2023/10/15 のログ
ご案内:「王都マグメール 富裕地区」にシェティさんが現れました。
シェティ > 或る貴族が王都に構えた屋敷内のその一角、ホールの片隅で会話を交わすのは二人の侍女の姿。
片方は黒髪を纏めた、未だ歳は若く見えるがこの屋敷の中でも古株に当たる先輩格の侍女と、
もう一人は緩く編んだ銀髪の、つい数日前から住み込みで働く事となったばかりの侍女であった。

「――――……仰せつかっておりました客室の掃除、滞りなく終わりました。」

銀髪の侍女が頭を垂れながらそう告げると、報告を受けた先輩侍女は驚いたといった風に瞠目する。
彼女から見て、目の前に居る銀髪の侍女の手際はとても新人とは思えぬものであった事だろう。
さりとて、当の銀髪の侍女は其れに対して驕る事も鼻にかける様子も見せず、
唯淡々と、抑揚の淡い表情と声で目の前の先輩侍女に対して次の指示を仰ぐのだった。

シェティ > 其れに対し、先輩侍女が僅かに見せるのは思い悩む表情の色。
その理由は銀髪の侍女にも察する事が出来た。
恐らく、残された仕事は数あれど、その中で己のような入って日の浅い新人の侍女に任せられるものは限られてくるのだろう。
未だ余所者同然の者に主人の書斎や寝室の清掃は任せられないし、食事の配膳など以ての外だ。

「………?はい、地下室の清掃――で御座いますね。かしこまりました。」

そうした熟慮の末に、先輩侍女から銀髪の侍女へと与えられたのは地下に在る一室の清掃であった。
何処か言い淀むような彼女の物言いに一瞬不思議そうに首を傾げたものの、
矢張り抑揚の淡い声でそれに応えるとモップとバケツを手に屋敷の地下へ続く階段を一人降りて行く。

シェティ > その階段の先の地下室が果たしてどのような様相を呈していたのか、当事者以外には知るべくも無いが。
銀髪の侍女がその部屋の清掃を終えて戻って来たのは、夜更けをとうに過ぎた時間帯であった………。

ご案内:「王都マグメール 富裕地区」からシェティさんが去りました。