2024/07/26 - 14:25~02:02 のログ
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 ラウンジ」にシロナさんが現れました。<補足:白髪ショート ベレー帽 学生服 ショルダーバッグ>
シロナ > 夏は暑い。だから、期間限定メニューと言う物が出来上がる。
例えば、果物を凍らせたシャーベットは甘くて冷たくておいしい。
東方の方では、氷を砕いて小さくし、シロップを掛けて食べる、かき氷なる食べ物があるらしい。
と言う事は、だ。
お貴族様の通う学校のラウンジに、そう言った物がないという事は言わせない。
お貴族様たちがこぞってそう言った物を入れるように圧を掛けるし。
そう言うモノをだれでも食べられるように安くする。
と言う事で、少女は――――。
「クリームパフェ、かき氷、アイスフルーツマシマシで!」
はい。
思う存分恩恵に与る事にしていました。
まあ、これでも、ちゃんとした、お嬢様であらせられるので。
家に帰れば、新鮮なアイスフルーツとか、寧ろ、現地で本場のを食べる事が出来る。
出来る、とするはまた別なので、其処はお察しではあろうとも。
わくわくしながら、たった今注文した甘さMAXの食べ物を待つのである。
褐色少女は、目を輝かせ、今か、今かと待っていた。
シロナ > 暫くの間、待つのだけど、ラウンジの中も冷房魔法が効いているので、とても心地が良い。
今日は余り人がいないというのも有り、直ぐに甘さマックス、フルーツマシマシパフェを持ってくる。
見た目からして、とても、とても冷たそうだ。パフェから、冷気が零れ堕ちているようもみえる。
「お・い・し・そー❤」
るん♪と、嬉しそうにシロナはパフェを眺める。
綺麗な白い桃も、鮮やかな黄色い蜜柑も。
生クリームも、キラキラアイスのように輝いているように見える。
貴族が来るから、此処のシェフは、皆一流。
そして、一流と言うのは、技術だけではなく、見た目などもとても良い。
その辺で食べるよりもおいしい物が安価、うん、良い所だね学校と、シロナは思う。
ラウンジに良く来るのは、それも理由だ。
「……。」
そして、右に、左に。
こういう時に、甘味を狙ってやってくる叔母とか居ないかを確認。
まあ、叔母が居る場合、確認作業中に、消えて居るんだけども。
居ないことを確認し、頂きまーす、と。
真紅の瞳を輝かせながら、シロナはパフェへとスプーンを向ける。
シロナ > もぐもぐもぐもぐ。
桃の濃厚な甘さに、生クリームの重厚な甘さ。
甘さに甘さを掛けた甘いものを、シロナはおいしそうに、とてもおいしそうに食べる。
実際甘いもの好きなので、これでももっと、と言う感じになるのだけど、それは口にしない。
たっぷり甘い物を堪能した結果。
よし、ごちそうさま、と両手を合わせて。
良い感じに時間が経っているので、鞄を持って帰るのだった―――。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 ラウンジ」からシロナさんが去りました。<補足:白髪ショート ベレー帽 学生服 ショルダーバッグ>
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 水練場」にリセさんが現れました。<補足:名簿内ご参照下さい>
リセ > 放課後の水練場には――
「ぁ。あ、の……ちょっと、待ってくださ……あっ……」
震えたか細い女生徒の声。
そしてそれを取り囲みプールサイドまで追いつめる荒っぽい女生徒数名の声。
他には誰もいないそこでは、水着にも着替えず制服のまま。
とても泳ぎに来たようには見えない彼女たちの姿。
貴族クラスでは完全に浮いてしまっている、銀髪を長く伸ばした気弱そうな女生徒と、それを虐めるカースト上位の性格の悪そうな女生徒三名。
授業の終わった放課後、取り囲まれて水練場まで連れて来られ、さらにプールサイドまで追いつめられて。
この後何が起こるかもはや当人もお察しな状況。
