2025/05/27 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」に孫伯さんが現れました。
■孫伯 > 富裕地区、その中でも貴族の邸宅が並ぶ一角に不釣り合いな看板。
見てくれは貴族の邸宅そのものであるが門扉には店の名前が刻まれた看板。
大きな扉を開けた先には玄関を改築した空間にテーブルやマネキンが幾つも並び、
遺跡からの発掘品思しきものが飾られる。
「……結局、人間というものは業の深い生き物なんですねぇ。」
今回持ち込まれた買取品は古代遺跡の奥で見つかった当時生活していたであろう存在の品物。
大半はカビて、腐食し、原型すら留めていない中、不自然に形状を当時のまま保つのは魔道具の類。
金色のリングや、それと揃いの鎖。髪飾りやチョーカー。ブレスレットにアンクレット。
一見、装飾品に見えるそれらを触れ、鑑定した結果── 少しでも押せば倒れる程度の金貨を積む事にした。
それが今、館の従者の手によって清掃とメンテナンスを終えて男の居るカウンターへ。
「──その様子だと、堪能しましたか……?」
頬だけでなく、身体が火照り雌の顔をした従者。喉を鳴らし何かを期待していたようだったが、下がる様申し付ける。
静かになった店内で、その魔道具、リングに指先を宛がうと、その指に嵌るようサイズが変わり収まった。
それだけでも用途が窺い知れるもの。故に、業の深さに呆れた声。
■孫伯 > リングに通した指を変え行けば、その都度サイズが変わっていく。
恐らくはその装飾具が全て、当時の誰かのために誂えられたものなのだろう。
読める物ではないが、其のすべてに同じ模様が刻まれており──
「いつの時代にも、堕したい人間が居るのか、或いは……そういった身分を愛してしまったか。」
装着者を痛めつける、といった意図や悪意は感じられず。代わりに金色の鎖はリングやチョーカー、他アクセサリに接続出来るようになっていた。
となれば、夜の営み、そのエッセンスとして。或いは、他者へ見せつけるそれとして。
「しかし、ここまで揃うならもっと深くに面白そうなものがあってもおかしくなさそうですが──」
買取を依頼してきた冒険者パーティへ、依頼してみるのも面白いかもしれないと、
思案しながら背後よりアクセサリホルダーを持ち出すと丁寧に並べ始める。
さて、どうしたら映えるか── マネキンへ付けてみるのも面白いか、等。
■孫伯 > 「まぁ……とりあえずは、試してみましょうかね。」
箱に収めた一式を、もって店を閉めた後、奥の屋敷へと戻る。
ここ数日平穏だったはずの従者達が呼ばれ、幾名がその夜悲鳴を上げる事になるのだが、それはまた別の話。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」から孫伯さんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にルーベルさんが現れました。
■ルーベル > 富裕地区で行われている、とある貴族主催の夜会。
この貴族は近年の戦争でいくらか功績を上げた新興の成り上がりで、家の興りを祝うもの。貴族同士の社交の場としてのパーティーというだけでなく、その貴族の今後の付き合いなども見込んだものとなっているようで。
高位の貴族は一部だけ、どちらかといえば戦争経験者であったり同じような新興貴族であったり、貴族だけでなく平民たちもドレスコードはあれど広く招かれている模様。
参加者の中には顔ぶれを見てあまり良い顔をしないものが、貴族側にも平民側にもいるが、それぞれお互い様というところだろう。この家の者は、そういった垣根へのこだわり薄い者と付き合いをしようとしているのだろうか…などと。
同じように戦争功労者としての立場で参加を乞われた初老の男はローブの裾を揺らしながらにぼんやり考えていた。
学院で見た顔、聞こえてくる話題から冒険者らしい者なども居て、開催主はせわしなく駆け回っている。
ルーベルの所にはすでに挨拶に来ており、顔合わせも済んでいるから、ほどほどで退席も考えたものの、
普段の夜会とも違う雰囲気は意外と興味深く、ついつい長居してしまっていた。
とはいえ、随分宴も進み、人もそれぞれ帰宅したり、別室でもっと色々な話をと散っていたりもし始めている。
開催主から男も部屋を用意されてはいて、平民相手、あるいはどうとでもなる相手ならこの場の事は……などと含みある言葉も貴族連中からは聞こえてくる。
平民側からすればたまったものではないだろうが、そこを逆手に縁にしようとする者もいるようで市井の者の逞しさを思わせる。
魔導師貴族自身は、程よく酒精を摂ってはうっすら赤くなる顔を人の減った会場に巡らせて、昏い色の金を細めて面白い手合いでもいないかと探していた。