2024/07/11 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にシロナさんが現れました。
■シロナ > マグメールの富裕地区は、文字通りに富める者の場所。
基本的に言うなれば、貴族など、資金が沢山ある人物が居を構えるし、王城もまた近い。
そんな一等地を歩くのは一人の少女だ。
白い髪の毛をして、褐色の肌、深紅の瞳を持つ年若い女の子、まだ成人すらしていない子供だ。
そして、身に纏うのは、高価とは言い難い。この場所を考えるならば、そぐわない物。
冒険者用に防御力を高めたレザージャケットに、レザーパンツ、大量の荷物が入るバックパック。
その手には、鋼鉄製のハルバート……これに関しては、よく手入れされていて、鋼の色がしっかりと残る。
腰には投げる用の手斧がホルダーに入っている。
一言でいえば冒険者と言う佇まいの少女だ。
この国で冒険者はそれなりにいるし、貴族お抱えの冒険者もまた、居るので冒険者が居る事自体は問題は無かろう。
ただ、その恰好が、貴族のある富裕地区に居るべきかどうかであれば、否。
貴族が見れば眉根を潜め、警邏の兵士に声を掛けるレベルなのだろう。
ただ、それをされないのには理由がある。
「っとはー。
終わったぁ。」
従来の貴族や、高等遊民達をしり目に大きく伸びをする少女。
彼女自身、この辺りに住まう存在であり、一応お嬢様と言う身分の子だ。
そして、今日はコクマー・ラジエル学園での授業で、冒険者の体験授業。
つまりはそう言う事であり、学校の行事として見られているから、周りも何も言わない。
よく見てみれば、もっと華美ではあるが、冒険者の格好をしている貴族の子女もいる。
シロナ以外はボロボロであり、散々な目にあったことが伺える。
シロナは、元々戦士ギルドで訓練を重ねていた猛者でもあるから、今回の授業を鼻歌交じり。
つまるところ、元々ボロボロの服だったか、綺麗だったものが、ぼろぼろになったか、の違いだったりする。
クラスメートを眺めまわして、生きてるかー?と声を掛ける程度には、余裕があるシロナ。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にスルーズさんが現れました。
■スルーズ > エリアを限定して行われた授業には、冒険者の手を借りることも間々あろう。
そして、そういう授業の中で、冒険者のレベルを色々な所から持ってくるのも意味がある。
初級冒険者がどのように立ち振る舞うのか、上級の冒険者になるとどうか。
そんな部分を見取り練習するのも勉強になるからだ。
そして、そういう生徒たちを散々にした巨体の女戦士が笑いながら生徒の一団へと近づいてくる。
「だから最初から、そんな綺麗な格好してていいのか?って聞いたんだけどねぇ。
ま、いい『勉強』になっただろ?」
この女戦士に与えられた条件は、何らかの形で有効と思える攻撃をしてきた相手がいたら、証となるコインを渡すこと。
方法は、自由。
遠距離、近距離、格闘、奇襲、魔法、篭絡、ナンパ、言いくるめ、じゃんけん、くじ引き、土下座まで。
本当に多彩な攻撃に対処した。中には笑ってしまうようなものもあったけれど、本当に有効でなければ与えないというルール。
無論、相当に手加減はしているのだが、それでも結果として、コインはだいぶ残っていた。
そうしていれば、ふと視界に入る竜少女。
口元楽しげな笑みを深めて近づけば。
「よぅ……なかなか元気そうじゃないか?」
今の状況もあるし、時間内でのやり取りもある。
見込みがあると思える相手であるが故、少し言葉を交わしてみようとでも思った様子で。
