2024/07/01 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区噴水のある広場」にイオイラさんが現れました。
イオイラ > 富裕地区の中心部に位置する噴水広場のベンチに座り、少女は分厚く、豪華な装丁が施された難解な本を捲っている。
しばらくすると彼女の付き人のようなメイドが近づき、少女に話しかけた。
「あら、読書ですか?お嬢様」

声をかけられてから少しの間をおいて、重たげに声の主に視線を合わせると、気怠そうな雰囲気を醸し出しながら表情一つ変えず淡々とした声色で返事をした。

「…本を読むとお利口になるって、お義父さまが言ってたから。」

そういった後で開かれたページの一文をたどたどしく諳んじて見せる。
そんな少女にメイドはどういった意味ですか?と質問するが、少女は首をかしげて意味なんて知らない。と言い放ち、メイドはクスクス笑いながら本の内容を理解して読まないとお利口にはなれませんよ?と少女に返した。

「ではそのままお行儀よく読書を続けていてくださいお嬢様。私は主様から仰せつかったお遣いをこなしてまいりますので。」

そしてメイドはぴっと指を立てて少女に言い聞かせる。

「くれぐれも、この広場から出てはいけませんよ?お嬢様が迷子になったら私が困っちゃいます。それから、怪しい人に話しかけられても相手してはいけません。わかりましたか?」

少女はしばらくメイドを見つめた後でわかった。とそっけなく頷いた。
少しだけ不安そうにしながらもメイドは何度も振り返り、そして何度も念を押しながら広場を後にして行ってしまった。
残された少女は、再び本に視線を落とし、記された文字を目で辿る。

イオイラ > 「お嬢様、お待たせしました。それでは帰りましょうか。」

一刻ほどたってから遣いを終えたメイドが戻ってきた。
少女に微笑みかけながら帰宅を促すとそれに従って本をぱたんと閉じる。
栞を挟み忘れていることをメイドが指摘すると少女は首を傾げ少しの沈黙の後でいつも通り表情一つ変えず、いや少しだけ得意げにメイドに切り返す。

「開いたところから読めば、大丈夫。」

その答えにそれじゃあいつまで経っても内容理解できないままですよ。と苦笑するメイドに連れられて、少女は屋敷へと帰っていくのであった。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区噴水のある広場」からイオイラさんが去りました。