2025/05/03 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にジェス・アーキンさんが現れました。
ジェス・アーキン > 「まったく……割に合わん」

富裕地区のある貴族の屋敷の廊下を小さく愚痴を零しながら歩く。
実家と多少は縁があると言う事を伝手に冒険者として雇われ足を運んだまではよかったが、雇い主の貴族の態度に気に障る。
ただ依頼、そして親の顔を立てる意味でどうにか愛想笑いを見せて依頼にかかることにし。
しかし気が乗らない依頼はどうしても手を抜きがちとなり。

「暗殺されるかも?あれだけのことをしていればそうもなる」

その依頼が護衛ではあるが、雇い主の普段生活が暗殺者を団体で雇われても仕方がないようなもの。
正直、勝手に死ねと言いたいがそれも言えない不満を隠すのも一苦労。

早く暗殺者が来るなり、契約時間が過ぎろと願いながら無駄に装飾品などで飾られた廊下を歩いて。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にさんが現れました。
> ――音もなく、気配もなく、闇夜に紛れて地を駆ける。
これぞ、アサシンの極意である。

とある貴族の住まう屋敷は情報通り豪奢で華美だった。
その資金は何処から来るのか、知らない方が身のためだと使用人たちは口をそろえて言うだろう。
屋敷の内情に加え、内部構造まで情報を得られたのは、そんな彼らの中に多少口が軽く、かつ主人への恨みと一人前に傷つく良心を持ち合わせていた者がいたという事実。

高い塀を軽々と飛び越え、庭木の影に身を潜め進み忍び込む小柄が一人。
顔も体も黒一色に包んで隠せば、男か女か、子供か大人かもわかるまい。
小柄は巡回する見張り共をやり過ごして開けた中庭までくれば、手筈通り鍵が開いているだろう廊下の窓に手をかける。

カタン。キィィ――……。
と、小さく軋む音を立てて開いた窓から廊下へと入る。
雇われた青年と顔を合わせるのは、丁度そんな場面であった。

「…………」

小柄は無言のまま、上半身を乗り入れた窓から急ぎ引っ込もうとする。

ジェス・アーキン > しかしながら屋敷の規模はそれなりに大きいのに雇われている筈の警護兵の姿はない。
使用人も見るには見るが、どうにもやる気があるかといえばないように見える。
貴族間でも余り評判がいいとは言えない屋敷の主、どうやら雇用している警備や使用人からの人望もない様子。

自分以外に屋敷を見回っている者はいるのか、そんな考えが頭をよぎった頃、近くの窓から音が聞こえ。

「……まさかな」

そんな小さな呟きと合わせるように小柄な人影が窓から廊下へと入り込んでくる。
そんな姿をまさに見てしまうと、確かにくればいいと考えはしたが本当に起きるとリアクションに困り。
そうする間に小柄な人影は窓から戻ろうとするのを見。

「まて、侵入者は逃がさん」

そう静かな声を向ければ引っ込み切る前に捕まえようと低級ながら捕縛の魔術を施行し捕まえようとする。

> この時間この廊下には誰も来ない。そう聞いていたはずが……。
何の因果か、日頃の行いか、久しぶりにとんでもないミスをやらかしてしまった。
今日のところは大人しく引っ込んで――もしくは、屋敷ごと派手に爆破してしまうか。
見つかってしまった以上、荒事になるのは必須。であれば、とことん派手にしてしまうのも悪くない。
密かに自暴自棄になっていると、当然のように青年は仕事に励み魔術をこちらへ向けた。

「……っ!」

魔力の流れを感じ取り、覆い隠した猫の耳がストールの下でピクリと動く。
身体は半分以上窓を越えてしまっている。
ここは後ろに下がるよりも中に飛び込んだ方が躱せると瞬時に判断し、捕縛の魔術が放たれると同時に窓をするりと抜けて、タンッと軽やかに窓枠を踏み切り宙を舞った。
そのまま青年の頭上をひょいと飛び越え、音を立てずに廊下に降り立とう。

ジェス・アーキン > 恨みを買っているという噂は数知れない屋敷の主。
そしてやる気のない警護兵のお陰で何時もならば見回りなどいない屋敷内。
そこに自分がいたのは全くの偶然としか言えないのだが、侵入者を見つけた以上は逃がすという選択はない。
正直、屋敷の主の無事は気にしないが冒険者としての義務からの行動であり。

「早いな…」

引くと見えた侵入者に捕縛の魔術を展開し解き放つ。
並の相手ならば外に出ようとしたのに合わせ魔術が展開、捕縛をして終わる程度のこと。
しかしこの侵入者は下がるではなく、あえて入ることで魔術を避けてみせる。
その上に自分の頭上を飛び越える身軽さもあり、廊下に降り立つタイミングで振り返り。

「……目的はこの屋敷の主人だな?」

その姿、現れた場所から暗殺者だろうと判断しては剣を抜き。
その動向に気を配り、少しでも怪しげな動きをとれば即切りかかれるようにする。

> 種族がら、獣の如き動きはお手のもの。特に、猫であるこの身は身軽さと柔軟さ、瞬発力には長けている。
いかなる体勢であろうと、宙を飛べば身を捻り足から着地する。
鍛え磨いた術も加われば音を殺すも容易である。
振り返るタイミングは同時。武器を抜く速さは、判断の速さの分だけ青年の方が僅かに速い。

「答える義務はない」

男とも女ともわからない奇妙な声――認識阻害の魔術で変えたもの――が、抑揚なく言い放つ。
小柄も遅れて腰に携えた双剣を抜き、低く腰を落として構えを取った。

この問答に意味はないだろう。
今ここに至っては言い訳は無意味。むしろ悪手である。潔く斬り合うのみ。
主人の命を遂行する。それ以外の選択肢は小柄には無かった。

狩りにおいて、猫が突出するはその素早さである。
構えを取るとほぼ同時に飛び込むように廊下を駆け、青年の懐へ下から潜り込まんとする。
双剣の刃が届くまで間合いが詰められれば躊躇いなく腹を十字に裂こうとするだろう。

ジェス・アーキン > 身軽な動きを見ては、相手が手練れというのをすぐに感じ取る。
宙を飛び着地をすれば音がするもの、それをなく着地をするだけでも技量の高さを感じさせるもの。
しかも廊下という長くはあるが広いとも言い切れない場所は身軽な相手が優位に働く場所でもあり。

「そうだろうな、しかし見当はつく」

魔術で変えているのか性別のわからない声での返答に眉が動き。
小柄で双剣使いならば先ほどの身のこなし、おそらくは動きも素早いだろうと警戒心を上げ。

できれば捕まえ情報を吐かせたいが、そのような余裕があるかはわからず。
無駄なことを考えずに倒すことに先ずは集中し。

相手が構えたと思えば一気に距離を詰めてくる素早さ。
下から懐に潜り込み、容赦なく振るわれる刃を魔術で強化した脚力で後ろに飛ぶことで避け。
着地と同時にこちらからと開けた間合いを詰め、横一線に毛を振りぬき、避けるなら追撃、防ぐなら速度と威力で吹き飛ばそうと狙って。