■シロナ > こういう授業には、学園の先生では対応できない場合もある。
そういう時には、外部から教員となる人物を呼ぶ場合もあるらしい。
冒険者が、学校の依頼で教鞭を採るというのは、儘ある話でもある。
かく言う、トゥルネソルの娘の家庭教師、笠木 影時師が、此処の講師をしていると聞いてるし。
今回の教師は、この大きな女性であった。
何と言うか―――体育教師、と言うセリフがぴったり合うような女性だというのが第一印象。
そして、楽し気にへばっている学生たちに軽く話をしてる。
自分が言っていたことと全く同じことをだ。
「あっは。
だって、アタシは、戦士ギルドの現役生だもん。
この位でへばってたら、先輩に足腰立たなくされちゃうよ。」
今回の講師、スルーズ先生と言ったか。
そんな彼女に、褐色の少女は桜色の唇をニッカ、と楽し気に釣り上げて見せる。
その証拠に、少女が持つハルバートは、魔法の力はない物の、総鉄製。
重量を考えれば、彼女が普通に持てる物では無い。
体力に関しては、問題ないことは示しているし―――。
恐らく、子の面子の中でも数少ない、コイン獲得者のうち一人。
自分が人竜と言わないのは、シロナは1/4だからか、身体的特徴に竜の因子がない事。
それを伝えないことにより、普通の子女と勘違いして舐めてくる大人や冒険者が多く、其処のスキを突きやすい事。
後、これが大きいのだが。
人間以外の種族に嫌悪感を持つ貴族は多いから、公表すると面倒臭い事になる事が見て取れるから。
そんなわけで、学校では、戦士ギルド期待の星の少女と言う所で、動いている。
それに、腰に巻いているベルトは、人間並みにまで力を落とす魔法の道具。
普通にばらさなければバレる事はない―――と言うのは今更な話だ。
理由は、妹達。
彼女等は、隠してないから、知ってる人は知ってる。
■スルーズ > 「確かにシロナは体力的には全然いけてたな。っても、別に体力だけでコインをやったわけじゃねぇぞ?
ま、ホブゴブリンだったら余裕、オーガならいい勝負くらいのレベルでコイン、と言われちゃねぇ。」
シロナが向かってきたのは白兵戦。単純に捌くところから、段々と反撃が難しくなっていったのも覚えているかもしれない。
そして、ある程度の所で、『合格だ』と言われてコインを投げ渡された。
ただ、スルーズは汗一つかいていなかったのだが。
「まぁ流石に、じゃんけんや土下座をしてくる奴がいるのには笑ったねぇ。お前さんのクラスはコメディアンも揃ってんなぁ。」
そんなことを言いながら、じゃんけんも全勝してのけるのだからやってられまい。
眼の良い一部の生徒なら気付いていたかもしれない。
明らかに、動体視力で何を出すかを見切った、ギリギリの後出し勝利。
とはいえ、じゃんけんを仕掛ける連中にそれを見切れる目はないし、誰からも指摘されないイカサマはイカサマではないのだ。
「まぁ、シロナとはもうちょっと遊んでみたかったんだが。」
言いつつの表情はどこか挑戦的な、どこか楽し気なものを見る目。
戦士ギルドの先輩が時折シロナに向ける目と同じ。
見込みがある子を『かわいがる』時の目だ。
下手すると足腰絶たないコース。
■シロナ > 「でも、途中で留めたのはなぜなのかな?」
そう、途中だ、ある程度と言う所で、コインを投げられた。
あの程度で、と言うなら、もっと危険な状態でもと思うのは、シロナのドラゴンの部分なのだろう。
普通に、貴族子女を預かるならば、十分に危険な状態だったのかもしれない、と。
「そりゃ、学校だもん。色々な人がいるよ。」
因みに、シロナのいるクラスが、誰一人セックスバトルを仕掛けてこないのにも理由がある。
