2024/09/16 - 21:55~02:03 のログ
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 特別教室」にサリスさんが現れました。<補足:癖のあるミディアムの灰青髪、ライトオークルの肌、紫藍の双眸,>
サリス >    ザ ・ イ ノ コ リ 

居残り。
字面だけ見てもげんなりする。
それが己が身に降りかかるとなると――地獄だ。

その日、総ての授業が終了した後の教室にぽつり、と一人取り残されたように窓際の端に着席し、問題文を前に死相を浮かべている女生徒。

小難しい数式を前に、四苦八苦……苦悩のオーラを纏わせながら唸って、書いては消し、消しては書き。
どうしても出ない答えにやがて絶望的に頭を抱え込み。

「……もう……もう無理です……お恥ずかしながら私すでにこんなことに……
 後生ですからもう堪忍してください……もぅ、私…おかしくなってしまいそうです……」

なんだか、科白だけ切り取れば悩まし気な内容。
実際は微塵も解けない超絶苦手な科目にギブアップ中。

「もぅ、お家……帰してくださぃ……助けてー……お母さん……」

ここで喘いででもいれば完璧に不埒な現場だが。
事実はなんのこともない。阿呆な造りの脳みそが碌に稼働していないが故の結果だ。
現実逃避気味に奇怪な独白を連ねて、しばし問題文から目を逸らすが……。

「……………」

ちらり、と目を遣ったそれは容赦なく難解な顔で睨みつけてくる様だ。
はぁぁ……と大きく疲労困憊とした嘆息を吐き出して。
窓の外、刻々と夕景に染まっていく運動場の光景を見下ろし、日没に伴って鳴き声を高くして巡る鴉の親子が横切る夕空を見上げ。

「………今日、帰れるでしょうか………」

解けるまで帰宅が許されていないというハラスメント状態。机上を死んだような双眸で見つめ切実に呟いた。

サリス >  シ ン ・ イ ノ コ リ

出題された問題の答えは真っ白。
脳細胞の活動はついに回答を拒否し始めたようで、女生徒はぶつぶつと沈んだ声で取り残された学舎の中、独語を連ねる。

「このままでは私……学院から出れないかも知れません……
 ここで力尽きて死んでいく可能性すら立ち上って参りました……
 ≪怪異、学院に潜む女生徒の地縛霊……居残りの慟哭≫
 となって学院七不思議の一つに数えられることになりかねません……
 そうなったらきっと学院新聞席捲してしまう……」
 
明確なビジョンが視えてきた。
破滅的な妄想に取り憑かれて、もう目の前の問題など見えない。
斜めに差し込む傾いた初秋の陽が、妄想族と化した女生徒の横顔に昏い影を落とす。

先程まで運動場で修練を行っていた生徒たちも引き上げてしまったらしく、活気のある掛け声ももう聞こえない。
空き教室で仲のいい生徒同士で駄弁っていた声も、廊下を行き来する足音も、途絶えた。

しん……と静まり返った広い教室の片隅で独りぼっちな劣等生は居残りの不安感に押し潰されかけて。

「………もう駄目です……ギブです、先生、ごめんなさい……土下座で放免されるなら是非ともそうさせていただきたい……」

文字通り音を上げていた。

ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 特別教室」にエレイさんが現れました。<補足:冒険者/27歳/179cm/金髪碧眼。標準装備(プロフ参照)>
エレイ > 「──あれー?」

静まり返った教室内に不意に響いたのは場違いな程に軽い、男の声。
聞こえてきた方向に目を向けたなら、風変わりな銀色のジャケットを羽織った金髪の男の姿が見えるだろう。
男は軽く目を丸めた表情で女生徒を見やりながら、すたすたとそちらに歩み寄っていって。

