2024/08/04 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にメレクさんが現れました。
■メレク > 享楽と退廃を愛する王都マグ・メールにて今宵も催される舞踏会。
贅の限りを尽くした調度の数々が彩る部屋で、お抱えの楽団が艶やかな音楽を演奏する。
振る舞われる食事や酒も庶民では生涯で口にする事も叶わぬ至高の絶品で、
招かれた客人達も、華やかなドレスで着飾った王侯貴族や大富豪といった上流階級の名を馳せた人々。
持て成す側は侍女を始め、奴隷の男女や高級娼婦、果ては事情も知らされぬ女達だが、見目麗しい容姿端麗な者ばかり。
更には多様なニーズに応えるべく、出生地、人種も問わず、王国人以外にも北方帝国人、ミレー族や魔族まで混ざり込む。
だが、煌びやかな夜会で行なわれているのは、王都に相応しい一夜の享楽に耽る欲望まみれの宴であった。
招かれた人々は酒や料理に舌鼓を打ち、会話に花を咲かせ、音楽に合わせて踊り。
同じ招待客同士、或いは、用意された奴隷や女を見繕い、会場の片隅や別室で情交に耽る。
其処に男女の垣根はなく、人数の制限もなく、如何なる制約も存在しない、正に背徳の交わり。
ただただ、欲望を晴らす事のみが、この宴の席に於いて唯一無二の共通認識である。
その会場全体を見渡せる席にて一人の男がソファに腰掛けて高級ワインを嗜んでいる。
でっぷりと肥えた身体に、醜悪を絵に描いたような容貌の主、それがこの夜会の主催者である。
傍らに最上級の奴隷達を侍らせて、時折、近寄ってくる貴族達との他愛もない会話に興じながら、
彼は人々が快楽に堕落する姿を眺めて、心底愉しそうに只々ほくそ笑むばかりであった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にピュリュさんが現れました。
■ピュリュ > 煌びやかな舞踏会の片隅。
客人の一人として招かれた貴人の傍仕えとして、壁際に控える裾の長いメイド服を身に着けた、小柄なミレーの少女が一人。
王城や貴族の邸宅などに付き添うこともあり、居心地は決して良くはないもののそっと目立たぬように小さくなっていた。
時折、飲み物を欲して目線を彷徨わせる客人の所作に気づいて、そっとボーイの袖を引いたり、
ホールにて踊り疲れて休憩を欲する令嬢へと椅子を案内したりと、ちょっとした給仕の補助のような真似事をするのは性分か。
気づけば面倒を見ていた名も知れぬ令嬢が、退廃の流れに身を任せ呑み込まれて姿を消してしまった。
よくあることとわかってはいるものの、少し取り残されたような行き場のない心細さを覚え、再び目立たぬように壁際へと。
己の主の背中を何気なく視線で追えば、ひときわ華やかな花々に囲まれたソファの男に挨拶をしていた。
……ということが、あのまろやかな体形の方が今宵の主催なのだろうと、納得し、自然と失礼にならぬように視線を向けた。
主が帰るならば付き添うために。
必要なことがあれば、役目を果たすために。
それが重用はされているとはいえ、使用人──否、奴隷としての役割でもある。
■メレク > 夜会の主催者である小太りの貴族の前に立つのは老年の侯爵。
立ち上がり、彼の訪問を満面の笑みを浮かべながら迎え入れると、
ソファの傍らを示して、相手に腰掛けるように促して傍らの侍女に葡萄酒を運ばせる。
他の貴族達とは明確に異なる特別扱いをするのは、70を超えた老人が目上に当たる人物だからであり。
「レーゼルドーン侯爵にお越し頂けるとは誠に僥倖。
ここ数日は、王都の気温も暑くて堪らぬ中、わざわざ足を運んでいた事に感謝しますぞ」
周囲の彼と縁を結びたいと下心を持つ若手の青年貴族達は不機嫌そうな視線を向けるも主が気に掛ける事はない。
今は登城する事も度々である、洒脱な老紳士という雰囲気の彼ではあるが、
かつては切れ者として王国の社交界にて名を馳せた人物で、その事を知る故に待遇も異なるのは致し方なく。
「そう言えば、お聞きしましたぞ。ミレー族の奴隷を学院に通わせているとか。
流石、他とは目の付け所が異なりますなぁ。……如何なるお考えで?」
彼から視線を外して会場内へと向ければ、当家の装いと異なるメイド服を着込んだ娘を見付け出し。
頬肉を歪ませて、にぃと口端を持ち上げると、再び、彼に視線を戻して真意を問い掛ける。
■ピュリュ > 老境に差し掛かりつつある貴族は己の美髯を軽く指で撫でつけ、柔らかに表情に笑みを刷いた。
勧められるままにソファへと腰を下ろすのは、目の前の貴族を重んじてのことだろう。
渡された葡萄酒のグラスをゆるく揺らして薫る香華を愉しむと
「此度はお招きにあずかり光栄の至り。
確かに。 一線を退いた老骨には、この暑さは堪えるものがありますよ」