シロナは、何時も淫魔の力で学生たちの性欲を押さえている―――常時賢者モードなのだ。
だから、誰もセックスバトルを望んでこなかったという。
其れもあり、シロナのクラスは、今の所女性の先生の人気が高い。
性的に安全だという意味でだが。
「んふ❤
バーリートゥードー?」
楽しそうな彼女の視線。
シロナの真紅の瞳は、楽しそうに爛々と輝く。
シロナはドラゴンである、だからこそ。
バトルも又、楽しくて好きなのだ。
ガチ淫魔な姉と違って戦士ギルドに入ったのは、ドラゴンの因子が強く、戦いを望んだから。
彼女のような強者の雰囲気に、背筋がゾクゾク震える。
楽しい楽しい、バトルの時間だ、と。
■スルーズ > 「そりゃ、『授業の判定をするならあそこまでできれば十分』だからさ。シロナとずっと遊んでるわけにもいかない。」
なにせ、今回の冒険者教師5人から最低4個のコインを取ってこい、というオーダーなのだ。
1人が1人と遊び過ぎては他の生徒の迷惑になる。
仕事は仕事。きっちりするのだ。
「ま、ジャンケンやるならもう少し体鍛えて来るか、相手を選べとは思ったけどね。」
ちなみに、ナンパ、篭絡を仕掛けてきた生徒には、『アタシを燃え上がらせられたら考えてやるよ』とぶん殴ったのはまた別の話。
そうしていれば、同じように楽しそうに見返してくるシロナ。
クックッと喉奥で笑いをこぼせば
「ああ、お望みならそれでもいいさ。ただし……」
そう言葉にしてからシロナのベルトを指さして
「それを取り換えることが条件だ。どうせなんでもありで『遊ぶ』なら本気出さないと面白くないだろ?」
■シロナ > 「あー……。」
納得できた、出来てしまった。
そう言えば、彼女と他に、まだまだ先生は居たのだ。
一番印象に残る先生が彼女だったという訳で。
「そんなの、学生が判るわけないと思うんだけど?」
そう、じゃんけんは運だと考えている学生は殆どだ。
シロナとか、竜の目から見れば遅すぎるので、相手の手の動きを見てから出して余裕。
そんなレベルの相手とやった事自体、彼等は無いのだろうなぁ、と考える。
「その必要はないよ?
これ、王国第二師団のとある方に作って貰っててね。
相手の実力に合わせて能力を下げる、だから。」
つまるところ、学生相手には相手と同じ程度まで能力を下げる枷でしかない。
そして、上位の相手が相手には、只のベルトでしかない。
リミッターでしかないのだ、と。
今まで、ホブゴブリンも、オーガも、舐めプだったと言って良い。
彼女相手であれば、ベルトも起動はしない。
軽々しくハルバートを振り回して、ちゃきり、と握る。
「強い人と戦うのは、誉だからね!」
負けてどうこう言うのは、人間位なものだ。
―――と言う事で。
「てゆーことで。
皆、一寸脇に移動ねー。」
巻き込まれるよーと、様子見している同級生たちを脇に移動。
■スルーズ > 「そして、アタシ一人でこの生徒全員相手にするなら、地獄に鬼ごっこになるだろうし、それは富裕地区じゃ出来ない。
まぁ、シロナみたいのがいるから、そっちじゃなかったんだろうね。」
地獄の鬼ごっこも、一人だけでロックされたら全員合格という面白みのない授業になる。
先生もよく生徒を見ていたということなのだろう。
「判んないから学生なんだよ。『ジャンケンなら勝てる可能性がある』と思っている時点で学生なんだ。
こういう授業で、ジャンケンでいい、って応じてくるなら裏がある。そこまで思えないなら、まだまだ学生なのさ。」
白黒つける授業でそれでよい、と言うならば、そこに何か裏がある。
そこに気付けるようになるのもまた授業だ、と言ってのけた。
