2023/12/10 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 市街」にグァイ・シァさんが現れました。
■グァイ・シァ > 日暮れが早い時期はヒトの動きも早い気がする。
昼を過ぎれば直ぐに夕暮れといった具合の日差しになり、今やもう暮れかけている。その日差しの色に追い立てられるように大通りを行く人々は足早で、器用にぶつからないように行きかっていた。
(…不思議なやつらだ)
大通りの片隅、点々と存在するベンチのひとつに紅い髪の女が座っている。
腕組みをして深く腰掛け、足を組んでいる様子はヒトを待っているようであり、ただ休憩しているようでもある。
通りを長く観察しているものが居たら気づいたろう、この女は通りに点在するベンチを転々と移動して、腰掛けては行きかう人を眺めて過ごしていた。
(匂う―――気はするが)
戦場よりも強い混乱の予感は不確かな感覚でしかなく、またふっと消えるものでもある。
冬になって戦が減った時期だからこうして彷徨ってもみるが、『当たり』だったことはほとんどない。
今回も、ヒト観察で終わるかもしれなかった。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 市街」にドルクスさんが現れました。
■ドルクス > 富裕地区、そこは貴族や資産家等の選ばれた者達が住まう場所
貧民地区や平民地区では揃わない物が揃う場所
「そして!お金と珍品の集まる場所!」
赤い瞳の男はそう高らかに宣言する
だがそれを周りの人々は気にしないし認識すらしていない
幻覚魔術で透明、無音無臭の状態
人の街で堂々と魔族が歩き回るにはこれ位の小細工は必要なのだ
「今日は~どれにしようかなっと。
あ、何これカッコいい。」
ショウウィンドウに並ぶ高価な魔道具
どれもこれもがかなりの高級品で簡単に買われる事は無い貴重品
それらを懐に入れ他所で換金するのがこの男の習慣である
ギャンブルで無くなった金の補充、ある意味で仕事とも言えるのだ
■グァイ・シァ > 「!!ッ―――――」
深くベンチに座っていた女が、唐突に背筋を小さく跳ねさせたのに気づいた通行人はいなかった。
そもそも、ベンチに座るいかにもシェンヤンの一兵士であるような者に注意を払うようなものはこの辺りに居なかった。
だから女が組んでいた手を解いて、片方を刀の柄にかけながら周囲に視線を走らせたのも見止めたものは居なかっただろう。
(―――何か、居るのか)
『聞こえた』と言うより『感じた』に近い声。
女は手を柄に掛けたまま立ち上がって、何気ない様子で『そちら』へと歩き出した。
『見えない何か』 ならば
――――それが血を流したとて、だれが気にするだろう?
■ドルクス > 「香りがずっと出る魔道具とかまで有るんだ、人間は妙な事考えるなぁ。」
こんな物でも高く売れたりする実際に値段を見れば妙に高い
感覚の違いなのかと失敬しようとした所、1人妙な動きをする女が目に入る
「…こっちを見てる?まさかねぇ。」
赤い髪の気の強そうな女、腰には少し珍しい刀と呼ばれる武器
幻覚は解除していない
ならば彼女はこの魔道具の店に用があるのか
「いやぁ…なんか違うか?」
女の目を見ればそれは違うと分かる
高価な買い物に気合を入れている女の目ではない
どちらかと言えば腹の空いた獣の様な目…
一応と店の前から距離を取る
■グァイ・シァ > 再度『聞こえた』感覚は確かに思えた。
何か、いるのだろう。
それは幽鬼か何かかもしれなかったし、血を流せる何かかもしれなかった。
女はこういった時の芝居が得意ではない。
真っすぐに気配のあった場所を辿って視線を走らせ、『それ』が遠ざかっているのを識る。
(―――――『生きて』いるんだな?)