10年若ければ、今宵の宴も愉しむ側に回ったであろうと密やかに笑みながら、葡萄酒を一口、含んだ。
招かれ人として、供されたものに口を付けないことは無礼にも当たる。
周辺より注ぐ視線には、目の柔和な表情のみにて「後ほど」と応え、粗雑に扱う様子はないのは主催への配慮か。
二度、三度、問いかけに瞬きをし
「──……ああ。
なかなかに、才気のあるものでね。
容色もよいでしょう。
興味を持つものもすくなくないのでね。役に立つのです」
さらり。そう口にしながら、意味ありげな表情をにじませた瞳を笑ませる老貴族。
一瞬だけ己の目をかける奴隷少女へと視線を流し、わずかに声を低めた。
「────………貴方も、味見にご興味が?」
主催と、主人。二人が何を会話をしているのかはわからない。聞き耳を立てるべきではない。
ゆえに。ミレーの少女は、きょとんとして壁際に佇むのみ。
■メレク > 「くはっ。いやいや、まだまだ老骨を仰るにはお若くいらっしゃるでしょう」
齢70を越えても、未だに衰えぬ柔和な笑みの内側に潜められる眼光。
無言で若手の青年貴族達をあしらう様子に、肩を軽く揺らすと愉快そうに咽喉奥で嗤いを転がし。
彼が連れてきた奴隷に対する弁に軽く顎を撫でると、ふむ、と頷き。
「――――成る程。
稀少価値を付与する目論見ですか。
確かに見目も悪くないですが、……学院生というブランドで付加価値が付きましたな」
彼の言葉に双眸を細めると再び、奴隷少女に視線を向ける。
その顔から身体付きを舐めるように視線を這わせるも、好色めいた意図のみならず、
奴隷商として、彼女の事を商品と見た場合に如何なる価格になるか、と値踏みを行ない。
「……私も学院に出資をしておりますが、有能な女生徒に手を付ける事はあっても、
奴隷に価値を付ける為に通わせるという発想には至りませんでしたなァ。
味見、ですか、ふむ……」
奴隷商として侯爵の発想に感心したように頷き、流石と褒め称えながら葡萄酒で口唇を湿らせ。
■ピュリュ > 「気持ちばかりが若いだけで、いやはや若い人々の熱には敵いませんな」
会場の片隅、高級な緞帳が意味ありげに揺れる享楽の気配に唇を緩ませ肩をすくめた。
葡萄酒を唇湿らせる程度に含みながら、少し考え、ちょい、と指の動きにて背後へと合図を送る。
「幼いころから手許にいたのでそれなりに情もありましてな。
食べるものも、手入れも、気を使った上物を
外に連れ歩くためには、教養は必須
──まあ。 あまり見ないミレーになりましたよ」
合図に気づけば、そっと近づいてくる白い髪のミレーの乙女。
とはいえ、一瞬自身へと向けられた主催の男の視線に、息を呑んだだろうか。
値踏みの視線は少しだけ粘着きを含んでいるような気もして、とはいえそんなことは態度には出すまいと
ソファを回り込み、主の斜め後ろにて、大人しく。
「様々な経験を積ませたいと思いましてな。
どのように育ち花開くか。
まあ、老境の庭いじりのような心地もありましょうか
稀に、求める客人に委ねるのですよ──」
老貴族は冗談めかし、からりと笑う。
この奴隷の育成そのものが老後の趣味の一環でもあるとでも言いたげに。
■メレク > 老貴族の合図で近付いてくるミレー族の少女に改めて視線を向ける。
確かに彼が手塩に掛けて育ててきたと自負するだけあって毛並みの良さを感じさせる上等さ。
その立ち振る舞いに加えて、学院で教養を身に付けているならば、
王侯貴族や富裕層向けに身体を売る高級娼婦並みの価値があるのかも知れない。
「ふむ、素晴らしいですなァ。ミレー族である事を感じさせない仕上がりのようだ。
流石は、レーゼルドーン侯爵。一体、いつ頃から種を撒き始めたのやら……。」
手入れを怠らずに幼き頃から仕込んだ奴隷少女に教養を身に付けて仕立てあげる。
侯爵家のメイドという事もあれば、その価値は計り知れず、欲する客人も多いだろう。
満面の笑みで彼の庭弄りの趣味に賞賛をすれども、口端を綻ばせて嗤い。
「是非とも、味見と行きたいところですが、今宵は止しておきましょう。
彼女との時間を過ごすよりも、侯爵のお話を是非とももっとお伺いしたいものですな」
だが、その味見に手を付ける事なく首を左右に振れば葡萄酒を口に含み、
傍らの侍女に合図を送れば、更に上等な一本を運ばせて、相手のグラスにも注ぎ入れ。
夜会の中、根掘り葉掘りと彼の趣味に纏わる話に花を咲かせて――――。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からメレクさんが去りました。
■ピュリュ > 老貴族は少女を傍らに、宴の夜をささやかに過ごした──
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からピュリュさんが去りました。