何人かの生徒がうなだれる。そこに気付けずジャンケンで負けた生徒たち。
そして、ベルトに言及した時に帰ってきた返事に目を丸くして。
「へぇ……そりゃぁ便利なシロモノだねぇ。ならば問題ないって訳だ。」
言われてみればその通りなのだろう。
スルーズ自身が相手をした時にまだ先がある、と思ったのだから。
「その言やよし!」
シロナの言葉に笑って応じれば、ロングソードを下ろしてグレートアックスを手にする。
リーチの長さならばシロナの方が上。
攻撃力ならば、魔法含めた業物である分、スルーズの方が上、か。
移動を始める生徒たち。更に道を一時封鎖する手伝いも生徒たちに依頼してから
「ちなみに、全力とは言ったが、空中はなしだ。両足を地面につけた状態を条件にする。
……街並みに傷をつけたら怒られるからな。」
最後付け加えたひと言は冗句めかして、そしてアックスを構えてから、おいで、と指先でシロナを手招きするか。
■シロナ > 「そだね、幾ら先生とは言え。逃げ切る自信はあったよ。」
逃げ切るだけなら、やり様は幾らでもある。
それこそ、全員で、違う場所に逃げれば、何人かは助かるだろう。
隠れる方法もいくつかあるから、それをすれば。
それはそれで、授業にはならないだろうとシロナも思う。
「アタシもその学生、なんだけどね。
うしし、ご教授感謝。」
彼女の言葉に対して、そういう事なんだね、と知識を一つ蓄える。
先生の解説だからこそ、それはそう言うモノなのだろう。
項垂れる彼らに対してのフォローとも言える、これも学び。
学べるかどうかは、また別だけども。
「空中は……ね。
了解、まあ、範囲としてはこの周囲、と言う所だね。」
今現状、授業で使っている範囲―ではない。
授業は、平原の方で行われて居て、今は帰ってきた所。
ちょうど先生たちが、集合場所として設定している場所だ。
だから、周囲に人は少なく学校関係者のみ。
そして、先生たちはあきらめ顔で交通整理と化してる。
シロナには翼がないから空を飛べないので、元々空中と言われても、だ。
ま、いっか、と言いながら、手招きに応じて近づいて行く。
真紅の瞳は、スルーズの事をじっと見ている。
■スルーズ > 「それじゃ、やるか。」
近づいてくるシロナにかけた言葉。
斧の構えに気力が満ちる。
この空間に満ちていく緊張感。
言うなれば、この勝負は狭い範囲での武器同士でのやり取り。
パワーと技量の戦いになる。
じっと見つめたまま近づいてくるシロナを翠もまた見つめ返して
「…………ふっ!」
ハルバードでも届くか届かないかくらいの間合いで振るわれる斧。
当然、届くはずがないのだが、その届くはずのない斧の刃が当たったと
錯覚するような気配が飛んでくる。
いわゆる殺気。本気で殺すかどうかではなく、確実に倒す、という意思を込めた戦士の闘気。
この一撃の意図は、フェイントか、けん制か、それともシロナがそこで踏み込んでくるという読みの読み違いか。
シロナに難しい選択を強いるひと振り。
■シロナ > 「やろう!」
空気が少しずつ、少しずつ変わっていく。
充満していく闘気は周囲に伝播したのだろう、静かになっていく
自分に向けられた上級冒険者の雰囲気に、ピリピリとしたものを感じていて。
それがまた、シロナの戦意を高めていくのだ。
「――――!」
近づく自分、無防備な歩みに対して、振るわれる斧。
そして、身近に感じる事は、滅多にはない物。
殺気。
しかして、シロナは戦士ギルドで浴びるほどに浴びた物。
それだけで、シロナが戸惑う事はない。
何時も何時も、戦士ギルドに入り浸り、大人の戦士を全力で叩きのめしてきた。