くしゃっと泣きそうに顔を歪めて、何か口々に謂れのない因縁を吹っ掛けてくる虐めっ子達にしどろもどろで。
「ち、違い、ます……色目、なんて……ノートを見せてくれって云われた、だけで……仲良くなんて……本当に……」
今回はクラスで人気の男子生徒とたまたま親し気にしているように見えた、ということであらぬ疑いを掛けられこんなところまで連れ込まれて――大変不本意な窮状の真っ最中。
とにかく件の男子生徒とは仲良くなんてしていないと説得を試みるも、そんな反応はお察しだったのか連中はまったく聞く耳を持たず。
『いいからちょっと涼しくしてやんよ』『ちょーどいいっしょ? 今日も暑いしさー』『ほらほら突き落とされるのが厭なら自分で飛び込むー?』
などと嘲笑交じりに口にしてはプールサイドぎりぎり、もう少しで踵が落っこちてしまいそうな位置でふるふると身を震わせている女生徒を無慈悲にどんっと突き、
「――っ、きゃ…!!」
とうとう水際で踏み留まっていた脚が傾き、そのまま背中からプールへと落っこちかけて―――
リセ > 成す術もなくプールに突き落とされて、どぼん!と水音が響き、人一人分の水柱が立った。
制服のまま水の中に沈んではあっぷあっぷと浮き上がり。
呼吸をしようと浮いた頭を面白がって土足で踏まれ。
気管にも水が入ってしまい激しく咳き込みながらびしょ濡れの顔を苦し気に歪めて助けを求めるように水面に手を伸ばし。
「っ、ごほっ……や、やめ……っ……ぅくっ……」
水を吸った制服が重い。脚はつく深さなものの息を吸おうと顔を出せば足蹴にされて酸欠で眩暈がしてくる。
ごぼごぼと半ば溺れそうになりながら藻掻く様子を哄笑しながら銀の頭を踏みつけて浮いた端から沈めにかかってくるので、満足に息が吸えなくなってきて次第に勢いが弱まってきて。
「ほ、んとに、もぅ、や……めて……」
目の前が次第に霞んで嘲笑う同級生たちの顔がぼやけて意識が遠のいてくる――
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 水練場」にホーセーアさんが現れました。
ホーセーア > 『海流魔神、出来!(かいりゅうまじん、しゅつらい)』
突然、プールサイドに大声が響く。
それと同時にプールの水全体がある一点・・・馬鹿3人組の眼前に集まり、
体全体が水で出来た身の丈6mはあろう禿げ頭の巨人を形作る。
驚いて固まってしまった3人の体を、
左右の腕と腹辺りから生やした触手めいた第3の腕で掴み上げると
そのまま空中に留め置く。
リセを濡らしていたものを含め全ての水がそれの創造に使われた為、
瞬時にして濡れた服や体が乾き、そこにプールサイドからプールの底へ駆け込んだ
小さな子供に見える人影が、気を失いかけたリセの前に止まり
ぱぁん!
と大きく手を打って意識を呼び戻そうとして。
リセ > 遠ざかりかける意識の中、良く通る声が聴こえたような気がしたけれど……そのまま、す…と目を閉じてごぼ……と水に沈んでいくかと思っていたが。
魔術干渉を一切受け付けない体質のせいでプールに突き落とされた女生徒に触れている水だけは引っ張られず、その周囲の水だけは魔法を弾いてしまったのでぐっしょりと濡れて。
水の抜けたプールの底でぐったりと横たわっていた。
意識を失いかける直前に、不自然な水流が起こりプールの天井まで届くほどの透明な巨躯とそれに掴みあげられた女生徒たちが霞んだ視界に映った気がしたものの、それさえはっきりと認識しないままずぶ濡れでふーっと気を失っていたのだけれど。
「………っ……」
間近で大きく手を打つ鳴らす音が響くと、びくっ、と肩が震えて。
驚いた拍子に呑んでいた水をげほごほと吐きだした。
ホーセーア > 「大丈夫か!?大丈夫だな、リセ君!!」
少々思っていた結果にはならず、
放置しておけば風邪などひいてしまいそうな有様になってしまった女生徒の安否
案外雑に確認した後、掴み上げられたまま
「なにすんだよ、この馬鹿教師!」だの
「お前なんか、お父様に言いつけて首にしてやる!」
などとほざいている3馬鹿に対し明らかに怒り頂点といった顔で向き直り
「喧しいぞ、この外道どもが!
