2025/01/13 のログ
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ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にアイシャさんが現れました。
アイシャ > 「主催者様におかれましては、ご機嫌麗しく。
私のような分不相応な者もお招きくださる寛大なお心に感謝いたします」

宴も酣、その最中に存在を潜めるかのようにまぎれて仄かに宴席に香る、うっすらとした菫の薫香。
この宴は新興貴族の集まり。
王族や上級貴族についてより深い見識のあるものでなければ、新たな参加者の齎すその花香について詮索できるものはあるまい。
ましてや、花香の主がその顔を仮面で隠しておれば、癖のある銀の髪のほとんどをふっくらとした絹の帽のなかに隠していればなおの事。

花香の主は、そもこんな新興の宴に顔を出すような存在ではない。
花香を差し引いたとしてもその存在は世に名高く極まる人見知り。

それでも、何故そんな花香の主が現れたのかといえば

「…ごきげんよう、伯爵様」

宵闇にも似た色、肢体を存分に反映する宵の紺色を纏ったその花香は、酒精に仄微睡むその男へと花香なりの挨拶をするために。

ルーベル > 鼻を擽る嗅ぎなれた香りに、細まっていた暗金の瞳がわずかに開く。
聞こえ来る、主催者と交わされる挨拶も。

そっとその声のほうへと視線を向ければ、おそらくは新興の貴族か、その連れ合いかを装って参加したのだろう。
確かにこのような場にはそうそういるはずもない『分不相応な者』が、そこにいて。

彼女はそれこそこんな人の集まる場所にと姿を現す気質でもないはず。
周囲からその容貌を隠すかのようにしているのはその一環か。

けれども、その厚い仮面にヴェールは逆効果だろう。周囲の視線は興味を隠し切れぬように、香りの主に向けられる。
意味ありげなその仮面に絹幕もだけれど、酷く情を煽るような肢体を、隠す気のないような濃紺の装い。
視線に乗る欲を隠す気のない参加者たちに、さもありなんと思っていれば―…香りはより強く。近くから鼻腔を擽って。

「ごきげんよう。…いつもどおりお呼びしてよろしいのですかな?」

彼女と己の間のいつもどおり、は、それこそ種類があるが。
当然この場では公の場としての振る舞いを指して。

改めて暗金細めて彼女の意を計ろうかというようにするも、仮面のせいで表情は読みづらい。
それでも望める銀色の瞳と視線を重ねては、言葉なく意図を尋ねるかのようにして。

アイシャ > 自分の肢体が、
性別はともかくとして何かしらの目を惹くつくりをしていることを、この濃紺の主は知っている。
知っていて、敢えてこの色目、このつくりを選んだのだとは言外にせぬまま、銀色のハイヒールでゆっくりと床を鳴らしながら花香の主は目的であるその一点へと足をゆっくり向ける。

顔を隠すその仮面は外さないまま。
けれど、知りうるものには纏う花香こそ身の証とばかりに示すだろう。
ましてや上流階級でも纏うもののの少ないその香り。
ニオイスミレだけが齎す豊潤な濃厚な甘い香りとは異なる、僅かに青みを含みつつもその清涼かつほの甘く品のある薫り。
この香りについて、誰一人として真似できる調香師などありはしない。
──イフレーア・カルネテル。その王家に連なる、高貴なる調合手の御業でないのなら、誰として真似することは出来まい。

「……よろしければ、どうぞ"ヴァイオラ"、と」

それは纏う菫香の名前。
仮面の下で揺らめく陽銀はどこか昏く、甘く、薫り高く。
今一歩、師でもある男へと歩み寄るならその香りはひときわ強く届くだろう。

その菫の清らかなる香りの陰に、濃密な、淫蕩な女の香りを忍ばせながら。

ルーベル > 知らないものはただただその嫌味のない香りにと鼻腔を委ねながら。
知るものは、この場でそれが漂うことへの驚きと、それを纏うものへの対応をどうするかと思考を巡らせる。

男はと言えば―…最近は、体に纏わりつくほどにと感じていたその匂い。
より強く香るほどになればなるほど、それを直に肌に擦り付けられるような時間を思い出しては、酒精の交じる吐息を細く吐いて。

「では、ヴァイオラと。
 …しかし、もう終宴近い時間に、このようなところにと来ては…不心得者に攫われてしまいますぞ」

彼女と関わるようになって、男は彼女のことを色々と、調べていて。
その才覚が発揮されるきっかけになった事件のことも知り及んでいるから―…すこし、意地悪く。
試すか、確かめるかのように、仄めかす。

ある意味では、王族という身の上を案じての忠言のようでもあり。また別の意味合いでは…
それこそ彼女が纏う、いつもよりも大人びたその肢体を隠す気のないような恰好を見ての、感想のような言葉。