恨みと共に何度も感じたそれは、まぎれもない物だ。
「失礼のない様に。
アタシは―――行くからさ。」
彼女にではない、自分が、小さく口の中に語り掛ける。
意識を向ける。
―――生得技能―――
竜体
ファフニールの力を解放します。
―――竜魔法―――
竜の祝福
ハルバート・トマホークに闇属性の竜の力を付与します。
―――習得技能―――
幻想竜鱗
闘気の竜燐を形成します、生命力追加、防御力を追加します。
彼女は、上位の冒険者だ。
つまり、自分よりも上位の存在。
そんな相手に、出し惜しみなど、下の下。
人竜と言う存在なのだ、人の形をした竜。
なれば。
なればこそ。
最強の幻獣の末席に有る物として。
シロナは、竜の力を、開放する。
バトルアクスが向かってくるのを知っている。
――――ギャリがりぎゃがぎゃ――――と、金属音がする。
シロナは、斧に向かい踏み込んだ、そして、闘気の竜燐で、暗黒色の鱗で受け止め、刃を滑らせつつスルーズに接近する。
魔法の斧に鱗が高速で削られ、高速で再生する。
シロナの意識が、闘気が物凄い勢いで削り取られていく。
これが削られ切れれば、シロナは意識を失うのだが、それを知りつつ、踏み込んだ。
「おぉぉぉっ!」
そして。
ハルバートを胴部に、腹部を横薙ぎに振り切る勢い。
地面を踏みしめ、石畳を割る震脚からの、全力の薙ぎ払い。
右から左へと、踏み込めばハルバートの柄で殴り飛ばすし、ヘタな下がり方ではハルバートの刃で真っ二つ。
実力差を考えるならば、それこそ、殺すつもりで届くかどうかであろう。
■スルーズ > 自分より低い身長の相手に対する斧の横薙ぎ。
体勢は、下に十分に体重を貯めた状態になる。
同時に起きるシロナの変化。
ぞくり、と背筋に感じるものは、竜と相対した時ににたそれか。
斧を振り切った時に襲い来るハルバードの一撃。
斧を引き戻しては間に合わない。
だが、そこも計算の内とばかりに、手にしていた斧をそのまま放り捨てれば、
下に貯めた体重の勢いを前に乗せて左肩でシロナの喉元にチャージ(突撃)をかける。
ほぼ同時にハルバードの柄が側頭に当たるだろうけれど、気にしない。
長柄武器は遠心力がかかる分、出来るだけ手前の部分でヒットすることでダメージの軽減が図れるから。
とはいえ、竜の力を解放したシロナの一撃がそこまで軽いもの似なるとは限らない。
が、実力者同志の勝負は得てして短時間で終わるもの。
なにより、十分に『面白い』ものが見れた。
ならば、こんな場所で長々とやるよりも……
「いい子だ、シロナ。ゾクゾクしたよ。
アタシとしたことが熱くなっちまった。」
喉元への突撃の後、右手でシロナの後頭部を捕まえればそのまま強く引き寄せて、シロナの唇を奪う。
そのままハルバードの一撃を食らうものの、抱きしめて、もつれたままに石畳をふたりで転がって
「…………あはははははっ!面白いモノ、もってるねぇ、シロナは。気に入った!」
最後、仰向けに大の字になって大笑い。
最初から命のやり取りをするつもりはないのだ。
本気と持っているものと実力が知れれば十分。
体が熱くなるほどの相手と知れれば、それでよいのだ。
■シロナ > 「やっぱり、戦士……だね!」
彼女は、武器を手放した。
似たような状況であれば、似たような行動に出るのだろう。
武器に固執しない、それは、母親であるゼナも同じだと思う。
自分のあこがれている親と同じ行動に、感心してしまうのだ。
シロナの全力の攻撃は然し、矢張り熟練度が足りてないのだろう。
如何に鍛えていたとしても、開いてもまた、鍛えている人物であり熟練の戦士だ。