あんな事をして万が一、彼女が死んだらどうするつもりだ!?
貴様らの親がどれだけ偉いか知らんが、由緒ある学院の中で教師の眼前で
人を殺しかけた事実まで隠し通せると思うな!
それに僕はこの国の人間ではないが、
休職中とはいえ一国の最高教育機関の教授だ。
妙な罪を着せて処罰したとあっては国をまたいでの大問題だ。
殺人未遂とそれらの責任がたかだか一貴族程度にとれると思うな!
・・・色々と只では済まんぞ、最悪貴様らの廃嫡もあり得るだろうな。
そうしたら学院を追い出されるだけじゃないぞ、
貴族でなくなった貴様らに、何か言いたい奴らは多いんじゃないか?」
最後はにやりと意地悪い笑み浮かべ。
流石の3馬鹿も子供モドキのあまりの剣幕に、心なしか青い顔しながら
「そんなことある訳ない!」「私はお父様に愛されてるもの!」と返せば、
大きく肩竦めながら
「・・・下手をすると自分の首どころか、由緒ある家も無くなるかもしれんというのに
そこまでして罪人の娘をかばい立てするような貴族がいるとは思えんがな。
まあそう思うなら、このまま家に帰ってみるがいい。
僕はさっきの映像を記録した水晶玉とともに、
学院長への会見許可を取ってこの件を報告する。
その結果どうなるかは知らんが好きにしたまえ、だがもしそうなりたくないなら・・・」
ここで再びリセの方に向き直り微かに微笑んで見せた後、三度彼女らに向き直り
「彼女に詫びたまえ。
君たちが貴族だというなら、それにふさわしく」
一旦言葉を切って皮肉めいた笑み浮かべ
「高貴に、敬意をもってな」
リセ > こほこほ、としばらく咳き込んで気道に入っていた水を吐き出しては、一体何が起こったのだろう…とぼんやりと虚ろな双眸を開いて考えながら。
「………ぅ、……は、ぃ……」
大丈夫とはっきり肯けるほど大丈夫でもなかったが、命に別状はないし外傷もない。
びしょ濡れなくらいなので、力なく安否を問う声にほとんど無意識に肯いて。
そのまま水が干上がったようになったプールの底でぐったりと脱力しながら、小柄な……そう、確か教師であったと思う少年が己をプールの中に突き落とした女生徒たちを恫喝している声を聴き。
「殺……」
確かに死ぬかと思ったが、殺されるところ…だったのか。
無自覚だったらしくぞっとしたように顔色を失い。
そして教師に現場を抑えられ叱責を受けながらもそれを不服としているような、水の魔人に捕えられた三人を見上げ。
そして自分に変わって謝罪を要求している声と、振り返って微笑む幼げな顔にどこか唖然としたように目を見開いて。
「ぇ……あ……、その……い、いぃ、です……先生……その……
わ、たし……大丈夫……ですから……」
教師が脅迫めいて彼女らを断罪するほど、ことは大きくならない気がした。
多分、本当に溺れる前には引き上げるつもりだっただろうと思われるし、悪ふざけが過ぎることなんて今まで多々あったことだ。
誤魔化されて何事もなかったかのように終結する。
毎回、そうだった。どうせ今回も有耶無耶になると諦めた顔で薄く笑って首を振り。
濡れ鼠のまま身を起こすと、
「……その人たちを離してください……謝ってもらわなくていいです……もうしない、と約束してもらえれば……それで……」
後々妙な禍根になっても困る。彼女たちの嫌がらせが少しでもやめばそれでいい。
どうせ自分を虐めている生徒なんて他にもいるのだから。キリなんてないのだ。
ホーセーア > 「・・・・・・」
リセの推測は半分は当たっているだろう。
