2024/03/08 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にシェティさんが現れました。
シェティ > 王都の中でも王城に程近い一角。
貴族達の邸宅が並ぶ区画とも離れたその場所に軒を連ねるのは、劇場や音楽堂などといった施設が中心だ。
優雅に着飾った紳士淑女達を飲み込んでゆく入口の傍らに掲げられた看板を一瞥してから、
また隣の建物の在る方へと、侍女風貌の女は緩やかな所作で足を進めてゆく。

「――――………………。」

看板に綴られた文字は何れも、この場で執り行われる催しの内容を記したもので、
舞台に演奏会、オークションなど内容はその施設によって千差万別であった。

女の知る魔族の中にもこうした文化的な趣味を嗜む者も少なくなかったが、
此処まで多種多様な演目が日夜執り行われているのは恐らくこの一帯か、もしくは東の港湾都市に在る歓楽街くらいのものだろう。
そうして一人、また一人と客を飲み込んでゆく劇場の様子を、蒼銀の瞳が遠巻きに眺め続けていた。

シェティ > されど、主人を伴わぬ侍女風貌が自ら劇場の中へと足を踏み入れる事は決して無く。
やがて開演の頃合いとなったのか、出入りする人の波も落ち着き入口の扉が閉ざされてゆくのを見届けると、
女は侍女服の裾をふわりと浮かせながら踵を返し、静かにその場を後にして行った―――。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からシェティさんが去りました。