2023/09/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にサタンさんが現れました。
サタン > 夜の富裕地区。
街灯の灯る通りを行き交う、着飾った紳士淑女らに紛れ男は
煌びやかな街を行く。

富豪らが集うサロンや、彼ら向けの娼館の前は通り過ぎて
華やかな通りから外れた路地裏へ――

カツ、カツ

革靴の足音が、路地裏に鳴り、通りの明かりは徐々に遠く。
路地裏ひっそりと灯る明かりの其処は、看板すらも無い知る人は知る隠れ家的なバー。

扉を開けて店中へと入れば、カウンターと数席のみのこじんまりとした店内。
バーカウンターの内側でグラスを磨く初老のマスターへ、男は軽く会釈を交わし、いつもの席へと落ち着く。

一部の酒は自身の商会から卸している間柄か、此方の好みも把握したように、店主はグラスへ球形に整えた氷を入れ、
男の好み銘柄の蒸留酒を注ぎ、マドラーで一度だけ軽く廻し混ぜ。

男の前へとコースターを置き、その上へグラスは静かに置かれる。
グラスを手に取り、硝子の内側に満ちる琥珀色の芳醇な、されど何処か癖のあるような酒精の香を鼻腔で愉しんだ後、
口許へとグラスの縁を寄せ、一口。
琥珀色の雫は喉を微かに焼くかのように、流れ落ちてゆく。

相応の付き合いの長さ故か、言葉は不要と、ただ静かに落ち着いて酒を愉しめるこの店は、
酒を好む魔王たるこの男にとっても気に入っている行きつけの一つ。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にセレンルーナさんが現れました。