2023/08/13 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」にクレイドルさんが現れました。
■クレイドル > 日中の王都マグメール。富裕地区の通り道。
立ち並んでいる商店の前では果実を搾って水と混ぜ希釈したジュースを配布している。
それも無料で。頻繁に発生している熱中症対策とし、都内の医療機関の一部が企画したもの。
タダという言葉の魔力の強さを物語るように、魔導機械のサーバーに詰められたフリードリンクは飛ぶように捌けていった。
配布担当者として志願している人々は、大半がノーギャラのボランティア活動に従事している者達ばかり。
…労働対価にも様々な形が存在しているが、遣り甲斐や社会奉仕に基づく労働者が全て健全とは限らない。
「フリードリンクですわ…♪お日様の高くて熱い日々が続いております…♪喉の渇き、眩暈、体の重みを感じたお方はこちらをどうぞお飲みくださいませ…♪」
そこで猛暑の炎天下もモノともしないトゥニカのスタイルで佇んでいるシスターもその一人。
じんわりと汗をかいたフリをしながら担当しているサーバーから良く冷えているジュースを杯に注ぎ、
それらを目の前に道行く通行人たちに勧めて回っている。
普段は見向きもしない人物であってもタダならば、という事で杯を受け取る人間の何と多い事だろう。
ぐ、と、一杯を呷っては杯を置いて立ち去って行く。軽い世間話に興じる場合も無くもない。
日常風景の一部のように見えるかも知れないが…奇妙なのは一度去った筈の人間がまたドリンクを受け取りに来るパターンが存在しているという事。
これは無料ならば何度でも毟り取ろうという魂胆な訳ではない。
ドリンクの中には搾った果汁だけが混ざっているのではないということ…。
そう、例えばシスターのフリをしている怪物の身体の一部などが。
喫食してきた麻薬成分がそのまま杯の中に溶け込み、それに中毒症状を憶えた人々の一部がこうしてまた受け取りに来ているという事になる。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区2」からクレイドルさんが去りました。