「……どうしたね君。あまり遅くまで居残っていると閉じ込められて学舎から出られなくなってしまうぞ?
そうなってしまっては家か寮かわからんが帰れなくなってもうだめ」

変な口調でつらつらと言葉を紡ぐ男。
その首元には、学院内の立入許可証と思しき札が下がっているのが見える。

「それとも、何か敢えて居残りしている事情でもあるのかね?
例えば──なんか秘密の待ち合わせとか……」

ふむぅ、と顎に手を当ててうなりながら適当な推理も披露してみる。
女生徒の手元にある問題には、まだ目が向いていないようで。

サリス > ぁあぁ……問題を解くよりいっそ教師を説き伏せる殺し文句でも考えてやろうか。
ついにそんな風に頭を悩ませるに至って机上に突っ伏していた、そんな時に。

「…………………。」

なんだか気の抜けたような声が唐突に響く。
深閑とした廊下だったが足音も碌に聞いた覚えがない。
隠密の者か……という疑念はそちらをゆらりと振り返って見えたやたら派手な様相で打ち消される。

(なんですか、このキンギラな人は……)

内心で不信感が膨れ上がり、その感情をありありと滲ませた双眸で妙な格好と妙な語調の見たことのない青年を見やり。
どう見ても教師の類ではないようだが、一応首から許可証をぶら下げている。
一瞬不審者かと思ったが……そうういう訳でもないのか。

勝手に推論を投げかけてくる彼にぼんやりとした生気の失せた双眸を向けて。

「……………は?」

秘密の待ち合わせ、とどう考えてもそんなうわっついたものには思えないだろうこの重苦しい空気を感じていないらしい言葉に取り敢えず一声で反応し。

「………今……テーブルターニングの最中でして……
 ……あなた、その儀式を遮りましたね……ぁ~あ、知りませんよ…ぁー呪われたー……私知ーらないっと……」

取り敢えずお愛想がてら不吉な適当ぶっこいてみてから。

「なーんちゃって」

真顔でボケるとても不気味な女学生であった。
彼も変な女に絡んだもんである。

エレイ > あからさまに不審げな視線を向けられた男は、それを一切気にした風もなく。
淀んだ女生徒の目と視線が絡めば、へらりと緩い笑みを浮かべる始末。
やがて問いかけへの返答として冗談をかまされれば、また眉を持ち上げて
軽く数度瞬きしてからけらりと可笑しそうに笑い。

「……ワハハ、なかなかやるなぁキミ。まああ仮に本当に儀式だったとしても俺様には呪いとか効かないので何ら問題はないが…。
──ああちなみに俺は臨時の警備のモンだ。旅人で冒険者のエレイというのだが呼ぶときは気軽にさん付けで良いぞ」

と、何故かドヤ顔で子供じみたことをのたまっていたが、はたと思い出したように己の身分を明かしてゆく。
その証明とばかりに許可証を摘んで軽く持ち上げて見せてから、やはりヘンテコな口調で聞かれてもいないのに名まで名乗って。

「それで、ホントは何やってたのかね? なんだか絶望がオーラとなって見えそうになっていたが……。
──ああ、お勉強かぁ……居残りしてるのではなく、させられてるワケか」

それから改めて彼女に向き直ると、やはり勝手にひょいと手元の問題を覗き込み。
その内容を理解しては、眉寄せてウンザリした顔をした。

サリス > あ……空気読まない人だ……
読めないんじゃなくって敢えて読まないタイプだ…と相手の挙措で色々と察しがついた。
こちらはこちらで空気読む気もない奴は悟った上でそれを流し。

「呪いというのは……掛けられた、呪われている、という精神的負荷の作用が大きい、と言います……つまり、催眠術同様、かからん奴はかからん。
 ………ああ、なるほどそうですか分かりましたキンギラキンさん」

名前を聴いた上で分かったと頷いておいて超適当な風に呼ばわっては、にしても西日差し込む教室内ではやたら目がチカチカする髪色と服装だ、と目を眇めつつ。

「ええ……あなたが話し掛けてくるもので今わかりかけていたところが総ておじゃんになりました。
 責任取って私の担任に一緒になって土下座してください。
 今日はそれで何とか放免していただこうと思いますキンさん」

