2023/11/30 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区 地下劇場」にアルマースさんが現れました。
■アルマース > 劇場を有する小さなショークラブ――
昼には地下への階段以外何も無いように見える建物は、星の輝き出す頃、店の看板が光り出し夜に浮かび上がる。
低く掠れた甘い声の歌い手が、一世を風靡した後に貴族のパトロンを捕まえて開いた店だという。
華やかでセクシーなショーガールのダンスと、オーナーである歌手の声で夜の夢を提供するけれど、それだけだ。
周囲にはいかがわしい特典付きの店も多いなか、お触り禁止のルールでも潰れないのは、往年のファンが今も多く訪れることが理由のひとつだとか。
際どい演出が売りの本日の舞台、踊り子の衣装は街の衛兵のソレに似ている。
似ている――のは帽子と、ジャケットの詰襟部分だけで。
模造宝石でキラめく徽章、胸上までの丈のジャケットも、その下に着ている革のビスチェと揃いのショートパンツもニセモノであることが丸分かりだけれど。
演奏と歌に合わせ、ステージ上では踊り子たちが広がり、集まり、歌い手のまわりで存分に肢体と技術を見せつけて――
ステージから客席へ降り、客の何人かを捕縛、あるいは鞭打ち、馴染みの客なら笑って済ますが、何も知らぬ客なら目を白黒させるだろうパフォーマンスの後。
曲の終わりで、ステージの光が、ぱ、と消えた。
――そこでいつもなら、幕の裏側へ皆消えて行くところ。
踊り子たちは衣装のまま、ばらばらと得意客の席や、あるいは空いた席で飲み始める者もいる。
「――――ねえ、楽屋の暖炉、まだ直んないのお……?」
うち一人、隅のバーカウンターへバーテンに絡みに行った女は、「寒くて風邪ひいちゃうよ」と愚痴をこぼした。
今日に限って踊り子が客席に散っているのはそのせいである。