2024/01/02 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にゴットフリートさんが現れました。
■ゴットフリート >
富裕地区と平民地区の狭間にある広い公園。
もう少し暖かい季節ならば、夜の散歩や語らいを愉しむ人々が訪れるだろう憩いの場。
あるいは、宴席のおこぼれや残飯で腹を膨らませた下衆な者達が、一夜の眠りを貪る場所。
けれど、冬の澄んではいるが冷えた空気が満ちる夜。
この公園のベンチに腰を下ろしているのはたった一人だった。
見上げる灰色の瞳に映るのは、病んだようなか細い光を零す冬の月明かり。
夜半近くの寒気も、その身を蝕むことはできないのかも知れない。
外套の下に忍ばせた保温の護符が所以か、あるいは――その奥で煮え滾る何かが所以か。
「まったく、下らねェ宴だったな。
料理も酒も安物、女も碌なのがいない。」
誰が聞いているかもわからないというのに。
灰色の髭の下から零れるのは、毒づくような台詞。
それを、吐き捨てるような色で、けれども笑みの乗せて、酒精を混ぜて吐き出す。
背もたれに預けた巨大な身体は、新興商人の宴の帰りだった。
下卑た笑みで、貴族に媚を売って少しでも便宜を図ってもらおうというのだろう。
そんな性根が剥き出しになった宴。
彼でなくとも、“面倒”という顔をした客も多かったことだろう。
だから、早々に所用があると言って宴を後にして、此処にいる。
“迎え”までは多少時間がある。
だから、懐から出した葉巻――件の商人の土産、を口に銜えて、根元を噛み千切って火をつける。
仄かな紫煙の香りが、夜の中に拡がって――。
キリ――リ――…。
一瞬、その背後で歪んで、何かの姿を映し出して、消えていく。
気にした風もなく、『これは、まずまずだな』
なんて独り言を呟いて。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からゴットフリートさんが去りました。