女の唇が弧を描く。
片手を柄にかけたまま、気配があった場所に立ち止まる。
女の姿は勿論、元来の富裕地区の住民らしくなどない。くたびれた胴着は飾り気などなく腰に刀を佩いた姿は、よくてどこぞの使用人、悪くて一種の物乞いだ。
次、気配を捉えたなら
それが駆ける範囲にあったなら
女は一飛びに、白刃を『そこ』に突き立てるだろう。
■ドルクス > 「成程ねぇ…成程。」
店の前で立ち止まったのを見て更に警戒は強まる
立ち止まった場所がつい先ほど自分が居た場所にぴたりと合っているのだから
「見えてはいないけど何となく分かる、って事かな。
人の街も油断ができないよねぇほんと。
…ってまじかっ!」
感づかれたのなら仕事は終わり
さっさと切り上げて逃げるに限る
そう思っていれば今度はこちらにとびかかり武器を抜いて切りかかってきた
富裕地区でいきなり武器を振り回すなんて想定外もいい所
ギリギリで回避はするが深くはないが腕に傷がつき刀にも薄らと血が残る
■グァイ・シァ > どうやら相手はおしゃべりが好きな類だったらしい。
再度の感覚―――聞こえはしないが確かに空気が震える感覚を捉えると、女は間髪入れずに『そこ』目掛けて奔ると同時に小刀を滑らせた。
「―――は は は」
振りぬいたその場で女の脚は止まる。刃先に乘った血とその香りに、女の唇から低く笑い声が漏れる。
追いかけはしない。流石に見咎めた通行人が怪訝な視線を放っている。これ以上やれば、衛兵を呼ばれるのも時間の問題だろう―――それくらいの知識はあった。
「おい、お前―――」
女は追いかけた方向へ視線をやる。ひどく嬉しそうなその顔は、周囲からすれば狂人そのものに見えたかもしれない。
「今度は姿を現しておいた方が良い。
見えないまま斃れたら、お前の死骸を拾えるものもいないからな」
■ドルクス > 間違いなくこちらを補足している女を見る
気のせいか目線まで合っている様な気分になる
「はは、それはどうかな。
気付いたのには見事だけど実際ピンチなのは君じゃない?」
彼女にだけ姿を映し声を聴かせる
旗から見れば彼女一人で喋っている妙な光景が映る
「いきなり斬りかかるなんて酷いよねぇ、これでもこのコート一張羅なんだけど?
ほら、周り見てごらん。いたいけな富裕地区の皆さんが怖がってるじゃないか。
冒険者か何かなら賢く立ち回ったほうが良いと思うけど?」
嘲笑ともとれるにっこりとした笑顔
白いコートから覗く血が鮮やかに見える
■グァイ・シァ > 本丸の『混乱』の香りはしない。
女は『遊び』は終わりとばかりに刀を布で拭い、そのまま鞘へともどそうとしていた。
その時だろう、滲むように、目の錯覚とも思えるように『相手』が姿を現すのを視界の端で捉える。
「お前こそ賢く立ち回りたいなら、最初から姿を隠すことなどしないことだな。
常に周囲がボンクラならば問題ないだろうが、いつもそうとは限らない―――解るだろう?」
賢く立ち回れ、と告げられても、女は薄ら笑いを唇から消すことは無かった。
ただ、道行く周囲の視線が己の方にだけ集まっていることに気づくと、忌々しそうに顔をゆがめて舌打ちをする。
見止めた全員の息の根を止めることも出来ようが、顔が知れ渡るような騒ぎは避けたかった。
その表情のまま、刀を鞘に納めながら姿を現した相手に視線を戻す。
「私が飢えていなくて良かったな。
心配するな。次会うことがあれば、コートが必要ない身体にしてやる」
女は低く言葉を零すと、わざと人垣ができそうな合間の方向へ踵を返し、ヒトの間に紛れていく。
何もなければ、そのまま女は人ごみの中に姿を消すだろう。
■ドルクス > 「それはそうかもね、いきなりバレたのはこれが初めてだけどさ。」
武器をしまう姿に少し興味が湧く
話しの通じない獣かと思ったがそういう訳でもない
加えて言えば兵士や冒険者等の手合いでもない事が分かる
「良ければちょっとお話でもしないかい?
今なら好きな場所まで透明になれるエスコートがサービスできるけど。
後は…人間相手だと知らない事とかも話せるかもね。」
こちらを認識して見過ごす様な言動
少なくとも普通ではない事情持ちとは分かる
幻覚魔術を感覚だけで破る何らかの事情持ち
ネコをも殺す好奇心がくすぐられるには十分だった
■グァイ・シァ > 人込みに入った背後を追いかけてくる声に、女は一瞬だけ足を止めて振り返る。
表情は忌々しそうなままだが、時折視線を横にやる様からしてそれは相手に向けてというより周囲の人込みに向けてのようだった。
「姿を消すことに興味はない。
…ただ、お前がヒトの間の事情に詳しいなら、話を聞かないでもない」
女は『関係』を築くことに疎い。当然『関係』について察することも疎い。
災厄あるいは混乱の火種になりそうな種はその『関係』を知ることが有用だとは気づいているが、それを学ぶに足りるような性質は女には存在しない。
であるから、その『関係』を築こうとしてくる相手に興味がなくはない。
それだけ、女は告げ終えると再び人込みの中へと歩みを進めていく。
相手が付いてくるか、あるいは先導するならば
一緒に何処かへ姿を消すことになるのだろう―――
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 市街」からグァイ・シァさんが去りました。
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 市街」からドルクスさんが去りました。