2025/05/19 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 骨董屋」に孫伯さんが現れました。
孫伯 > 富裕区の貴族邸宅が並ぶ一角に不釣り合いな木製の看板が揺れる。

骨董品屋【grave】

近所では、「運よく貴族になった男が酔狂でやっている。」と侮蔑の対象であると共に、
「あそこでは良い物が売っている。」とも囁かれる。
時折出入りがあるが男女問わず頭からローブを被り、出自を隠したがるのは、売るにせよ買うにせよ。如何わしい店だから。

「いえいえ、恥ずかしい事ではありませんよ。 いつでも、ご利用ください。今夜も、お楽しみにと。」

そう笑顔で立ち上がりローブを被り、家路へと急ぐどこぞの女中へ笑顔で見送る。
カウンターに座り引き取った宝石を、改めて値踏みするよう照明に掲げて反射させる。満足したところで手元の引き出しへ一旦収め売れた伝票を眺める。

「有閑の貴婦人様は、若い燕との行為にご執心。……といった所でしょうかね。」

男を喜ばせる筒型の淫具は、体力の衰えたマダムには喜ばれる。
手軽に男に出させてから相手出来るのだから。
そんな淫具の情報を人をやり得た、今度もその場所へ盗掘させねばならないかと思案しながら、その品目を捲る音が響く。

孫伯 > 幾度か扉が開いては立ち見をする客が増え始めた。
日が暮れて人目を気にする事がなくなったのか、
或いは勤めが終わり屋敷から帰る道すがらだろうか。

「最近は、こういうのも売れ筋でしてね?」

そう、立ち見の、婦人と呼ぶにはうら若い少女へ上の棚から取って手渡すのは、
薄桜色でトロミのある液体。コルク詮を抜くと甘い蜜のような香りが鼻先に広がり、
少女の身体を温め鼓動を早める事だろう。それが何であるかなど無粋は無し。
うっとりと頬を赤らめ始めた所で栓をして、そんな彼女に握らせると。

「初めていらした貴女へ、サービスですよ。 ただし──。使用感は教えて下さい。」

そう、ウィンクをしてまたカウンターに戻る。其の頃には、バタンと大きな音を立てて駆け出す少女と閉まる扉の音だけが……。

孫伯 > 数人の出入りの後、一度客の引けた時間。
重たい扉を開くと月明かりも綺麗で比較的明るい夜。
周囲の屋敷も煌々と生活の営みを感じる。

「さて……今日はもう締めましょうか。」

人々が落ち着いてしまっては流石に客足を望むべくもなく。看板を下げて明かりが消えるまで、
大して時間もかからなかった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区 骨董屋」から孫伯さんが去りました。