かにあまり好ましい事では無いですが、
それ以上に、折角雇ったとしても踊り子さんの御給金が払えるかどうか…。」
『こっち』という単語に華やかな装飾や化粧などから、踊り子を生業としているらしい事までは把握すると、
もう一つ冗談めいた言葉を紡ぎ出して、店主を揶揄う。
踊り子という生業上、性的な目で見る輩も無論存在し、
厳禁だとされればされるほど破りたくなる男の性には僅かに眦を下げて苦笑を浮かべ。
「まぁ、冒険者や労働者も多い地区ですから、どうしても華やかな女性には好意や性的なものが抑えられないというのも、
同じ男としては分からぬわけではありませんが――一先ず、『お疲れ様』の乾杯でも良ければ?」
掻き混ぜてリキュールと果実水が混ざり仕上がったグラスが、女性の前へコースターの、上静かに置かれるのを眺めながら、
男は手にしたグラスを相手へと軽く掲げてみせた。