適当な呼び方がここに極まった。
ちなみに自分からは自己紹介の意志は微塵もない。そもそも聴いても訊かれてもいないものを名乗るようなアグレッシブさもコミュ力もない。

その上で、居残り勉強が捗らなかった罪を平然となすり付けた。

エレイ > 「おいィ……キンキラキンなのかギンギラギンなのかハッキリすろ」

男は雑な呼び方に眉を顰めるも、ツッコミを入れたのは全く斜め上の部分であった。
まあ、男の金髪も、赤の差し色の入った明るい銀色のジャケットも、西日を無駄に反射しているので
彼女の感想もやむなしではある。

「勉強がわからないのを人になすりつけようとする恥知らずな生徒がいた!
……いやまあ一緒に行くのは構わんが土下座するのはキミ一人だぞドンちゃん」

突如罪をなすりつけられそうになってえッ!? という顔をして驚き。
あまつさえ一緒に土下座をしろ、などとのたまわれればじとーっと半目を向けながら
至極当然のツッコミを入れた。何処から出てきたのか不明な、珍妙な呼称も添えて。

「……つーか、そんなに難しい問題なのか? 俺もあまり勉強は得意ではないが、
今なら学生の勉強ぐらいなら多少は……ぬぅ」

眉下げてそう言いながら、机の上の問題を手にとって眺めてみる。
……が、男の表情は段々と渋くなり、首を何度もかしげたりし始める。
勉強に関して全く役に立たなさそうなのは充分に伝わるだろう。

サリス > 「なんでそこに白黒……いや金銀つける意味があるんですか」

あと、両方とも間違っていないというか、両方とも彼の方から反射してきて……正直目に悪い。
眩しさに目を細めるので無駄に半目気味な目つき悪い風になって。

「実際、あなたの照り返す光のせいでなんだか一部思考が飛びましたが?
 まったくの捏造ではないので諦めて神妙に責任取れ」

いざ教師の前に立ったら、全部この人のせいなんです的な理由をないことないこと捏造しまくって主張しようとさえ考えている。
連れて行ってしまえばこっちのもんだと太いことをたくらみつつ。

「分かるんですか……?
 でしたら答えを教えて下さればそれでここは解決の道を………あぁ……」

数学の基礎中の基礎ではあるが少し込み入った問題。
それを確認する様子を自然と顎を上げて見やれば。
一筋差した気がした希望は、一瞬にしてその首を傾げた渋面を認めて消え去った。
駄目だ……これはあかん……仮に答えを導き出してもらっても不正解で再提出喰らってしまう。
失望をありありと滲ませた死んだ魚のような双眸を向けて呟いた。

「あなたが光っているのは髪と服だけですか……」

エレイ > 「いやだって絶対言いにくいだろそれ。
……仮にそれを認めたところで、それがなければキミの勉強が捗っていたはずという
証拠を出せない時点で最初から俺の責任は0%だった。
というか……それで担任のセンセをちゃんと説得できる自信はあるのかね?」

怯むことなく責任のなすりつけを強行しようとする女生徒に、ずいぶんふてぇコだな……と内心感心さえしつつ。
彼女の態度が素直であれば、宿題として提出を翌日にしてもらうよう担任に頼んでやろうかと思っていたが、
これは課題を倍にして貰う必要があるかな? とか考え始めていて。

「……最も苦手な数学への対抗手段を持たない俺は隙だらけだった。
ちくしょう数学は馬鹿だ」

数学に対し完全敗北を認めたのかそんなことを呟く男。
女生徒の失望の眼差しとか、辛辣な物言いにも言い返す気もないのかションボリ顔で
ぱさりと問題を机上に戻して。

「──んーむ。こうなれば……この状況そのものを有耶無耶にするしかないな。
よし、キミを拉致ろう」

それからすぐに顔を上げ、別路線の打開策を打ち出すべく顎に手を当てて思案し。
そして彼女に目を向けると、人差し指を立てながら突飛なことを言い出した。

サリス > 「言い難さしかありません。でも何だか……あなた見てると本名とか全部吹っ飛ぶんでしゃあなしです。
 あなたの人の思考を遮りかねない見てくれは認められると思いますよ?
 ……なんか……適当に泣き真似とかして切り抜けようかな、って……」

女生徒の必殺技…というか反則技を駆使しようとしていた、という。
言わない方がいい手の内を淡々と明かして。
何を考えているのか読みづらい、眉ひとつ動かさない無表情のまま。