そちらの意味合いでは男が一番不心得者なのだから、どういう意図でもっての感想かなど、推さずとも知れるだろう。
なにせ、対称となるような色合いの瞳を覗き込んだ後は、彼女も良く知る絡みつくようなその視線が、豊かな胸元を、くびれた腰元を、肉付き好い腰下までをと、ゆっくりと這い回るのだから。

アイシャ > 「…申し訳ございません」

花香の女は膝を折る。
余り背が高いとは言えないにも関わらず、女の肢体は好色の目を以て有り余るもの。
膝を折り、遅参に関しての謝罪を捧げれば、その豊かな谷間は程よく男の眼を楽しませよう。

「不心得者の事は承知しておりますが」

それでも花香の主は尚も膝を折る。
それは、純粋に謝罪の気持ち故。

そして、暗金の眼に今日の己の姿をおさめてもらうためのもの。
この、花香の主たる陽銀は、その実持て余す自分のほぼすべてをこの、目の前の初老の男に掌握されている。

故に、万が一にも自分たちの全てを知りうるものがいるならば、この情景はあまりに滑稽だろう。
支配されるもの、支配するもの。
その二人が、戯曲か、三文芝居めいたやりとりを以て会話をしているのだから。

絡みつく視線、這いまわる暗金。
紺の絹にまとったその下で、柔らかな肌はその視線を感じていた。
そして、その濃密な色を感じ取っては甘やかに呼気にいろを乗せる。

「このまま、ご挨拶を差し上げずには居れませんでしたので」

じんわりと濃紺の下で仄か色づく花の色。
仮面の奥、蕩けるような銀色で、その暗金色に訴えを申し上げる。

ルーベル > 王族が膝を折る。その光景に、一部の者がぎょっとしたような表情を見せる。
その仮面や装いが非公式、忍んでのものとはいえ。一介の伯爵相手にとそのような振る舞いを見せるのはあり得ないこと。
そして彼女の正体に考え及ばぬものは、なにがあったのかと好機の視線を向ける。

渦中の魔導士貴族はといえば、より見せつけるようにと寄せられる胸元の谷間を遠慮もなく眺めながら。
見上げ来る彼女の、じわりとその冷たさ感じさせるはずの色合いに乗る熱を受け。
漂う香りの中。隠しきれない牝の匂いを感じては。

そっと、彼女の手を取り、立ち上がらせては…当たり前のようにその腰元へ手を添える。
周囲の視線など気にしないままに。

「全く。次の講義の日まで待てなかったとはいえ、どこで聞きつけたのだか。
 責任もって、私が不心得者役として、攫ってしまわねば…どこの誰に連れていかれるものか分からんからのぅ」

何処かでこの夜会にと男が参加すると聞き及び、やってくるほどに。
逢瀬が待ち遠しかったのかと告げながら、彼女の腰を撫でる。

胸元は男の体にをの柔らかさを伝えて、揺れる動きでも愉しませて。
それに暗金を引き絞るようにしては…彼女を連れ立って歩き始め。

そっと主催者に視線だけで場を一時騒がせたことにと詫びれば、心得たものですでに場を治めようともしながらに一礼を返してくる。あとは、気に入りの菫華を、其の日宛がわれた部屋にと、言葉通りに攫ってゆき―…。

アイシャ > 周囲でさざめく人の声など思考には介さない。
何故なら、今、この場にいる菫の女の額には宝冠などない。
本人もまた理解したうえで、男に対して膝を折っている。

けれど、それが男の手により立ち上がらせようとするならば、花香の女は差し伸べられたその手を取り、立ち上がったならば白くやわらかな頬をその青筋浮き上がる甲へと愛し気に寄せ、引き抜かれるだろうその刹那に花色の唇を微かに寄せた。

「お許しください。ですが…
……今宵も、摘んでくださるのでしょう…?」

腰元へと添えられる掌は馴染みのあるもの。
その指先から伝わる淫らな魔力だけでも、濃紺の絹の下は控えめに、けれど確かにその銀色は融点を迎えたかのようにとろりと融ける。

「不肖の弟子で申し訳ございません。
…少しでも、たくさん、ご指導いただきたいと思ったら……つい」

自分の有様はしたないという自覚はあるのだろう。
それでも、じわじわと己を苛み続ける熱に、年若い王女の勝てるはずもなく。

腰を再度撫でだれれば柔らかく、下品にはならないように気を少なからず張りながら男の腕に甘えよう。
その腕に、質量と重量、柔らかなる肉を穏やかに押し付けながら。
よく見れば胸の質量だけではない、その存分に濃紺の下で潜める肢体も、その肉欲をあおる太腿ですら。

主催者におくるのは非礼を詫びるレベランス。
そして、その膝折とは別に皮袋に詰め込まれた黄金色の砂糖菓子。

今日のことは他言無用。
そして、これからのことも。
主催者が口を噤むなら、次の夜会にはさらに金貨を積み重ねよう。

初老の男に腕を絡めた菫花、今宵は何処でその甘い花香を舞い散らそうか──…。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からルーベルさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からアイシャさんが去りました。