2024/12/25 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にシノレアさんが現れました。
■シノレア > 陽も暮れてきた頃合の富裕地区。
貴族や王族の邸宅が立ち並ぶ大通を歩む小柄な女性の姿があった。
コルヴィッツ公爵家の夫人──という立場を演じている人魔ハーフの女は、
先程まで興じていた貴族夫人の集まりが解散して後、ひとり帰路を辿っている。
「思いのほか遅くなっちゃったわね…」
たとえ帰りが遅くなろうとも現当主は何も言わない。ともすれば朝帰りだろうが"妻"の行動に興味はないとばかり、
ひとりで支度を整えて王城へ仕事へ向かうのだ。
お陰で有閑マダムを演じるシノレアは、勝手気ままに過ごすことができている。
「まぁ、どうせ他に女を作っているんでしょうけど」
それは別に構いやしない。当主にとって自身の血を絶やさないことは大事だ。
夫婦ともに自由すぎる現状。それがこの公爵家の実態である。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にセオドラさんが現れました。
■セオドラ > 大通りを走りゆく箱型馬車。細やかな装飾が豪奢な邸宅の並ぶ通りにも負けぬ優雅さを見せつけて。
その中には夜会帰りの女が独り。男性が着るようなパンツスーツ姿なのは夫の興を引けず暇だけ持て余す己の境遇を皮肉ってのもの。
咥えた香草煙草からの紫煙くゆらせぼんやり通りを眺めての帰路の途中、道端で揺れる頭の後ろ高い位置で括られた赤髪を見つけては、注視する様に眼鏡越しの蒼い瞳を引き絞り。
「…速度を落として、寄せて」
御者に声をかけてから、道行く女性のほうに馬車を寄せさせる。
その姿を追い越し相手の姿を確認してから窓を開き、顔を覗かせて。
「やはり。コルヴィッツ夫人。夜道をお一人は不用心だよ」
見つけた相手が面識ある公爵家夫人であると確認すれば、声をかけて傍付きなりの供はいないのかとちらりと周囲に気を回す。
とはいえかの公爵家は己ともまた違う意味合いで夫人を顧みないはずでもあるからと、呆れとも、諦めとも言えないように片眉歪めて。
■シノレア > 平素であれば、傍らを走る馬車など気にかけることもない。
しかし今日、思わず足を止めたのは聞き覚えのある声で呼び止められたから。赤髪を揺らしながら振り返り、
馬車の窓から覗く知った顔を見て微笑む。
「こんばんは、リューデンベレ夫人。ええ、実は……今日、家を出る時にうっかり迎えをお願いし忘れていて」
だからといって一人夜道を帰路につくのは不用心に違いないのだが、まぁ富裕地区だし…と高を括っていた。
薄ら片眉を歪める表情を見、瞳を眇める。己が公爵家の夫婦事情は知られているのだろうし、
一方でリューデンベレ公爵家の事情も伝え聞いてはいる。
故に親近感めいた感情を胸に留め置いているのも確かで。
「──まぁ、ここでお声をかけられたのも縁。貴女がよろしければ乗せてくださらない?」
■セオドラ > 「気を付けたほうがいい。知っているだろうけれど、貴き血を濁らせたものも多いからね」
微笑みながらに事情を話してくる夫人へと、昨今の貴族の腐敗具合を見れば表向きの治安はともかく、ただ安全なだけではないと。公爵位の夫人とはいえ、彼女や己のように家に報いていない者は、それこそ身内にすら、いつどのような扱いを受けるかすら定かではない。――もしかすれば彼女が迎えを手配し忘れて、ということすら、そういう扱いの一種ではと邪推するも、ゆがめた眉を戻しながらに馬車の扉を開く。
「構いませんとも。ご自宅まででも、何処か別邸があるならそちらまででも」
すっと手を差し出す。格好と言い回しのせいで、それこそ貴婦人を誘う悪い手合いのようにも見えなくはないかもしれない。けれども胸元ははちきれそうなほどに実った柔肉で押し上げられているから、よくよく見れば女性同士の互助だと解るか、あるいはもっと余計な想像を掻き立てるか。
彼女が馬車に乗るなら隣り合わせに座り、ぱたんと扉が閉められて。ゆっくりと再度、通りを馬車が進み始める。
■セオドラ > (お部屋移動いたします)
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からセオドラさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からシノレアさんが去りました。