国をまたいでの問題などはその二国に国交があって初めて成立する。
残念な事に子供モドキの故国では
普段マグメールなる国の名前すら上がる事は無かったし、
当のこの国でも故国について知っているモノはほとんどいなかった、
そんな程度の知名度でしかないから、多分子供モドキを処罰しても
何にもならない。
しかし、殺人未遂については
先の事あって『自主的見回り強化キャンペーン』行っていた子供モドキが、
それこそ万が一の時にと自分追尾させながら撮影させていた水晶玉が
絶対的な証拠になる。
だから十分断罪は可能なはずだったが、リセはそれを望まないと。
それが諦観によるものだと分ってはいたが、今の子供モドキには
彼女を説得してこの忌むべき愚か者どもたる3馬鹿と戦わせられるだけの
言葉はない、実に歯がゆい事に。
だから。
「・・・わかった、リセ君がそれでいいなら僕は構わない。
良かったな、君たち・・・ほら」
何事か呟くと3馬鹿を捕らえていた魔神は、多少の子供モドキの私怨まじえたか
少し乱暴にその体をプールサイドに放り出して。
ついで魔法無効の能力対策に気合い入れ済みの子供モドキが
まずは杖使って棒高跳びの要領で底から飛び上がり、
リセの方には杖の先を掴むようにと差しだす。
こう見えても意外と力はある上に、いざとなれば筋力増強の呪使える
ちび魔法使いには女性と一人持ち上げるくらいは造作もないから。
だがしかし、3馬鹿がこのまま逃げようとかしたならば、
未だ魔神の形保ったままのプールの水を頭からぶちまけるくらいは
適当な仕置きだろうとひそかに用意してたり。
リセ > 本当に死なせるつもりなんてなかったと、ちょっと悪ふざけが過ぎただけだと、彼女たちは主張するだろうし。
実際に死んでしまったら厄介ではあるだろうから、ただ、あっぷあっぷしている姿がおかしくて興が乗り過ぎただけではあったと思う。
人殺しになるほどの度胸なんてない。そんなことは虐められる側だって判っていた。
虐めなんて結果的に、誰かが死ぬことになったとしても殺人の十字架を背負うつもりなんてないものである。
だから、今回も事を荒立てる気なんてなくて。
ただ、早めに終わって良かった…と。そう思うだけだったし。
教師に云われて渋々謝罪されたって虚しくなるだけだったから。
ようやく水の魔人から解放されてプールサイドに揃いでぐしょ濡れになって投げ出された三人が、扱いに不服と悪態をつきながら忌々し気に舌打ちし、申し訳なさの欠片もなく水練場から立ち去っていく背中をぼんやりと見送り。
「ぁ、いえ……あの、……そっちから上がれる、ので……大丈夫、です……ありがとうございます……」
身軽にプールサイドに飛び上がった彼から杖の先を差し出されたがさすがに躊躇して。
その体躯は自分よりもぐっと小さいし軽そうだ。
実際に力があるなんて知らないものだから、プール際に作りつけられた上がってくるための梯子を示してそちらへ、べしゃべしゃと濡れた全身から水を滴らせながら向かって、慎重にのそのそと上がっていくと、プールサイドにふぅ~…とへたり込んで息を吐き出し。
「すみません……またご迷惑を……」
虐めっ子達よりも確実に申し訳なさそうに虐められ側が項垂れて謝罪した。
ホーセーア > 差し出した杖やんわりと断られると、冗談めかして肩大げさに竦め。
「おや、それは残念。
・・・もう少し信頼してくれても、というのは僕の自惚れなのだろうね。
それよりも、そのままではキミが体調を崩してしまうな・・・着替えなどはあるかな?
