2024/08/16 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にラッツィオさんが現れました。
■ラッツィオ > 「あぁッ、たく――……首周りがキツくて仕方ねェ」
巨大な邸宅のバルコニーから外に出るなり、男は悪態をついて首に巻いていたタイを外し、荒々しくポケットに突っ込んだ。
余程のことがなければ寄り付かない場所である。
余程のこと……例えば、その場にいるだけで居心地の悪さで全身むず痒くなる衝動に耐えるだけの報酬だ。
今回の仕事は何のことはない、貴族をパーティーに送迎するだけ。
しかしこの貴族、度重なる悪事のせいで命を狙われて臆病になっているらしく、使用人のフリをした護衛を探していた。
その仕事を幸運にも紹介され、今の状況である。
「明日の昼には解散になるからそれまでに勝手にしてろ、ねえ……。
かといって敷地から出ていって、面倒なことになったらコトだしな」
パーティーの輪に加われるはずもなく、"個人的な" 暇潰しに付き合ってくれる御婦人を探すしかないだろう。
そう決めた男は屋敷の中には戻らず、バルコニーに沿って屋敷の周囲を歩き始めた。