鍛えこまれた腹部は、生体鎧ともなりうるもので、刃でなければ柔軟な筋肉は十分に効果がある。
重量差は火力にも直結するから、彼女とシロナの対格差も又、だ。
「ぐっ……!」
チャージには反応できた、意識を失わなかったのは、シロナも格闘技を学んでいるから。
特に、こう言った組み合いを行うタイプのそれだから、だ。
しかし、完全に先に決められてしまったからこそ、抵抗するぐらいでいっぱい。
だけど。
―――だけど。
「淫魔に抱き着くなんて。ね。」
スルーズだけに、聞こえる声。
向こうから重なる唇。
腕を回して、その唇を受け止める。
エナジードレイン。
彼女の生体エネルギーを吸い取り、代わりにフェロモンを、淫欲をぶち込んでいく。
「――まいりました。」
地面に押し倒された形。
命のやり取りをするわけでは無いのだから。
最後のそれは、最後のあがきと言う様なものだ。
本物の冒険者の実力を知れた、それはいい経験だ、と、シロナはニンマリと笑う。
あと、すごく綺麗なふっきんにムラムラする。
この女を犯したい、という目標も生まれた。
■スルーズ > チャージが決まり、抱きついて、頭を捕らえてキス。
最後のキスは悪戯めいたものだが、そこで違和感。
「……めちゃくちゃじゃん」
シロナにだけ聞こえる程度の声で、楽し気な笑い交じりの声。
竜かと思えば、淫魔もついてくると来た。
こうなると笑うしかない。
最終的にはこちらの勝ち。
まぁ、せいぜい優勢勝ちという所だろう。
相手の手の内が分からずにはじめてこれなら及第点と言った所。
戦士の本懐は、最終的に死ななければいいのだ。
「まぁ、楽しめたよ。シロナに学院じゃ、物足りないんじゃないか?
……おつむの方はともかくとして、実戦はさ。」
そんな言葉を口にしながら身を起こす。
さっき送られたフェロモンは、マーキングか何かの意思表示と認識した。
どうやら被害は石畳1枚程度で終わったらしい。
教師たちが安堵して、この二人は放っておこう位の勢いで、他の生徒たちを帰校させている。
程なく二人だけが残ることになるだろう。
■シロナ > シロナは、人竜と人間の元に生まれた娘。
ただ、人間の母親の祖先に淫魔があり、その血が覚醒遺伝して、シロナとクロナが、淫魔の血を引いて生まれた。
めちゃくちゃと云えば、確かにめちゃくちゃ。
シロナは其れでも、自分を色々と受け止めて、学んで覚えてきた。
人間として、知識を。
竜として、戦闘技術。
淫魔として、魔法技術。
色々な教師に、そして学園に。沢山を覚えて。
だからこその、今のシロナがある。
「そうだね、アタシとしては、物足りない所は色々あるよ。
でも、アタシはまだ若いんだ。
色々な道があるから、それの選択をを増やすために、此処に居るんだ。」
そう。
シロナには色々な道がある。
戦士になる道。
冒険者になる道。
魔導士になる道。
商人になる道。
それ以外の何かになる道だって、ありえる。
家族に冒険者とか戦士が多いからこそ、本当にそれでいいのか、と考えている。
学校の皆が、三々五々去って行くのを見ながら。
フェロモンに関しては、にんまり、と笑って見せる。
■スルーズ > めちゃくちゃ、というのは混じっているものがめちゃくちゃという意図で口にした。
でもまぁ、そういうこともあるのだろう。
なにせ、目の前にその証拠が存在している。
だから、スルーズは難しいことは考えるのをやめた。
そして、シロナの返事と言葉に聞き入る。
それは、少女の意思であり、イメージであり、本心でもあろう。
なるほど、と頷いてから今一度開く口。
「なるほど、それも一理ある。
とはいえ、広げられる可能性を広げないというのも勿体ないとは思わないか?
