2023/08/14 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2/とある屋敷の庭」にメリッサさんが現れました。
■メリッサ > (富裕地区の中でも王城から離れた屋敷。
平民地区の建物に比べれば大きく見えるだろうし、王城中枢側からすれば見すぼらしい小さな屋敷。
そんな中間ほどのこじんまりした屋敷の庭がある。
屋敷の敷地を囲うのは白煉瓦と黒鉄の柵で出来た、子供の背丈ほどのフェンスウォール。
屋敷を中央に据えて左右対称に、等間隔で置かれているフットランプ。
片側には一本の樹木、こじんまりとした池の傍には白亜のガゼボ。
その反対側には花壇と青く広々とした芝生、貴族の屋敷にしては警備兵や門番も見当たらない。
王城よりの警備が厳しい大きな屋敷よりは、盗みに入るなら手頃ではあるが、
あまり実入りはなさそうにも見えるこぢんまりとした屋敷だ。
ここら辺は敷地も狭いので、家屋も密集しがちであり、逆に目に付きやすい部分もある。
そんな庭先には番犬が二匹。警戒心が強く、侵入者に対して容赦のないシェパード種。
その二匹の傍には、一人の女がいた。
青い髪を束ね、シャツとベスト、パンツにブーツと男装に近しい恰好で、手には双剣を持っている。
幼い姿を取る主君を寝付かせた後に、こうして庭先で近接術の鍛錬をする。
夜伽の命がない日は、早朝と晩に二回。
今日も庭に出てきた矢先に、愛犬たちに絡まれることになった。)
「あっ、ちょっと待ちなさい、フラム、グラス、違うから、遊びに来たんじゃない。
……こら、もう────! 私の言うことを聞きなさい!」
(────本来なら、番犬よりも苛烈な特性を持つ魔犬ヘルハウンドを手足のように使役する一族の生まれながら。
今はこうして、犬二匹にもてこずる始末。
ようやくお座りをした二匹の頭をわしわしと撫でて、メリッサはよし良い子、と繰り返す。
外から柵越しにでも、十分に見えるしなんなら声も聞こえるかもしれない。)
■メリッサ > (結局愛犬二匹を使役する為の軽微な魔力同調を行うのにしばし時間を使ってしまい。
ようやく終わる頃に一息ついてから、庭の広い方へと立って軽く腕を伸ばしたり、脚を伸ばしたり。
鍛えられていることが分かる体幹の良さ、大きく育ってしまっている胸は相変わらず邪魔だなと思いつつ、
軽く解し終えた後に、剣を二本、構えを取る。
────すう、と息を吸って、吐く。
右手を前に、左手を後ろに、下半身は横へ、上半身は前へ向けて。
重心はぶらすことなく左右均等に力を込める。
しん、と静寂があり。
踊るように一対の剣が灯りを弾いて軌跡を描く。
切り上げ、突き、振り払うように薙ぎ払い、空を切る音もしないままに鞭のようにしなり、振り切る。
非対称の動きもあればまったく同一の動きもあり、左右対称の乱撃も。
下半身、その足さばきもまた迷いはなく、手の動きに合わせているかのように素早く動く。
素人目で見れば連撃は剣筋が幾重にも重なっていただろうし。
玄人からしても研鑽を重ねた動きと知れる程度。
流れの型も独自のもの。
月が差し、星が浮かぶ夜空の下。
夜の風が青の髪を揺らす中、未だ暫し女の日々の鍛錬の一幕は続いていただろう────。)
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2/とある屋敷の庭」からメリッサさんが去りました。