2024/08/15 - 21:34~22:15 のログ
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 図書館」にレアルナさんが現れました。<補足:白いブラウス 黒いタイトミニ 黒いコルセット 黒いパンプス>
レアルナ > コクマー・ラジエル学院に非常勤講師として潜入したエルフの女は学内を見て回った。

「聞いた話ほど風紀は乱れていないみたいですね」

おそらく表から見えない部分が爛れてきているのだろう。
あの日に洗脳されてしまった自分のように。
思ったよりもしっかりした施設を物珍しそうに見ているうちについ引き寄せられるように図書館へと入っていく。

「へぇ……」

蔵書も豊富にあるようだ。
これだけあるなら読んだことのない稀覯本もあるかも知れない。
そんなことを思いつつ立ち並ぶ書架の間へと入っていく。

レアルナ > 古びた匂いのする分厚い本の重厚な背表紙に指先でそっと触れた。

「……」

厳しい図書館の雰囲気。
知っている名前の書物も知らない名前の書物もある。
題名から中身を容易に想像することができないのが魔導書だ。
一冊まるごと謎掛けのようになっている書物もあれば絵だけで全てを内包しているものもある。
ある特定の知識がある者だけが正しく内容を理解できる類の本が一番厄介だ。
本を解読するのもまた魔術師のするべきことで……

「へぇ……お姉様が書いた本もあるんですね…」

小さな笑みを浮かべながら書架の間を歩いていく。
自分のヒールが床を打つかすかな音だけが聞こえる。

レアルナ > こうしてたくさんの書を前にしているとどうしても精神を操作する魔術の本に引かれてしまう。
つつつつつつつ…………
白い指先が次々に厳しい背表紙を撫でていく。
そうしている間に一つの書の背表紙で指が止まった。
題名はよく読めないがなかなかの雰囲気を持っている魔導書だ。

「どれどれ?」

本を書架から引っ張り出して開いてみる。
古い紙の匂いがした。
手書きの流麗な筆致で綴られた魔導書の記述はまるで韻文のよう。
心のなかで読み上げているうちにだんだんと心が書の世界の中に引きずり込まれていく。

「……ぁ……」

止まらない。
頭の中に書に書き綴られた韻文が勝手に入ってくる。
書を読んでいるにも拘らず思考がぼんやりしてきた。
止められない。
きゅっと引き結んでいた唇が少しだらしなく開いた。
目が虚ろになってくる。
タイトミニスカートから伸びた脚を揃えて直立した姿勢のまま書の世界に精神を引き込まれる。
脳内に流れるのは何かの呪文だろうか?

レアルナ > 濃いルージュを刷いた唇がかすかに揺れている。
翠色の瞳の瞳孔は開いたまま。
まるで人形のようにページを繰るエルフ。
瞼がピクピクと痙攣している。
ゆっくりと安定した呼吸。
自分で危険な状態になっているのはわかるがどうにも止めることができない。

「…………ぁ……」

古びた書の中から大量の文字列が脳の中に流れ込んでくる。
一定のリズムを感じさせる韻文。
心臓の鼓動も呼吸のリズムもいま手に持っている書に握られているかのよう。
視界の中いっぱいに書面が迫ってくるが実際には視野が狭くなっているだけで姿勢は書を手に取ったときのまま。
ページを捲る手はまるで自分の手ではないかのよう。

「…………」

レアルナ > 次へ次へとページがめくられていきエルフの頭の中で危険な呪文が完成しようとした時。
不意にそれが止まった。

「……っ?!」

ふらりと後ろに倒れかけて右足で強く床を踏みしめた。
書の中に囚われていた心がエルフに戻ってきた。
開かれていたページには大きな汚れがついていた。

「ここが判読できなくなっていた……ということですか」

脳内に展開されていた呪文が雲散霧消していくのがわかる。
ふるふると頭を振って気を確かに持つ。

「……助かりました。あやうく罠にかかるところでしたね」

大きく息をついて書を閉じると書架へと戻した。
どれくらい時間が経ったのかよくわからないが、そろそろ戻ったほうが良いだろう。
エルフの女は書の場所を記憶すると書架から立ち去った。

ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 図書館」からレアルナさんが去りました。<補足:白いブラウス 黒いタイトミニ 黒いコルセット 黒いパンプス>