道は色々あるし、出来ることとやりたいことも違う。
出来ることよりやりたいことを選ぶ未来もあるかもしれない。
とはいえ、まだ定めていないならばできることをより広げておくのも悪くないはずだ。
人間……あぁ、この場合は竜だろうが淫魔だろうが同じことだが……
出来ることは凸凹しているもんさ。
ならば、出来ることのどこかが飛び出していてもおかしくないし、
その飛び出している所を生業にしないのも、それは本人の自由だ。」
放り出した斧を取りに動きながらシロナにそんな言葉を紡ぎ、戻ってきてからシロナを見やり
「もし、戦士として、冒険者としての幅を広げたい、って思うなら、時々アタシに付き合いな。
それなりの相手と、それなりの冒険は用意してやる。
そういう世界を覗いてみるのも、未来のシロナには役に立つんじゃないか?」
いつもではなくて時々。
やりたくなったら付き合ってやる、程度の話。
ただ……唇に軽く触れてシロナに向ける意味深な笑み。
「そういうつもりも、あるんだろ?」
そして紡いだ意味深な言葉。
■シロナ > 「それもまた、勿体ないよね。
アタシの才能は、どっちかと云えば―――こっち方面だし。」
戦闘関係に多く振られている才能。
竜と言う時点で、戦闘民族になってしまうのだ。
そして、人間と言う存在も、戦う存在だ、全てと。
だからこそ、スルーズの言葉には、同意をするのだ。
とは言え、まだ、二歳。
人生はまだまだ未来も先も有るのだ。
それなら、色々探しても良いのだとおもう。
「アタシは、シロナ。
シロナ・トゥルネソルって言うんだ。
スルーズセンセ?
トゥルネソルか、戦士ギルドか、コクマーラジエルか。
その辺どこかにいるから。」
ゆっくりと身を起こしつつ、ハルバートを軽く眺めて。
「デートのお誘いは、大歓迎だよ?」
そう言う積り、もちろんあるからこそ、笑って見せる。
■スルーズ > 意図は伝わり意思もわかった。
まぁ、時々遊んでやるにはちょうど良いだろう。
その時の相手は自分ではない。
この世界は外に沢山面白い連中はいるのだ。
だからそういう世界を見に行けばいい。
どこまでついてこれるかも楽しみだし、
最後までついて来たらどうなるのだろうか。
そんな未来はその時考えればいい。と小さく笑えば、己も斧を手に立ち上がる。
「ああ、竜の巣の。そりゃこうなるわな。」
シロナの名乗りに納得したように頷いてから
「先生はやってないよ。今日は依頼できただけだ。
アタシはスルーズ。別に家名も何もない、ただのスルーズさ。
〇〇で宿を取ってるから、シロナの方から用があるなら王都にいるときは会えるだろうさ。
ああ、近いうちにデートに誘ってやるよ。」
楽しげに笑って見せてから、そういえば、と一つ考え
「今回の仕事はあぶく銭みたいなもんだから、ぱーっと飲み食いしちまおうと思ってたんだが、シロナも来るか?腹減ったろ」
■シロナ > 「あは。教えてくれるんだから、センセ。
良いでしょう?」
彼女は冒険者なんだし。先生と言う職業ではないと伝えてくれているのは理解している。
ただ、教えてくれる先達なんだから、師匠とか先生とか、そう言うのは当然でしょうと返す。
ニンマリ笑いながら、少女はハルバートを握って立ち上がる。
ダメージは無いし、先程の攻撃の結果も、気力が回復しているから問題はない。
「ん。
お腹いっぱいに食べたい所だよ。
驕ってくれるんだ、やさしー❤」
嬉しそうに立ち上がり、彼女の腰に纏わりつくように抱き着く。
ゴチになりまーす❤と。
ドラゴンの胃袋、ぎゅんぎゅんお腹空かせてマース、とも。
じゅるり、と涎もたらしてしまおうか。
■スルーズ > 「ガラじゃねぇんだがなぁ。」
シロナがそう呼ぶ、と言うなら無理に止めるつもりもない。
個人がどう呼ぶかも個人の好き好きなのだから。
2人して立ち上がり、食事の誘いに乗ってきた少女。
腰に抱き着いてくれば小さく笑い
「ああ、別にいいさ。今日の所は奢ってやるよ……っと。」
高身長で足も長いスルーズの腰にまとわりつくシロナを、ぐっ、と跳ね腰の要領で背負いあげれば
「んじゃいくか……質より量の店だから、まぁ食えるくらいで我慢しろよ?」
そんな言葉を向けながら、二人で平民地区の繁華街の方へと消えていく。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からスルーズさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からシロナさんが去りました。