「ひょっとしてキンギンさんも数字アレルギーですか?
 ですよね、数字とかローマ数字のまま、棒となんかこう、V型のままで止まってりゃ良かったものを、零とか発見しやがって誰だか知らんが余計なことをですよ」

大いに頷いた。正直同調してはいけない意見ではあったが。
数学大っ嫌いというかもう寒気がするほど苦手でそろそろ蕁麻疹すら出かねない女生徒は、相手が問題を解けないということに絶望を抱くのも忘れて数字の悪口に興じた。

「はい。――厭です」

どきっぱりと断った。
というかこの流れでどこの誰が『ええそうしましょう私を数学の向こう側へ連れてって』とか口走ると言うのだろう。
この人は数学と併せて語学力も独特に拗れているのでは。
と、語学力どころか思考力を拗らせている女生徒は思った。

エレイ > 「偉大な相手というのは眩しく見えるものだから仕方にい。
……たぶん俺の見た目だのを差っ引いても、やっぱり説得力ないんじゃねえかな。
それぐらい甘く見てくれるなら、そもももこの状況になってないだろうし……」

泣き落としでどうにかしようとした、と明かされれば、なんだかなんとも言えない微妙な表情を浮かべ。
仮に自分が担任の立場だったとして、彼女の言い分を丸ごと信じるかといえば──ナシよりの微妙だろう。

「流石にゼロは必要だが、ほかは激しく同意ですね。ううむ、採取する素材の数とか
報酬の計算とかならすぐなんだがなぁ……こんな小難しい計算普段使わねぇーだろって」

ゼロの存在の是非以外はウンウンと大いに頷いて同意を示す。
今一度問題に目を向けてから、眉下げてフンス、とため息めいて鼻を鳴らし。

「言うと思った。だがまあ話は最後まで聞くべきそうすべき。……俺様はさっきも言ったが警備担当だ。
俺がキミらしき生徒が不審者に連れ去られるのを見た、とかなんとか報告すれば、
キミがココからいなくなることを怪しまれることもないだろう。
こちらで対処するので親とかには内密に、とでも言い含めておけば完璧だ」

自分でも口にしてから、それだけでは伝わらんだろうなと思っていたので彼女の返答は予想通り。
苦笑しながら、人差し指立てたまま思いついた計画をつらつらと述べてゆく。
警備担当という立場を利用し架空の拉致事件をでっちあげよう、というのである。

サリス > 「偉大な人は自分で自分を偉大だとはまず、言わないです。小さな自分、認めていきましょうよまずは。
 もともと数字アレルギーの私が一気に脳内真っ白に…と言うのは私の担任であれば多少納得してくれそうなもんです。怒られもするでしょうが。
 訳わからない言い訳を並べ立てて泣き出す女生徒をいい加減持て余して放逐してくれないかな。というのが作戦の要ですからいいんですよ」
 
ノイローゼになってる、と一旦諦めてくれれば今日のところは切り抜けられる…と踏んでいる、腹黒系女学生。
信用云々よりも教師が音を上げてくれるのに期待したい。
このキンギンな人は背景としてチカチカと映り込んでくれると何らかの効果がありそうな気がしないでもない。

「分かってませんね……零さえ見つからなければ……恐らく数字は学問として複雑化出来なかったことでしょう……だから、零さえなければ今私、困ってない」

即ち全部零が悪い。零のせいだ。零は零に還ってしまえ……と大分零に対してゲシュタルト崩壊を起こす。

「………なんですか、その子供騙しな……
 怪しまれるに決まってるでしょう。そもそも警備員が連れ去られるのをぼけっと見送ってどーすんですか。無能ですか。私でなくとも即刻馘にしますし何なら給料は払いません。
 そういう込み入った嘘はバレやすいのでそんな危ない橋を渡るくらいなら正々堂々『どーしっても分かりませんでした…!! 取り返しのつかない究極の莫迦で申し訳ございません!!』と額を床にこすりつけた方がナンボもマシです」