無ければ少し時間はかかるが、脱いでもらえれば温風で乾かすとかはできるぞ。
それとも売店で体操服でも買って・・・いや、今のは忘れてくれ。
魔術師用のローブにしよう、あれなら多少中がどうなっていても誤魔化せるしな」
何やら危険な・・・ではなく、
単に体操服で学院から帰っていく生徒を思い浮かべ、違和感しかなかったから
代替策を講じただけに過ぎず。
しかし、しゅんとして謝られると、ぐ、と此方もつらそうな顔で
「止めてくれ・・・強い魔法使いだ何だといっても、
虐められている生徒一人救う事も出来ない、ダメな男だよ僕は。
いっそ余計な事をしてくれるなと、恨み事でも言われる方がまだましだ」
少なくとも以前は良い教師でいたつもりだったし、ここでもそうあろうとはした。
なのに現実的にはこの体たらくだと、半ば自嘲気味に薄笑い浮かべて
キミは気にすることはないのだと手を横に振って。
リセ > 肩を竦める所作に、若干慌てたように。
「あ、いえ、あの……案外わたし、重たいと、思うので……。
ええ、大丈夫です、いつも着替え一式ロッカーに置いてあるので……」
体操着や体育の際に着替えを隠されたり、もしくは汚されてしまったりとたまにあることなので、一応着替えをひと揃え、ロッカーに仕舞ってあるので問題はない。
強いて云えばこのずぶ濡れのままそこまで取りに行くのが問題だけれど。
幸い虐めっ子たちが云っていたように暑気の強い時期なので濡れていても寒さを感じる程でもなく。
外にいれば涼しいくらいかも知れない。
プールサイドで髪や制服の裾を搾って多少は脱水していると、自嘲気味に語られる言葉に困ったように眉根を下げて。
「そんなこと……ダメなんかじゃないです。
いつもこう、して助けて下さってますし……親切にしてくださいます。
そんな風に仰らないでください。わたしは、充分助かってますから」
大分ありきたりな言葉を連ねることになってしまって少し気まずいように濡れたまま、水の滴る前髪を払いつつ。
「救ってないなんて思わないでくださいね?
わたしは、こうして手を差し伸べて下さる方もいる、と、それだけで幸せなんですから」
少し不器用ながらに笑みを浮かべると緩く小首を傾けて。
ホーセーア > 「そうだな、確かに万が一二人してプールに落ちるなんて事になったら
そっちの方が何があったのかと聞かれかねない。
どうも、僕は魔法が使えるのをいいことに多少思慮が足りないところがあるようだ、
賢明な判断をしてもらってありがとう」
まずありえない事ではあるが、それこそ万が一にはあっておかしくはない。
そんな事にも気づかなかったと軽く頭下げて感謝の意示し。
そう言えばとすっかり忘れていた水の魔神、プールの底に蹲らせてから術を解くと
そのままざぱんと音立てて水湛えたプールが戻り。
「・・・まあ、当人たるリセ君がそう言ってくれるのなら
そう思うことにしておこう。
僕が何をしてもこの国の根本が変わる訳じゃないし、せめてキミが絶望せずにいられるなら
それが出来るだけ長く続くようにするのが僕の仕事だ・・・」
感謝していると伝えられれば、目を瞑って聞いていた子供モドキも薄く笑って
むん、と力こぶ作って見せ。
「そういえば、ときにリセ君。
最近知り合いから教えてもらった洋菓子店に、
『削り氷』なる季節・数量限定メニューがあるらしい。
お得意様(の知り合い)特権使って、二人分くらいなら用意させるから
一緒に食べに行かないかね?