相手の伸べる策を無理無理、今日び女学生でもそんな企みには乗れん、と首を振った後。
まじ…と相手を見上げては、

「でも……わざわざそこまで一考して頂いたことについては率直に感謝申し上げます。
 誠にかたじけないです」

今日イチ素直に深々と頭を下げて感謝の意を表したのである。

エレイ > 「説得じゃなくて根負けさせる作戦かよ……ドンちゃんの担任のセンセも大変だな」

えぇ……という顔で肚の真っ黒な女生徒に目を向ける男。
担任に対する同情の気持ちまで浮かんできていた。
全ての責任を今度はゼロにもなすりつけようとする様子を、眉下げた笑みで眺めつつ。

「その辺は言いようでどうにでもなるが……まああ思いつきのテキトーな作戦なので
穴だらけなのは否めないのは確かだろうな」

あくまで概要であり、彼女の指摘した部分に関しては多少練る必要はあるのも承知している。
が、そこまで大真面目にやろうとしている訳でもないので、彼女が乗り気でないならこれ以上は無用、と両掌を上に向けて肩竦め。

「ハハハ、礼には及ばにい。……で、どうすんべ? 土下座しに行く? それともココでもうしばらく粘るかね?」

礼を述べられると片手をひらひらと振って遠慮し。それから、首を傾げて彼女にこれからの行動を問う。
担任に懇願しに行くなら同行するし、そうでないならこの場を離れ業務に戻るつもりだ。

サリス > 「………穴だらけの作戦を推さないで下さいよ……
 一応私の単位掛かってるんですよ……あと、バレた時に単位どころか退学沙汰なんでこの問題の為に犯せない危険ではあります」

彼にとっては完全に他人事だろうから、駄目だった時はバックレることもできる。
それに身を任せるほどのギャンブラー根性などない。
考えてくれたことに関しては、一応感謝はしておくものの。それは慮ってくれたことに対する気持ちにである。
慮ってくれたというより面白がってくれたという感は否めないがそれはともかく。

「礼くらい素直に受け取っとくもんですよ。
 ――ええ、もう諦めてギブしに行きます。頑張って考えてみましたがどうしても分かりませんでした、って素直に謝って今後について検討してもらう方が建設的ですしすっきりします」

一応、教室を覗いたら遅くまで問題に取り組んではいたようだ、とこの風変わりな警備員にも口添えてもらえば多少は憂慮してもらえるかも知れない。

「――ご同行願えます?……ええっと……そうだ……エレイさん」

立ち上がって机の上の筆記用具や問題文を机の脇に引っ掛けていた鞄に仕舞って片づけながら職員室までの同行を請うて応じて頂ければ連れ立って教室を出るのであった。

エレイ > 「そうかい。まああ懸命な判断ではあるな」

男としては関わる以上途中で投げ出すつもりもなく、仮にバレた場合にでも揉み消す手段も一応あるにはあるが、
今となっては詮無いことなので口にはせずに彼女の文句を聞き流す。

「そこまで言うなら謙虚な俺も素直に受け取るだろうな。
──OK、じゃあ行こうず。ウム、出来ないことは恥ではないしなッ」

素直にギブアップを宣言する彼女にからりと笑いながら、退室の準備をしてゆく彼女を腕組みしつつ見下ろして。
ようやっと正しく名を呼んでもらうと、軽く目を丸めてからふ、と笑って頷いて。
そのまま彼女と並び立って、教室を出て適当に何か駄弁りながら職員室まで向かうのだろう。
彼女の名を知るのも、おそらくはその後で──。

サリス > なんやかんやで何故か警備員付き添いの上職員室へ向かい。
教師に頭を下げて努力の痕だけは見える問題文を提出し、なんだかキラキラした背景に眩しそうにしながらも仕方なしに生徒の言い分を聴いてその日は帰宅を許してくれることとなった。

お世話様ですさようなら、と警備員に深々頭を下げて帰宅してその後数学の単位がどうなったかは別の話。

ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 特別教室」からエレイさんが去りました。<補足:冒険者/27歳/179cm/金髪碧眼。標準装備(プロフ参照)>
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 特別教室」からサリスさんが去りました。<補足:癖のあるミディアムの灰青髪、ライトオークルの肌、紫藍の双眸,>