こんなことの後で申し訳ないが」
噂に聞けば、何でも店頭で果汁を凍らせた氷を二丁の包丁使いながら削り取ったものを出してくれるのだと。
大道芸めいたパフォーマンスかと思いきや、確かに普通のかき氷とは一味違うとの事で
せっかくだから確かめに行かないかと誘って。
リセ > 「いえいえ……そこまで考えていた訳でもないんです、けど……今、わたし水を吸ってとっても重たいと思いますし……」
実際「重っ」とか云われてしまったら、云わなくても思われたりしたらすごく恥ずかしい。
デリケートなお年頃である。体重の問題には神経過剰気味。
しかし水の張っていないプールに落っこちたら怪我では済まない可能性もあるからやはり遠慮はしてしまったわけで。
上がった後プールの水に帰化する様子を見て目を瞬き。
「はい、こんなことくらいでへこたれたりしません。
今ちゃんと、わたしのことを気遣ってくれる方もいらっしゃるんですもの。不貞腐れていては勿体ないです」
力こぶを作って見せる大分子供っぽい所作にくすと笑気を洩らしては、よろしくお願いしますね、とやんわりと微笑して。
「氷菓ですか?
いいですね、今日もとっても暑いですからきっとおいしいです。
ぜひ、ご一緒させてください」
二つ返事で肯いて、楽しみですとほこほこ表情を綻ばせると、それでは急いで着替えてきます、と水気を搾れるだけ搾ると、髪や服からまだ水滴を滴らせつつ、ロッカーに急ごうか。
「着替えて向かいますので、正門の方へ行ってらしてください」
承諾してもらえれば拭く物がフェイスタオルしかないので髪が乾ききらず湿ったまま、やって来るだろうが。
身なりを整えて正門へ姿を見せることだろう。
ホーセーア > 「・・・ああなるほど、言われてみればその通りだな。
そこに思い至らなかったのは、ひとえに僕の浅慮に他ならない。
改めてすまなかった」
再び謝ったのは水による質量の変化失念していた事と、
今更ながら体重に関する男女の意識の差を思い出したからで、
それを女生徒の側に言わせてしまったのは
明らかに失礼だと多少深く頭を下げ。
「ああ、楽しみにしていたまえ。
判った、先に行っているが・・・もし何かあったら声を上げてくれればすぐに行く。
少なくとも今日一日は、リセ君は僕の庇護下にあるのだと思ってくれたまえ」
無論見かければ、それ以外の時も相談には乗るからなとか言いながら
杖傍らに抱え、今度は日差し対策なので黒一色にせざるを得なかった日よけを頭上に浮かべながら
髪を湿らせたままのリセを見て、一瞬ときめいてしまったのは秘密にしたまま
少し派手な外見の上市街地と歓楽街の真ん中くらいにある洋菓子店へと案内して。
なお、店長の好みでかなーり甘めの味付けが、女生徒と子供モドキの好みに合ったのかは
また別の話で。
リセ > 「い、いえっ、そんな……謝っていただくようなことでは……頭、下げないでください……」
むしろ体重のことを気にし過ぎていて恥ずかしくなってしまう。
ふるふると首を振っては頭を下げていただくようなことではないとわたわたと云い募り。
「はい、さすがに今日は大丈夫だと思います……すでにずぶ濡れですし、これ以上追い打ちをかけてやろうとまでは思われない……と信じたいです。
あ…え、と……その……す、すみません……」
庇護下。そう聞くとお手数をお掛けして…とひたすら恐縮してしまう。
やがて一度別れては着替えて正門の前に急ぎ足で駆けつけて少し汗をかきつつ。
くだんの洋菓子店へ連れて行ってもらうと珍しい氷菓をいただいて「甘い」と少し驚きつつも、なんだかんだで疲れた身体に冷たい氷は沁みておいしくいただいて放課後のひと時を過ごしたのであった。
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 水練場」からリセさんが去りました。<補足:名簿内ご参照下さい>
ご案内:「王立コクマー・ラジエル学院 水練場」からホーセーアさんが去りました。